しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「背の眼」  道尾秀介  

2012年05月05日 | 読書
「背の眼」  道尾秀介      幻冬舎

作家の道尾は久しぶりの旅行で、福島県の山中にある白峠に来る。
最寄駅のI駅で、白峠で4人の男の子が行方不明になっている事件を聞く。
地元では天狗による神隠しとの噂があると言う。
宿泊先の民宿“あきよし荘”の近くを流れる白早川の河原で、道尾は一人で座り込んでいる老人を見かける。
それは、行方不明になった男の子の祖父で、その子の遺体の一部がこの河原で見つかったと言う。
そこで、呟くような声を聞く。
「レエ、オグロアラダ、ロゴ…」
その意味に気が付いた道尾は、怖くなり逃げ帰る。
そして「霊現象探求所」を構える友人・真備のもとを訪れる。
そこで真備から『背の眼』と書かれたファイルを見せられる。
それは白峠付近で撮影された、人の背中に眼が写っている4枚の写真だった。
そして、その人たちはその後自殺していると言う。
道尾と真備と助手の北見凛は白峠に向かう。






作家の道尾、霊を探究しながら不思議な謎を解明する真備、人の話が真実かどうかが分かる北見のトリオ。
作家の関口、憑き物落としの中禅寺、記憶が見える榎木津の3人を思い出させる。
物語の中で薀蓄も披露されるのも。
しかし、「この世に不思議なことなど何もない」と言う中禅寺と比べ、こちらは「世の中には不思議なことがある」と。
「背中に現れる眼」が1番のポイントだと思っていた。
その眼が現れる人が自殺するという、ショッキングな事実。
その謎が1番に知りたいことだったので、それが曖昧。
ホラーの分類に入るのだから、曖昧でいいのかも知れないが。
少々、こじつけな感じもある。
納得するために、多分そうなのだろうと言う理由を見つけている。
余りにも自殺するとは考えられない人が自殺している。
そんな風に謎を深まらせて、人が自殺するほどの悩みを抱えているかは、他人には分からない、とは。
子どもが次々に行方不明になるのもそう。
動機と起こったことがアンバランスな感じがする。
背中の眼がなくても、子どもの失踪と天狗伝説で大丈夫な気もする。
雰囲気を盛り上げるのにはよかったが。
少々引っ掛るところはあるが、面白かった。

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