セレンディピティ ダイアリー

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ライフ

2017年07月13日 | 映画

ジェイク・ギレンホール主演。国際宇宙ステーションという密室内で、火星で採取した未知の生命体と格闘することになった宇宙飛行士たちの恐怖を描いたSFスリラー。「デンジャラス・ラン」(Safe House)、「チャイルド44 森に消えた子供たち」(Child 44)のダニエル・スピノーサ監督作品。

ライフ (Life)

国際宇宙ステーション(ISS)に乗組む6人の宇宙飛行士たちは、回収した火星探査機のサンプルから未知なる生命体を発見します。カルヴァンと名付けられたその生命体は知能を持ち、徐々に成長していきますが、ある日突然クルーに襲いかかります。それからは手に負えないほどのスピードで凶暴化していき...。

私には鬼門のSF映画ですが、本作は期待以上におもしろかった♪ ストーリーはシンプル、プロットは「エイリアン」(1979)とほぼ同じで展開もだいたい予測がつきますが、はらはらドキドキするしかけがうまく散りばめられていて、手に汗にぎり引き込まれました。シニカルなラストには思わずにやりとさせられました。

本作は密室劇で、登場するのはISSのクルー6人のみ。ジェイク・ギレンホール、レベッカ・ファガーソン、ライアン・レイノルズらとともに、真田広之さんがメインキャストで活躍しています。

ちょうど今、国内でヒアリが見つかり騒ぎになっているところなので、ある意味タイムリーだなーと思いながら見ました。人やモノがグローバルに行き来する以上、外来種の問題は避けて通れません。16世紀の大航海時代にも、南米からトマトやじゃがいもなどがヨーロッパに伝わった一方、これまでになかった疫病が南米にもたらされました。

将来、人間の活動の場が地球外まで広まったら、当然本作のようなことが起こりうるかもしれない...。微生物からアメーバ状の生物、やがて軟体動物のように進化していく生命体の様子には、意外とリアリティが感じられ、怖くなりました。

カルヴァンの知能と運動能力、そして生命力は、人間を凌駕するほど。クルーたちはカルヴァンをうまく隔離し、自らの安全を確保したうえで、強烈な破壊力をもつカルヴァンを決して地球に持ち込ませてはいけない。この難題を解決する唯一の方法が見つかりますが、カルヴァン相手にはたしてうまくいくかどうか...是非見て確かめてみてください。

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Andiamo

2017年07月12日 | グルメ

*** 閉店しました ***

ブログをきっかけに仲良くしていただいている、zooeyさんとノルウェーまだ~むさんとランチをごいっしょしました。場所は六本木ヒルズのけやき坂通りにあるイタリアンレストラン、Andiamo(アンディアーモ)。

ここは、六本木ヒルズに映画を見に行く時によく前を通るので、気になっていたのです。今回は、伊勢海老・あわび・フォアグラを使ったお料理がリーズナブルにいただけるうれしいコースを、まだ~むさんが予約してくださいました。まずは再会を祝して、ウェルカムドリンクで乾杯。

前菜です。緑の葉に隠れていますが、手前から野菜のゼリ―寄せ、クリームチーズの生ハム巻き、海老、テリーヌが彩りよく盛り合されています。ゼリ―寄せの野菜は生に近く、コリッとした食感が楽しめました。レリーフ模様の白い器も私好み。美しいひと皿でした。

伊勢海老、渡り蟹、ムール貝、アサリ、イカなどの海の幸をぜいたくに使った、華やかなペスカトーレ。下に平たいリングイネのパスタがのぞいています。身のしまった伊勢海老がおいしかった♪ 殻から出すのがたいへんでしたが、ナイフでしごいてきれいに全部いただきました。

メインのお料理は、キャビアののったアワビのステーキと、フォアグラのソテー。なすやルッコラなどの野菜とともにいただきました。アワビは切るのがたいへんでしたが、むちっと弾力があっておいしかった♪ フォアグラはソテーすることで脂が解けて、とろけるように柔らかかったです。どちらも程よい大きさでお味が堪能できました。

