夕焼け金魚 

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蒲田の裏美人

2017-08-17 | 日記
金魚は大学時代を東京で過ごしました。
大田区の蒲田に先輩がいて、よく遊びに行っていました。
先輩の家に行くときに、目蒲線を利用したのですが、その時の7時頃にホームに大柄で凄く綺麗な女の人がいたのです。
電車から降りてくると、頭一つみんなから出ていますから目立つのです。
しかも凄いと声が出るような美人。
当時、目蒲線を利用していた人なら「ああ、あの人」と大抵の人が分かると思います。
最初に見かけたときに、何というか目を奪われて視線で追いかけてしまいました。
金魚は当時、大学に入ってすぐですから田舎者丸出しでしから、あんなに大きくて綺麗な人、初めて見たのです。
私がその人を目で追いかけているのが分かった先輩が「あの女なら知ってるよ、紹介してやろうか」と言うのです。
思わず「お願いします」と即答してしまいました。
「お前にあんな趣味があるとは」と先輩がニヤニヤ笑うのをその時は分からなかったのです。
意外と金魚も軟派なんだなと言われているように思ったのです。
当時はその手の人達は全く日陰の人達で、私はほとんど知らなかったのです。
先輩に連れられてホームに待っているとあの人がやってきました。
先輩が手を上げてその人に合図するのです。
大柄な女の人が、恥ずかしいそうにやってくるときに再び「お前にそんな趣味があるとは思わなかった」と言われてハッと気づいたのです。
それでその人が目の前に来たとき「男なのですか」と挨拶の前に思わず言ってしまったのです。
ダメですね、その瞬間、私の周りの空気が止まりました。私の周りでホームを歩いている人が全員、足を止めたような気がします。
「てめえ、喧嘩売る気か」と凄い声でその女の人が私の胸ぐらを掴んできたのです。
凄い力だったので、私も反射的に掴んでいる手の親指を掴んで捻ると、手の平を内側に押し込んで横に捻ってしまったのです。
胸ぐら掴む手は、親指だけ捻ると割と簡単に解けますし、手の平は内側に曲げる力に対しては抵抗力が少ない上に一度曲げるとまず元には戻りません。
しかも曲げた手を横に捻ると手首に凄い痛みが走りますから、まず抵抗できなくなります。
合気道の小手返しの自己流の喧嘩技です。
小手返しを知らない人には有効です。もちろん、喧嘩の時はそのまま手首を痛めつけますから、ほとんど以後は喧嘩の相手にならないはずです。
スカート履いた方にこの技使ったのはこの人だけです。意図して使ったのでは無いので余計上手くかかってしまって、その女の人をホームに倒してしまったのです。
スカート履いた大柄の人を小柄のが性が倒したと言うだけでもみんなの注目を集めるのに、その女の人が「痛ーい、痛ーい」って女の声で泣くのです。
私の回りは、人だかりになってしまいました。
女を虐める悪い奴といった感じでみんなから睨まれてのですけど、女が例の美人だと分かると、急にニヤニヤしてみているのです。
私は慌てて一目散に逃げ出しました。
先輩も女の人もホームに置き去りにして、本当に一目散に逃げました。
若気の至りです。
これが蒲田の裏美人と言われた人との出会いでした。
その人が訪ねてきたのです。
この続きは明日に。

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