やっと「あきない世傳金と銀10」の順番が回ってきて図書館から借りることができました。久しぶりに「幸」や「菊栄」さんに出会えました。今回は肌着のような湯帷子を藍色地に花火や鈴の模様で染めて、「浴衣」に格上げして、そのままお風呂屋さんに行けるというその当時にしては画期的な名案でした。呉服商(絹)だった「五鈴屋」が、太物商(木綿)になったのは幸の妹「結」の裏切りが元でした。それを乗り越え、2年の年月をかけて、お金持ち、貧しい人、男、女、子供と区別なく誰でも着られる浴衣を、それもお洒落で心が華やぐような粋な浴衣を考えました。夏は涼しく、冬は肌に添って暖かい肌着として、一時の流行で終わらせず、飽きられずにずっと庶民の生活に使われるようにいろいろ知恵を絞りました。それに携わっている生地を作る人、型彫師、型染師みんなが同じように利益を受け取れるように考える幸でした。浴衣はこのような経緯で作られたのかと思いました。いろいろな人の苦労があり、知恵があり完成したことを知ると、浴衣を見る目も変わります。浴衣作りに一丸となって月日をかけて成功に導くお話でした。開発過程では「秘すれば花」―世阿弥の言葉や「言わざるが花」という言葉が出てきました。「深く静かに潜航せよ(映画)」ではありませんが、浴衣が日の目を見るまでは極秘のうちに事が運ばれました。今回は努力が報われるお話で嬉しくてワクワクして読みました。早く11巻を読みたいです。
2022ー2ー5(土) 図書館資料 請求番号:913/B/タカー10