しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ヴァンパイア・レジェンド」 Studio Life

2006年03月02日 | 観劇
2006.2.25(土)~3.12(日)アートスフィア 
『吸血鬼カーミラ』レ・ファニュ が原作。
ストーリーと流れは原作と同じ。
違うのは主役が女性から男性に、性別が変わった事。
本はローラとカーミラが、舞台はジョージとゼーリヒになる。
それに伴い、ローラの父親はジョージの母親になる。将軍の姪は甥になる。後は同じ。

2時間10分で休憩はなし。
セットもシンプルで、道具の出し入れもないので待ち時間がなく、テンポよく進んで行く。(舞台はゆったりとしたテンポだけれど)
真ん中にベッドが滑る様に出入りする。とてもスムーズに動くので、どうやって動かしているのだろうと思ったら、人力だった。
2階席の時にベッドの後ろに人が張り付いて動かしているのが見えた。あのスムーズな動きは凄い。ヴァンパイアが後ろから登場する時は佐野さんだろう

倉田さんの演出は原作通りで、今回もほぼ原作通り。それが嬉しいのだが、只、原作でまどろっこしいと思う場面をそのまま演じられると、やっぱりまどろっこしい。会話が多いから尚の事かも知れない。
例えば、ラフォンテンが「馬車にもう一人の人が乗っていた」と話すが、原作でもそれがどうしたの?と後に続く話しがない。舞台でもそれは同じだった。
将軍とゼーリヒの母が話す所も長かった。
後、情景を説明してくれるが、本だと読んで自分の時間で想像をしていけるが、舞台だと人の話すテンポで考えるので、あまり長いと思い浮かぶ前に次に行っている感じがする。その情景を照明やセットなど表せるから、あまり長い説明はいらない気がする。
ジョージとゼーリヒの物語なので、その分、2人のシーンをもっと見たかった気がする。

舞台は、最初と最後に現代がある事。
ヴァンパイアは現代にも生き続けていると言うラストシーン。吸血鬼ものにはありがちだけれど、こういう終り方は好き。
この様なシーンを見ると、萩尾都望さんの『ポーの一族』のキリアンを思い浮かべる。
キリアンはあれから、どうなったの?萩尾先生、もう続きは描かないって言っているけど、気になる。
(余談だが、ベルリンの壁が崩壊したニュースを聞いた時に、真っ先に「キリアン、壁がなくなったよ」と思った)

Wキャストで
「Venom(ヴェノン)」 笠原ゼーリヒと曽世ジョージ。      
笠原ゼーリヒからは孤独を感じた。
吸血鬼になってしまった自分を呪っている様な激しさもある。そして感情をストレートにジョージにぶつける。 
激しい分、ジョージの戸惑いが大きくなって、反感も多少ある。ゼーリヒに魅せられていても、素直には表せないジョージだった。         
感情も起伏が大きく激しい笠原ゼーリヒに圧倒されている曽世ジョージ。
ジョージの母親のエリザベス。林さんのシングルの役だが、
エリザベスは、笠原ゼーリヒに対して、段々疑いの目を向ける。
ジョージの病の原因は、ゼーリヒではないかと気付いて来ていた。
藤原ラフォンテンもゼーリヒの事はあまり好ましく思っていないのが態度に出ている。
そんな所でもゼーリヒは孤独に存在に感じる。人を受け入れない強さと気高さ。
ジョージを自分の物にしようとする気持ちからの優しさ。

始めにVenomを観たが、2人の会話がなんとなくワザと幼くしている様な感じを受けた。(Viceには感じらなかった)          
ジョージは18歳で、ゼーリヒも同い年と言う設定だが、Venomはもう少し上で、Viceはもう少し下の様な感じがした。          

「Vice(ヴァイス)」 及川ゼーリヒと山本ジョージ。(あれっ、山本ジョージだ)
及川ゼーリヒからは吸血鬼になってしまった哀しみを感じた。
『ポーの一族』のエドガーを連想させる。ジョージの血を吸った事に対しても、村人が死ぬ事に対しても、辛そうな様子をみせる。
ジョージへの接近の仕方もソフトで、ジョージに嫌われない様に、相手が受け入れてくれるのを待っている。(でも、あんな目で見詰められたら、直ぐに魅せられてしまいそう)ジョージは戸惑いながらも、すぐにゼーリヒの事が好きになっていた。
可愛いゼーリヒにジョージは守ってやろうと言う気持ちも芽生えていた。 
行商人との場面はVenomとまったく違って、ジョージは自分も怖いのに、頑張ってゼーリヒを庇っていた。その姿が本当にお坊ちゃまで可愛かった。
エリザベスは、及川ゼーリヒには疑いは持たず、最後まで心配していた。 
石飛ラフォンテンも優しく気遣う様に接していた。そんな誰からも愛される雰囲気が及川ゼーリヒにはある。                   
それで時々、冷たい表情をするのが、やっぱり吸血鬼なのだけれど。
及川さんにしか出来ないゼーリヒで、及川・山本のコンビもしっくりしてい良かった。やはりこの2人は似合う。

Wキャストでこんなに違う印象を受けたのは始めてかも知れない。ストーリーもさる事ながら、2チームの違いが面白い。

血を吸う場面は、ヴァンパイアとして、フードを被った佐野さんが登場する。
あのマントを付けたまま、宙返りをしたり、アクションが凄い。
荒々しく、笠原ゼーリヒだとああなるかも知れないが、及川ゼーリヒだと、もう少し優雅に動きそうな気もするが、これを変化させるのは難しいのだろう。

音楽はクラッシックからロックまで色々使われていたが、吸血鬼にロックは似合う。
音楽はいつもいい。

原作と同じ、美しく妖艶な雰囲気が出ていた。吸血鬼物は好きなので、『DRACULA』とはまた違う、吸血鬼みられて良かった。

*ちなみにVenomとは、(さそりや蜂などの)毒液で、Viceは悪の意味。
今回、チーム名は開幕してから知ったので…覚えられない。


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