10時と3時のいっぷく

零細建築設計事務所の日常とその周辺を、コーヒータイムに綴ります。

『一建築家の信條』

2005年11月27日 | 建築の話題
このところ巷間を賑わしている建築界の不祥事、会う人毎にこの話題になります。構造計算書を偽造した設計者、建設会社からの圧力、他に何があったのか分かりませんが、とにかく何とも言えないやるせなさを感じます。23年前に事務所を始めた時、3つのしないことを心に決めました。
1.公共工事の設計はしない。
2.ゼネコンの下請はしない。
3.設計の営業活動はしない。
というものです。公共工事の設計者の選定は今では随分改善されましたが、当時私が知る範囲では、「設計料の入札」をするか、仲間同士で仕事を割り振っていたのがほとんどでした。これら3つの事を格好良くまとめれば、「自由と独立」という言葉に象徴されるでしょう。私の事務所のサイトのプロフィールの欄にも経営信条として書いてあります。われわれ建築士はいかなる組織・団体・個人等から制約も拘束も受けないし、ましてやいかなる圧力にも屈しないというものです。
私がこのような考えになったのは、一人の建築家の生きざまに影響を受けたからです。その人は日本の近代建築をリードして来た前川國男。ここでは詳しく書けませんが、私が独立する直前に出版された『一建築家の信條』という本をたまたま読んだことにもその一因はあります。前川へのインタビューと彼の文集で構成された本です。

ところで、23年経った今も、“三箇条”を守っているかどうか、ですが、相変わらず進歩のない人間のようで、ほぼ守っている(守るというような意識はしていないのですが)といっても良いでしょう。
ただ、最近ウェブサイトからの仕事が増えているのですが、これは“営業活動”には該当しないことを宣言しておきます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