しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「背後の足音」   ヘニング・マンケル

2013年03月09日 | 読書
「背後の足音」   ヘニング・マンケル   上・下巻  創元推理文庫
 Steget Efter             柳沢由実子・訳

夏至前夜(ミッドサマー・イヴ)、三人の若者が自然保護地区の公園でパーティーを開いていた。
18世紀の服装、音楽、美味しい料理、ワイン。
物陰から彼らをうかがう目があるとも知らず…。
イースタ警察署に一人の若者の母親から、娘を捜してくれという訴えがあった。
夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ。
旅先からの絵はがきは偽物らしい。
捜査会議を招集したが、刑事のひとりが無断で欠席した。
几帳面な人物が、なぜ?
不審に思ってアパートを訪ねたヴァランダーの目の前に、信じられない光景が。
   <文庫本上巻1頁目より>

長年いっしょに仕事をしてきた同僚の刑事が殺された。
そのあまりに無惨な殺人現場に、ヴァランダーを始め、イースタ署の面々は言葉を失った。
どうやら殺された刑事は、夏至前夜に消えた若者たちの事件を調べていたらしい。
二つの事件は同一犯のしわざなのか?
調べ進めるうちに、次第に明らかになる同僚の隠された素顔。
自分はいったい、彼の何を知っていたのか。
焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が…。
糖尿病からくる体の不調と闘いながら、ヴァランダーは事件の真相に迫る。
    <文庫本下巻1頁目より>

クルト・ヴァランダ―シリーズ第7弾。







死が中心に置かれたような、重い雰囲気の物語。
同僚の死と、自分の孤独と、ヴァランダーの気持ちが丁寧に書かれ、自分も同じような気持ちになる。
みんな疲れているので、そんな状態も伝わる。
大きな喪失感。
事件そのものの解決に向けた捜査過程も面白く、推理物としても充分楽しめる。
何があったか、犯人はどう考えたかなど、発想しながら丁寧だ。
人はどれだけ他人を知ることが出来るのだろうか。
知ることが大事なのだろうか。

最後に分かる犯人の姿も、今までにないもの。
理解出来ない心理に悩むヴァランダーだが、誰も理解は出来ないだろう。
今の時代はそんな犯罪が増えている。
ジェネレーションギャップの年代は、随分小さい気がする。
5年違うと、かなり違うような。
しかし、これが書かれたのは1997年。先取りしているような。
時代の進化のスピードは、生活も変え、人の心も変えていくのか。
益々事件も心理描写の濃厚になっていく、ヴァランダーシリーズ。

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