しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「乱反射」  貫井徳郎 

2012年04月14日 | 読書
「乱反射」  貫井徳郎       朝日新聞出版

「これは、あるひとりの幼児の死を巡る物語である。」
加山聡は、新聞記者。
突然の、幼い息子健太の死に激しく動揺するが、何故健太が死ぬことになったのかを知らなくては思う。
事故だとしても、なぜそんな事故がおきたのか。
加山は新聞記者として被害者の父親として、関係者と思われる人たちの話を聞いて行く。





「これは、あるひとりの幼児の死を巡る物語である。」
ここから始まる物語は、カウントダウンのように関係があると思われる人たちの生活が書かれていく。
ひとつひとつを取れば、それは大きな問題ではないのだが。
集約というか、“風が吹けば桶屋が儲かる”的に進んで行く。
モラルの問題。
誰もが多かれ少なかれ、社会にあるルールに違反はしているだろう。
申し訳ないと思いながらの人もいれば、なんの罪悪感もなくしている人もいる。
誰にも迷惑掛けていないという理由をあげて。
確かに、誰にも迷惑は掛けていないように思われるものもある。しっかり迷惑なこともあるけれど。
それが誰にどんな影響を与えるのか、本当のことは誰にも分からないのだ。

その後に加山が話を聞いた人たちの反応も興味深い。
自分の不利になるようなことは、絶対に言わないのは、今の社会の流れ。
人に対する気持ちは、プラスよりマイナス傾向。
それが、人間社会をどんどん悪くしているとも思う。
例えば何か合った時も、すぐ「ごめんなさい」と言ってはいけない、と。
それは自分に非があったことを認めて、責められるこのになるかも知れないから。
とても寂しい考え方だと思う。
そう言う社会になってしまったのは、何故なのだろう。


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