デザートはイタリアンの定番、ティラミスとパンナコッタ。ラズベリーの赤いハートが愛らしい。コーヒーとともにおいしくいただきました。

こじんまりとした店内は、パウダーピンクとブラウンを基調にしたシンプルで温かみのあるインテリア。半階上がったところにクリスタルのピアノがあり、夜はジャズピアノの生演奏があるそうです。昼間は大きな窓からけやき坂の美しい並木道が見渡せて、明るく気持ちのよい空間でした。

このあとヒルズを少し見て、私は用事でひと足先に失礼しましたが、お二人はかき氷を食べに行かれたので、あとでお話をお聞きしようと思います。^^

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ハクソー・リッジ

2017年07月11日 | 映画

メル・ギブソン監督、アンドリュー・ガーフィールド主演。第2次世界大戦の沖縄戦で、武器を持たずに75人もの命を救った米軍衛生兵デズモンド・ドスの実話を映画化した戦争ドラマです。

ハクソー・リッジ (Hacksaw Ridge)

ヴァージニア州ブルーリッジ山脈にある小さな町リンチバーグ。敬虔なセヴンスディ・アドヴェンティスト教会の信徒であるデズモンドは、復員兵である父が戦争経験が原因でアルコールに溺れ、時に家族に暴力をふるうことに傷ついていました。ある時、母に手を上げた父に銃を向けたデズモンドは、二度と銃を手にしないと心に誓います。

第2次世界大戦が始まり、友人たちが次々と出征する中、自分も国家のために尽くしたいと願ったデズモンドは、衛生兵として従軍することを志願します。やがて沖縄の前田高地(ハクソー・リッジ)に赴いたデズモンドたちの隊は、想像以上に過酷な戦場を目の前にします...。

沈黙 サイエンス」での苦悩する修道士の姿が記憶に新しいアンドリュー・ガーフィールドが、本作では信仰にもとづく信念のもと、武器を持たずに多くの戦闘員たちの命を救った兵士を演じると知り、楽しみにしていました。

沖縄戦についてはひめゆりの塔などを通じて、本土決戦前の最後の砦としてどこよりも過酷な戦場となったことは理解していましたが、多くの日本兵・民間人のみならず、アメリカ兵にも多くの犠牲があったことを、本作を見て改めて思い至りました。

映画の舞台となった前田高地は那覇(首里)の少し北。切り立った崖という難所でもあり、首里陥落を目前に戦闘が過酷を極めたことが、凄惨な映像から伝わってきました。敵と味方が入り乱れて闘うカオスともいうべき戦場の中で、武器を持たずに救助活動を続けたデズモンドの信念の強さに圧倒されました。

デズモンドが信仰するセヴンスディ・アドヴェンティスト(SDA)は、キリスト教の中でも異色といっていいかもしれません。実は私のクラスメートにもSDAの信徒がいましたが、彼女は土曜日が安息日で授業に出席できないので、代わりにレポート提出が認められていました。

デズモンドの、軍に志願しながら”決して武器は持たない。人を殺さない”という宗教上の信念を貫く姿に、久しぶりに昔の級友を思い出しましたが、当時の日本で、ひとりの学生の信仰を尊重し、特例を認めた学校の英断を誇りに思います。

話はそれましたが、デズモンドは何度も軍から除隊を言い渡され、ついには軍法会議にもかけられますが、飲んだくれの父親が息子を思い、古い軍服を着てかつての上司にかけあってくれたことで、晴れてデズモンドの主張が認められたのでした。

戦場で武器を持たずに何ができるのかと思いますが、彼がほんとうに活躍するのは、戦闘がひと段落した後です。まだ敵がうろついている戦場で、怪我をして動けなくなっている兵士たちを見つけては、ロープをかけ、高い崖の上から次々と怪我人をおろしていきます。

日本軍が掘ったガマ(洞窟)も登場しますが、日本兵に見つからないよう傷ついた兵士たちを次々と助けていく場面は、映画らしくスリリングに作られていて、カタルシスを感じる場面でもありました。デズモンドが戦地で唯一銃を握ったのが、即席の担架を作るためというエピソードも心憎い。

