しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「牧師館の死」 ジル・マゴーン  

2009年07月01日 | 読書
「牧師館の死」 ジル・マゴーン      創元推理文庫
 REDEMPTION    高橋なお子・訳

クリスマス・イヴの夜、事件の連絡を受けたデイビィッド・ロイド首席警部代理とジュディ・ヒル部長刑事は現場の牧師館へ向かう。
殺されたのは、ジョージ・ホイーラー牧師の娘ジョアンナの夫グラハム・エルストウ。
ジョアンナはグラハムの暴力により入院していてが、退院して実家も牧師館にいた。
グラハムはジョアンナを迎えに来て、酔って2階の寝室で休んでいた。
グラハムを残し、ジョージと妻のマリアン、ジョアンナは出掛けていた間にグラハムは死亡する。
鍵が掛かっていなかった家に何者かが入り込んでの犯行との見方もあったが、ロイドは家族の中に犯人がいると推測する。



ひとつの殺人事件に少ない容疑者。
容疑者は全員が、殺人をしそうにない人物。
動機から見るとありうるのだけれど、人を殺すまでは行かないというか、して欲しくないと言った感じの人物なので、
そのまま放っておいてもいいのでは、などと思ってしまう。
しかし、それは殺されたグラハムが、嫌な奴だと思っていたから。
段々その過去や過程が分かってくると、そうは言えなくなった。
容疑者は家族の中にいるので、お互いに庇い合うのだが。
お互いにただ相手のことを思って庇うだけではない、微妙な家族のようすも興味深かった。
人の心は、結局家族であろうと他の人には分からないものだ。
自分自身だって分からないのかも知れないのだから。
今回の事件を引き起こした背景は、始めのすれ違いが、最後まで修正が利かなかったから。
助け合えなかった家族。
今回は、ロイド警部とジュディ部長刑事の愛の行方もかなり深刻に展開している。
家族の在り方って何だろう、とこちらの方からも思う。
謎解きは充分楽しめる物語。

ジル・マゴーン、面白いのにあまり出版されていないようで、残念だ。
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