しましましっぽ

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「ヒポクラテスの悔恨」 中山七理 

2021年12月20日 | 読書
「ヒポクラテスの悔恨」 中山七理   祥伝社  

浦和医大法医学教室の光崎藤次郎教授がテレビに出演する。
その時の発言が引鉄となり、テレビのホームページに書き込みがある。
それは光崎に対する挑戦。
『これからわたしは一人だけ人を殺す。絶対に自然死にしか見えないかたちで。
だが死体は殺されたと訴えるだろう。その声を聞けるものなら聞いてみろ』と。
埼玉県警捜査一課の古手川和也刑事は神経を尖らせ死亡検案を調べて行く。
法医学教室の助手の栂野真琴も一緒に行動する。
声を聞いたのは、「老人」「異邦人」「息子」「妊婦」「子供」。





事件の真相とそれを解剖で解決する所はそれなりに面白い。
しかし、その取り掛かりが、今回の予告に適しているか判断するのは無理がある。
かなり強引。
結果として事件になるのは、物語だからだ。
そして、解剖にたどり着くまでのゴタゴタする過程はどれも似ている。
身内が死んだとき、なぜ死んだのかを知りたくはないのは、疚しい所があるから。
その遺族とのやり取りが、パターン化している。
真琴と古手川の会話や、真琴の気持ちを表す表現も、前にもあったような感じ。
今回の犯人からの挑戦は、ちょっとありえないような。
そんなに全ての死亡検案を調べられるのだろうか。
事故も病気もあるのだから。
光崎教授の30年前の事件も、取って付けたような扱い。
これをクローズアップするなら、もう少し別の物語があってもよかった気がする。
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