しましましっぽ

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「遮断地区」  ミネット・ウォルターズ

2015年12月11日 | 読書
「遮断地区」  ミネット・ウォルターズ   創元推理文庫    
 ACID ROW     成川裕子・訳

2001年7月28日(土)、バンデ―ル団地でデモから発生した暴動により、死者3名、負傷者189名の惨事が起こる。
バンデ―ル団地、通称アシッド・ロウは1950年代に作られた低所得者向けの住宅で、今はドラッグが蔓延し争いが日常茶飯事の場所となっていた。
そして、その造りは袋小路のように、団地全体がアクセス不能の砦のようだった。

ハンバート・ストリートに小児性愛者引っ越してきた事を聞いた、19歳のシングルマザー、メラニー・パタースン。
子どもが安心して外で遊べるようにと、他の母親に呼びかけ排除デモを計画する。
それを聞きつけた10代の少年たちは、騒ぎを起こせると火炎瓶を用意し始める。
ボス格のウェズリー・バーバーは15歳でドラッグ常習者だった。
同じ頃、ボーティスフィールド団地に住む、10歳の少女エイミー・ビダルフが失踪する。
そのエイミーをアシッド・ロウで見かけたという噂が流れ、デモも為の集まりは一気の暴動へと発展する。
そのデモの日、ナイチンゲール医療センターの医師、ソフィー・モリスンが緊急呼び出しで駆け付けたのは、小児性愛者とされた家だった。
ソフィーは、その家に監禁されてしまう。











2つの事件が同時進行して行く。
全く係わりはなかったのだが。
始めは、沢山の場面が出て来て、全体を掴むのに少々戸惑う。
自分の生活、と言うか日本の社会とか全く違う環境での物語。
この先どんな風に進んでいくのか分からす、なかなか面白さも感じられなかった。
しかし、デモが始まり、一気に面白さが加速する。
その時その時を、何かしようと頑張る姿も印象的。
ジミーが活躍し始めて、人と人の繋がりは、面白いと思える。
全く相入れないような人でも、接してみたら全然違っていたという驚きや感動が真っ直ぐに伝わって来る。
何事も、本当に知ると違うのだ。
一方のエイミーの事件でも、同じことが言える。
人が人として、自分を持って正しく生きようとする気持ちは本来は誰もが持っているものだろう。
それを潰したり、壊して行くのも人間。
コリンが悪い事をするけれど、それでも受け入れられる事がウェズリーの違いで現れる。
ウェズリーもきっとそんな人物がいたら違っただろうに。
人間ドラマとして、楽しめた。
ジミーとアイリーンのような、素敵な関係が生まれたのが、清涼剤。

今の社会も、もっと人と人の繋がりが上手く出来るといいのだが。
それは地域社会もそうだが、働く職場でもそうだろう。
みんな人間関係に疲れ、余計にギスギスしていくのだ。
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