しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「さよなら、コンスタンス」 レイ・ブラッドベリ  

2006年03月03日 | 読書
暗い嵐の夜だった。
1960年、「私」は38歳。作家としてタイプライターに屈み込んでいる時、コンスタンスが、2冊の黒い冊子を持って来た。
それは古い電話帳と古いコンスタンスの住所録。
もう死んでしまった人がほとんどの、まるで「死者の書」。
その何人かに赤い十字架が書かれ、その中にコンスタンスもいた。
それが、コンスタンスに送られて来て、パニックになって助けを求めてきたのだ。
しかし、コンスタンスは姿を消し、「私」は友人のクラムラー刑事の助けを借りて、赤い十字架がついた人を訪ねて、謎解きをしようとする。
訪ねたのは、コンスタンスの最初の夫、その結婚を勧めた占い師、映写技師のコンスタンの父、牧師の兄。
しかし、コンスタンスは「私」の前にすでに訪ねており、その人達は「私」が訪ねた後に、次々と死んで行く。


一応、謎解きは「私」が、ポアロの様にするのだが、その回答が正解かどうかは分からない。
でも、そんなことはあまり関係ない話で、「私」とクラムラーがコンスタンスに関係のある人を探し回る過程が面白い。
映画に関わっている話が多く、もっと映画に詳しくて、ロサンゼルスに行った事のある人は楽しめるのだと思う。
映画が関係しているからか、会話が、やはり夢の世界に住んでいる人達のようだ。

新しい自分に生まれ変わる為には、過去の自分は消していかなければ、いけないのか。
今まで生きて来た道は取り消せない。でも新しくスタートは出来る。
古い物の価値は人によって違う。
自分の宝物が、他人にはガラクタな時もある。それぞれの気持ちを尊重して、干渉しなければいい。

「私」はブラッドベリ自身らしい。
現実世界から、ちょっと離れた所にいる様な存在。だから、ちょっと不思議な話になるのか。
これを読んでいて、2部の「黄泉からの旅人」も面白かったと、じわじわ感じる。
一連に流れているものが同じだから。これは、「私」の冒険3部作(1部は未読だが)の様だ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ヴァンパイア・レジェンド... | トップ | 「夜の大捜査線」1967米 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事