しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「フロスト始末」  R・D・ウィングフィールド 

2017年11月09日 | 読書
「フロスト始末」  R・D・ウィングフィールド  創元推理文庫   上・下巻
 A KILLING FROST           芹澤恵・訳

今宵も人手不足のデントン署において、運悪く署内に居合わせたフロスト警部は、人間の足遺棄事件と連続強姦事件、スーパー脅迫事件を押しつけられる。
そこへ赴任してきたスキナー警部補は、さながらマレット署長の小型版(体型は大型版)で、フロストを異動させるべくやってきた御仁だ。
署長と主任警部のイヤミ二重唱を聞かされ続け、超過勤務をぼやきつつも、フロスト警部は捜査をやめない、やめられない。
経験の浅い見習い婦人警官や、頼りにならない駄目刑事と行動を共にするうちに、さらなる難事件が‥‥。
   <文庫本上巻1ページ目より>

デントン署を去らざるを得ない状況に追い込まれたフロスト警部だが、刻一刻と期日が迫るなか、厄介な事件の数々は一向に解決の兆しを見せない。
少女の強姦事件、スーパーマーケットへの脅迫、別の少女行方不明‥‥・。
根性なしのマレット署長といけ好かないスキナー主任警部の助力は望むべくもない。
フロストはガタのきた身体に鞭打ち、ない知恵を無理やり絞り、わずかな部下を率いながら、睡眠時間を削って捜査に当たる。
法律をねじ曲げ、犯人と大立ち回りまで演じる、破れかぶれの警部の行く手を待つものは?
超人気警察小説シリーズの最終作。 
   <文庫本下巻1ページ目より>








フロストはやっぱり面白い。
今回も一気読み。
いつも人で不足で、事件が次々起こり、役に立たない上司に疎まれる。
同じパターンだが、それでも面白い。
デントンって、どうしてこんなに事件が起こるのか。
それも悲惨な事件が多い。
同じパターンと言いつつ今までとはちょっと違う展開も。
今まで、犯人と渡り合った事はなかったような。
フロスト警部が昔を振り返る場面もある。
まるで人生を振り返っているように、寂しさを後悔と。
警察官として真っ直ぐ進んでいるから、仕事人間になってしまったのだろう。
哀愁を感じるフロスト警部。
嫌な上司とも、真っ向から対立する事無く、受け流したり上手に避けたり。
部下の失敗にも臍を嚙みつつ、優しい。
最後はマレットやスキナーに、ぐうの音の言わせない位の結果を引き出して欲しかったが。
まさか、こんな結末になるなんて。
事件の結末も含めて、後味は必ずしも良くはない。
それも世の中の姿なのだ。

ウィングフィールド氏が亡くなり、これが遺作。
もうフロスト警部の新作が読めないのが寂しい。


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