しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「MW(ムウ)」 手塚治虫  

2009年07月02日 | 漫画
「MW(ムウ)」 手塚治虫    講談社・漫画全集

エリート銀行員、結城美知夫には凶悪犯罪者という裏の顔があった。
そして罪の懺悔に、愛人関係にある賀来巌神父もとを訪れる。
結城と賀来は少年時代に沖ノ真船島(おきのまふねじま)で、出会う。
その時、島に駐留する外国軍の秘密化学兵器「MW」が漏れ出し、島民全員が死亡する。
二人だけが助かるが、その事実は政府によって揉み消されていた。
結城の精神はその「MW」の影響を受けていた。
結城は「MW」を探し出し、世界を支配しようと目論んでいた。
一方賀来は、何とか結城を救おうと奔走する。



映画の公開の前に原作を読む。
映画は見に行かないと思うが。
前にも読んだことがあるが、暗い話であまり好きではなかった。
今回読んでも同じ様な感想だが、何となく最後は端折って終わってしまったような感じを受けた。
もっとMWを手に入れてからの何かがあったのではないかと。
連載は思うように行かないそうだから。
結城はバンパイアの間久部緑郎と重なる。
誘拐、変装、罪の意識はなく、世界征服を目論む。
劇画風なのでこちらはかなり生々しい。
あらゆる社会悪を描いて、何を伝えたかったのだろうか。
結城が悪に染まったのもMWの影響ということは、悪はすべて人間から生み出されること、ということか。
そして個人が行なう悪と、国や政府が行なう悪の対比も示されている気がする。
国や政府は隠そうを思えばどんな事でもやってしまうのだ。
最後にヒゲオヤジが叫ぶように、「国民をなめるなよ」と、みんながもっと世の中の事に関心を持って行く必要があるということか。
しかし読んでいて、1番嫌な人物だと思うのは賀来神父。
結構、結城にも利用されている。
悪ではないという側に立ちながら、その行動は悪の側にいるようだ。それがイライラさせられる。

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