しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「きたきた捕物帖」  宮部みゆき 

2021年09月22日 | 読書
「きたきた捕物帖」  宮部みゆき  PHP 

深川元町の岡っ引き、文庫屋の千吉親分がふぐ鍋を食って、中毒死する。享年46歳。
1番下の子分、北一は3歳の時迷子になり、そのまま親分に育てられた。
千吉は岡っ引きの手札を本所深川方同心・沢井蓮太郎から受けていた。
沢井はその手札を子分の誰にも継がせないと、千吉と取り決めをしていた。
それで、本業の文庫屋は一の子分の万作が受け継ぎ、他の子分は自分の居場所を探して出てく。
万作の女房おたまは、まだ生計の道がない北一と千吉の女房の松葉も追い出そうとする。
松葉は千吉と同い年で、子どもの頃に患った疱瘡で目が見えなかった。
差配人の富勘の計らいで、松葉には女中のおみつは別に家を借り、文庫屋の看板料を払う。
北一は富勘長屋に移り、今まで通り、文庫を天秤棒で売り歩く仕事を続ける事になる。
文庫とは、本を入れる紙製の箱だった。
千吉は松葉とおみつの手伝いもして夕食をご馳走になり、今までも雲の上だった松葉とも親しくなる。
やがて、北一は、「千吉親分がいたら」という言葉と共に、長屋で困った話や謎の話を聞くことになる。
それを松葉に話すうちに、北一は新しい事を知り、解決方法を見つけたりして行く。
そして、喜多次という不思議な青年とも知り合いになる。

第一話 ふぐと福笑い
呪いの福笑いがある。
1度も間違わないで完璧な顔を作らなければ、呪いは解けないと言う。

第二話 双六神隠し
子どもが行方不明になる。
それは拾った双六で遊んで、神隠しの所に止まったからだと、一緒に遊んだ友達が言う。

第三話 だんまり用心棒
富勘が男女の色恋の仲裁を頼まれる。
悪いのは男なので、策略を練りやっつける。
それを恨まれ、富勘は攫われる。
その場に同席した北一は、何とか富勘を助けようとする。
それを助けてくれたのは、北一が丁寧な仕事をした事で知り合った、喜多次だった。

第4話 冥土の花嫁
幼馴染と結婚するが、病で早々に亡くした大店の1人息子がやっと再婚する事になる。
しかし、そのお披露目の席に、幼馴染の生まれ変わりと言う娘が現れる。
娘は2人の子どもの頃の話をよく知っていた。






宮部みゆきさんの新シリーズで、タイトルの「きたきた」は、北一と喜多次のことらしい。
北一の成長物語という事で、いつか十手を持つ時が来るのだろうか。
本所深川は、他の物語にも登場する所。
今回も関りが見られる。
まだ頼りなく、気弱な北一だが、根が正直で一生懸命。
そして、それを助ける、周りの人たち。
喜多次の存在も謎で面白く、これから先が楽しみな物語。

今回は割とソフトな感じがまだ多かった。
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