10時と3時のいっぷく

零細建築設計事務所の日常とその周辺を、コーヒータイムに綴ります。

設計等の業務に関する報告書

2009年03月23日 | 未分類
一連の耐震偽装事件の余波で、建築関連の法律が改正されたり、新しい法律や制度が出来たりと、目まぐるしい昨今です。その中の一つに、建築士事務所の業務を当局へ毎年報告することになりました。これまでは、5年に一度の事務所登録の更新の時に行なっていたのですが、これからは毎年年度末に行なう事になり、本日その届けを提出してきました。

提出先の県の出先機関は、以前確認申請を提出していた部署で、最近は民間検査機関に提出していますので、こちらへは久し振りでした。確認を提出していた頃は、駐車場もいっぱいで、その部署にも必ず何人か訪問者がいて、順番を待つ事もしばしばだったのですが、今日は駐車場も空いていて、担当部署もお客さんは小生一人でした。これでは県の職員さんも集中して仕事がはかどる事と思います。

確認の審査が民間にも開放されてから、役所の窓口への申請は随分減った事は承知しています。それに関して前々から気になっていたのは、確認申請には、手数料を支払います。一般的な住宅(約40坪とした場合)では14,000円(4月からは値上がりするようですが)、また、確認申請だけでなく、中間検査や完了検査にも手数料が同じくらい発生しますので、バカにならない金額になります。
こんなに減ったのでは、役所の財政にも影響がないのかと余計な心配をしてしまいます。

確定申告

2009年03月10日 | 未分類
今年も確定申告の季節、本日夕方提出してきました。以前は申告書類をつくるのに結構時間がかかりました。家を建てたばかりの頃は住宅ローン控除とか、減価償却の対象になる機器類も結構あったのですが、最近は償却期間が過ぎて、家のほうも来年から対象になりません。従って差引かれる項目がだんだん減ってきているのですが、良くしたもので(?)収入もそれに応じて減少していて、短時間で書類を作成することができました。

200年住宅の嘆き節

2009年03月05日 | 研修・自己啓発
「200年住宅構想で何が変わるのか? 知らねば負け組! 工務店・ビルダ-の生き残り戦略」というテーマのセミナーに出席しました。建築CADソフトのベンダーが主催したものです。当事務所はビルダ-ではありませんが、もう一つ「今、施主が振り向く提案方法」というテーマのセミナーが引き続きあったので、この二つを申込みしました。

200年住宅については、福田前首相が口にしていたので、お聞きになった方もおられると思います。正式には“長期優良住宅”と言って「長期優良住宅普及促進法」という法律が昨年12月に成立し今年6月4日からスタートします。内容は特にびっくりするような材料を使うというような事でなく、例えば、(1)構造躯体の耐久性 (2)耐震性 (3)内装・設備の維持管理の容易性 (4)変化に対応できる良質な居住空間 等となっています。これらは、通常設計において当然心掛けていることです。もう一点の特徴は、定期点検の計画が策定されていること、というのがあります。これに伴い住宅履歴情報を整備する必要が出て来ます。これまでの我が国の住宅行政は量を供給することに主眼が置かれていました。“スクラップ&ビルド”の消費社会の典型です。ところがここに来て、小子化や環境問題が言われ、“ストック”型の社会にしなければ、ということで、方針が変わってきたのです。法律でわざわざこんなことをしなくても、私なんかは元々そういう考えで仕事をしてきましたので、どこか変な感じがします。講師は建築行政に明るい弁護士の方だったのですが、これも住宅メーカーのビジネスチャンスを助ける法律かな、と言っていました。

二つ目の「今、施主が振り向く提案方法」は、主催のソフトの宣伝で、このソフトを使っていない私にはあまり関係ない内容でした。このソフトは「建築専用CAD」で、建築に特化したCADで価格も高価です。私は「汎用CAD」と言って、建築のみならず、図形の作成全般が出来るソフトを使っていて、安価なものです。専用CADですと、“伏図”と言って、梁の架構設計など、自動で出来るという説明でしたが、これは感心できません。伏図は、やはり設計者が架構を考えながら行なうべきもので、そういうことを“設計”と言うのです。コンピューターがいくら正確に早く結果を出したとしても、それは“設計”とは言えません。一つ一つ柱を決め、梁を決めて行く手順が、手間が掛かっても結果的には“長期優良住宅”になるものと思います。それは設計者自身にも設計した意味を与えるものと思います。法律でこういうことまでしなければならないほど、我が国の住文化は失墜してしまったということでしょう。