戦場で75人を助けるという偉業を成し遂げたデズモンドですが、彼を援護した兵士たちの存在も忘れてはならないと思いました。

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レモンチキンのグリル & ブルーベリー・カッテージチーズケーキ

2017年07月07日 | 料理

最近SNSで見て、マークしておいたお料理をいくつか作ってみました。

Grilled Lemon-Oregano Chicken Drumsticks (bon appetit)

レモンチキンのグリル。鶏手羽元を、レモン汁・オレガノ・にんにく・オリーブ油・塩こしょう・レモンの皮のすりおろしでマリネしてグリルする、BBQシーズンにぴったりのお料理です。私はオレガノの代わりにタイムを使い、200℃のオーブンで焼きました。最後はぱりっと仕上げるために、250℃に上げて。

時間がなかったのでマリネ液をもみ込んですぐに焼きましたが、焼いている間に味がしみて、おいしくいただけました。

Zucchini With Shallots (New York Times)

ズッキーニのソテー。上の鶏手羽元のお料理の付け合わせに用意しました。エシャロットの代わりにたまねぎを使いましたが、甘さと香ばしさがあっておいしくできました。エシャロットで作ったら、個性的な味が楽しめそうです。

Raspberry-Ricotta Cake (bon appetit)

ブルーベリー・カッテージチーズケーキ。夜焼いて、翌日の朝食にいただきました。ラズベリーの代わりにブルーベリー、リコッタチーズの代わりにカッテージチーズを使い、すべての材料を3分の2にしてバターと塩はさらに少なくし、18㎝の円型で焼きました。

オリジナルのレシピ通りに、ブルーベリーの4分の1は生地の上に散らしましたが、生地がゆるかったのか、ブルーベリーが全体的に下に沈んでしまいました。でもカッテージチーズとブルーベリーのさわやかな風味でおいしくいただきました。マフィン型で小さく焼いてもいいですね。

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シェーンと、思い出のグランドティトン

2017年07月06日 | 映画

LOGAN ローガン」を見る前に、この作品に影響を与えたという「シェーン」(Shane・1953)を見ておきたくなりました。西部開拓時代のワイオミングの大地を舞台に、流れ者のシェーンと開拓民家族の交流、悪徳牧場主との戦いを描いた西部劇の傑作です。

南北戦争後のワイオミング州グランドティトン。ある日、開拓民のジョーの家に、シェーンという流れ者が立ち寄ります。開拓民たちは、もともとこの地に住んでいた牧場主ライカ―たちの横暴に苦しんでいました。ジョーはシェーンの人柄に惚込み、しばらくこの家に留まるよう勧めます。

その後、ライカ―の嫌がらせはますますエスカレートし、やがてジョーの仲間のひとりが、ライカ―が雇った殺し屋に殺されてしまいます。開拓民たちの間に動揺が広まる中、ライカ―に呼び出され、決死の覚悟で話をつけに行こうとするジョー。それをシェーンは力づくで止め、ひとり立ち向かいます...。

西部劇はあまりなじみがないのですが、本作を見てマフィア映画に通じるものを感じました。そして、これほど広い大地に住んでいても、人々は土地や水をめぐって争い、人間の性(さが)というのは古今東西、どんな環境においても、あまり変わらないのだと暗澹たる気持ちになりました。

ただ、開拓民vs悪徳牧場主というメインのストーリー以上に私の心をとらえたのは、シェーン、ジョー、そしてジョーの妻マリアンの間に生まれる、ほのかな恋愛感情と、それを越えた男の友情のドラマです。

夫を愛しながらも、どうしようもなくシェーンに惹かれてしまうマリアン。マリアンをシェーンに託して、仲間たちのために命を懸けることを決意するジョー。そしてそんなジョーに代わって、大切な人たちのためにただひとり立ち向かい、去っていくシェーンの男気に泣けました。

