10時と3時のいっぷく

零細建築設計事務所の日常とその周辺を、コーヒータイムに綴ります。

近代建築撮影行脚-郵便局が面白い

2006年01月29日 | まちかどの近代建築写真展
前回の峡北に続いて今日は盆地の南西部を廻りました。南アルプス市の旧櫛形・甲西、それに増穂町、鰍沢町、富士川を超えて旧市川大門町、上九一色村です。南アルプス市の幾つかの建物は取壊されていたものがありました。旧甲西町の安藤家(重要文化財/1708年築)は近代建築ではありませんが、寄ってみました。丁度消防団による訓練をするところで、通常は見学料がいるのですが、見学者の避難訓練に参加してくれとのことで、無料で見学することができました。そして、すぐ近くに「日本近代建築総覧」や県の「近代化遺産リスト」にも載っていない物件を発見しました。「旧南湖郵便局」です。荒れていましたが、各地に残る郵便局同様洒落たデザインです。屋根裏の換気口がポストマークでした。
最後に訪ねた「旧上九一色郵便局」の庇廻りもなかなか凝ったデザインでした。


ところで写真展の準備状況ですが、今一番の問題は、写真を展示するパネルです。会場の甲府カトリック教会の講堂は展示用の空間ではないので、壁がありません。従って“衝立て”が必要になります。これを9日間無償で貸してくれる所などなく、ましてやリース業者に問い合わせたら、結構なお値段です。看板屋さんに簡単なものを作ってもらう方が安いのですが少しはお金が掛かります。どこかスポンサーになってくれる企業を捜すか、思案中です。

情報伝達訓練

2006年01月17日 | 研修・自己啓発
今日は阪神淡路大震災から11年目。毎年この頃に“応急危険度判定士”の情報伝達訓練を行なっています。
『近県で地震が発生し、判定士の出動要請が来た』という想定で、登録している判定士に電話連絡をする訓練です。私は“連絡責任者”という立場で、“連絡網リーダー”からの連絡を受け、4人の判定士の方々に電話で伝える役目です。私までは、あらかじめ知らされていますが、一般の判定士には抜き打ちです。4人のうち二人には直接伝わりましたが、残る二人は不在でした。
2年前の新潟中越地震の時、山梨県でははじめて訓練でなく実際の出動要請があり、第1陣として出動した20人のうちの一人として現地に赴きました。最終的には3陣まで出ましたが、この時の情報伝達の実際はどうであったのか、検証されたのか、知りたいものです。私の知る範囲では、最初の20人のうち県職員が2名、残りは民間人でした。2陣からは逆転したようですが、民間から人を集めるのは大変な事だと思います。私が連絡したその時の4人も、様々な理由で出動を断られました。

防災のヒントは古地図にあり

2006年01月16日 | 研修・自己啓発
文部科学省/山梨県/山梨県地震防災対策推進協議会が主催する、地震防災セミナーに行って来ました。市町村の防災担当者や消防関係者、地域の自主防災組織の関係者など約300名ほどが聴講しましたが、私のような建築設計者はほとんどいなかったと思います。
セミナーは最初に文部科学省の係官から、「全国を概観した地震動予測地図」について説明がありました。これには日本列島の断層の位置が書込まれ、今後30年以内に震度6弱以上に見舞われる可能性がパーセントで色分けされています。身近な所では南関東地震が70%程度、東海地震が86%となっています。これらの数字は26%が平均的に約100年に1回という目安だそうですから、70とか80%という数字がどれくらいか想像できるでしょう。別の見方で言えば2035年±10年が“Xデー”に相当するとのことです。
次に、「地域防災力をどう高めるか」というテーマで某大学の助教授の講演がありました。その中で興味を引いたのは、古地図に防災のヒントが隠されている、ということでした。明治、大正の頃の地図と現在の地図を見比べて、沼や湿地のあった場所、河川の流れが現在どのように変化しているのか、地盤の弱い所、浸水の恐れのある所などが、古地図から推測されるということでした。
私がこのセミナーを受講しようと思ったのは、一昨年の新潟中越地震の時に、“応急危険度判定士”として現地で経験した事と、ボランティアをしている団体の役員をしていた時に、災害に対して募金だけでなく、何か行動できないかと考えていたからです。近い将来必ずやってくる大地震に対して、今のうちからやっておくべき事があるような気がしてなりません。

モダニズムの先駆者「前川國男建築展」

2006年01月09日 | 研修・自己啓発
急な私用が出来て、東京駅まで行く事になりました。丁度ステーションギャラリーで開かれている「前川國男建築展」を見て来ました。前川の生誕100年を記念して開催されているものです。東京文化会館や東京海上ビルといった代表作の写真、図面、模型が年代順に展示されていました。モダニズムの先駆者として大きな業績を残した前川國男に改めて感動を憶えます。なお、ステーションギャラリーはこの前川展を最後に東京駅の改修復元工事のため5年間休館となるそうです。

明治8年の扉

2006年01月08日 | 建築ウォッチング
旧津金学校(須玉町)は明治8年の建築です。ここには、大正、昭和の校舎もあり、「三代校舎」として、町も売り出しています。一番古い明治校舎がデザインでも一番異彩を放っています。藤村式建築としては規模の大きい方だと思いますが、西側面の中ほどに出入りの為の扉がついています。Rの庇、扉のデザインといい130年前のデザイン力に驚かされます。

近代建築撮影行脚

2006年01月07日 | まちかどの近代建築写真展
4月の「まちかどの近代建築写真展」に展示するため、県内の近代建築の撮影行脚を始めました。
今日は峡北地方です。今は合併して北杜市になりましたが、旧北巨摩郡の須玉町、高根町、長坂町等を歩きました。日本建築学会で編纂した『日本近代建築総覧』を虎の巻にして歩きました。用途が変わっても長く愛されているのを見ると、この仕事もまんざらではないと思います。今日の収穫は旧高根町の「旧明治医院」現在は若い夫婦が蕎麦やさんとして使っています。おそらくこの建物に惹かれて、こんな田舎で蕎麦やを開業したのでしょう。今日は昼時とずれたので、桜の時期に蕎麦を食べるのと合わせて再訪したいと思います。