しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「三島屋変調百物語事続 あんじゅう」  宮部みゆき 

2011年03月24日 | 読書
「三島屋変調百物語事続 あんじゅう」  宮部みゆき    中央公論新社

江戸は神田、筋違御門先の三島町の一角に店を構える袋物屋の三島屋。
主人の伊兵偉の姪、おちかが不思議な話の聞き役になる。
1度に1人ずつ、1話語りの百物語。

「逃げ水」
丁稚に来たばかりの平太の居る所の水が逃げてしまうという。
井戸もからからになってしまい、困った番頭が、平太と一緒にやって来る。
おちかは平太を三島屋に置くことにする。と、実際に水が逃げる。
平太は、故郷であった不思議な白子様の話をする。

「藪から千本」
三島屋の隣家、針問屋の住吉屋の箱入り娘、お梅がお嫁に行くと言う。
しかし、嫁入りの当日嫁入りの駕籠に乗ったのは別人だった。
お梅の母親、お路は心に秘めた物語を語る。

「暗獣」
三島屋の丁稚新太は同じ手習所に通う直太郎と喧嘩をする。
直太郎は父、与平の従弟の家、八百濃に養子に来たばかりで荒れていた。
与平は、お屋敷の雇われ用人だったが、その屋敷の隣の空き屋敷が火事になる。
そして与平と若党と女中の3人が焼け死ぬ。
おちかは直太郎の前の師匠青野利一郎から、不思議な屋敷の話を聞く。

「吼える仏」
青野利一郎の友人、偽坊主の行念坊。
行念坊は、諸国を流れ歩いている時に行き会った、隠れ里の話をする。
その村を統制していたのは、覚念坊という和尚だった。




新聞連載小説、挿絵が可愛いかった。
その挿絵がたくさん使われていたのは嬉しい。
『白子様』や『くろすけ』がイメージぴったり。
心と心の繋がりを感じることが出来る物語。
分かり合えれば優しさが溢れるが、すれ違うととんでもないことになり、呪われることも。
大切なものは何なのか。
どうしてすれ違ってしまうのか。
なかなか自分以外のものと付き合うのは、難しい。
周りに惑わされることなく、相手の気持ちにもなって見極められるといい。
それが出来る人たちが登場する。
不思議な物語も、最後はほっとさせてもらえるのが多い。

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