***

舞台となるワイオミング州グランドティトンの雄大な自然も、本作の魅力です。グランドティトン国立公園は、イエローストーン国立公園のすぐ南にあり、私も10年前に訪れたことがあります。

グランドティトン国立公園 (2007-07-24)

東海岸の穏やかな山々とはまったく様子の異なる、高く険しい青い山々。その谷間には緑の森と湖、蛇行するスネイクリバーと平原が広がっています。畏れを抱くほどの荘厳な美しさと、生命の源を感じさせる優しさと...初めて訪れたのに、なぜか包まれるような懐かしさも感じる場所でした。

【関連記事】LOGAN ローガン (2017-07-03)

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LOGAN ローガン

2017年07月03日 | 映画

X-MENシリーズの中心キャラクター、ウルヴァリン/ローガンにフォーカスしたスピンオフ・シリーズ第3作にて最終作。監督は、前作「ウルヴァリン:SAMURAI」で監督をつとめたジェームズ・マンゴールドが続投しています。

LOGAN ローガン (Logan)

X-MENシリーズは最近は見ていないのですが、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンには思い入れがあったので、今回は見ようと決めていました。本作に影響を与えたという「シェーン」(1953)も予習してスタンバイしていましたが、いろいろあって先週ようやく見てきました。

ちなみにX-MENのコアなファンからはあまり評価の高くない「ウルヴァリン:SAMURAI」も、私は”とんでも設定”が結構楽しめちゃったのですが、本作はそれとは打って変わってリアリズムを追求したシリアス路線で、深い人間ドラマに心を揺さぶられました。余韻の残るエンディングもすばらしく、シリーズのラストを飾るのにふさわしい作品でした。

舞台はミュータントが絶滅の危機にある2029年、メキシコ国境に近いテキサス州エル・パソ。ローガン(ヒュー・ジャックマン)はリムジンの運転手として生計を立てながら、老いたチャールズ(パトリック・スチュワート)を助け、廃工場でひっそりと暮らしていました。

ある日、ローガンはガブリエルと名乗る女性から、ローラ(ダフネ・キーン)という少女をノースダコタ州のエデンという場所まで送り届けて欲しいと懇願されます。最初ローガンは断りますが、組織から不意打ちに襲撃を受け、なりゆきからローラ、チャールズとともに逃避行の旅に出ます。

本作のローガンは不老不死の能力が薄れてすっかり老け込み、チャールズは認知症を患っているというショッキングな設定です。最初は面倒に巻き込まれることを疎み、ローガンはローラを受け入れることを躊躇しますが、のちにガブリエルが残したメッセージビデオから、ローラがローガンの遺伝子を引き継いだクローンであることが明らかになるのです。

組織はミュータントの遺伝子を使って、メキシコの研究所で残忍な人造兵器としてクローンを作っていましたが、自我をもったミュータントたちが手に負えなくなり、虐殺することを決めます。そこでガブリエルたち看護師によって助けられたミュータントたちが、安息の地を求めてエデンを目指す...というストーリーです。

ローラを演じる新星ダフネ・キーンちゃんが実に魅力的でした。野生動物のような鋭い眼光と抜群の身体能力、凶暴性を兼ね備え、心を閉ざした表情からは、ローガンと同じ孤独と悲しみが伝わってきて、胸をつかれました。

逃亡の旅を続ける中で、ローガンとチャールズ、ローラの間に疑似家族のような関係が築かれるにつれ、ローラが少しずつ人間らしい落ち着きを見せ、行動がコントロールできるようになっていきます。ひょんなことから農家の家族を助けた縁で、つかの間の家庭の温かさに触れる場面では、ローガンと「シェーン」の姿が重なって、胸がしめつけられました。

異分子とみなされているミュータントたちが最後にアメリカを出てカナダを目指すところは、移民たちを排除しようとしている現トランプ政権への批判のようにも受け取れました。ラストの祈りのことばは「シェーン」のワンシーンから。平和への切なる願いも感じ取れ、心にずしりと響きました。

【関連記事】シェーンと、思い出のグランドティトン (2017-07-06)

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