しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「百器徒然袋―雨」   京極夏彦  

2012年04月10日 | 読書
「百器徒然袋―雨」     京極夏彦    講談社ノベルス

「鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱」
僕の18歳になる姪の早苗は、とある立派な屋敷に住み込みのメイドとして働きに入った。
そこの息子とその友達に暴行を受ける、それが原因で自殺を図る。
屋敷に抗議に行っても反対に、言い掛かりを付けられ追い返される。
そのことを知り合いの大河内に相談に行くと、それは探偵の仕事だと、薔薇十字探偵社を紹介される。
榎木津は、中禅寺を引っ張り出し、その連中を同じ目に合わせてやると言う。

「瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤」
僕が薔薇十字社を訪ねた時、榎木津礼二郎の父親から砧青磁の瓶を探して欲しいと電話がある。
ちょうど居合わせた、古物商、待古庵の今川雅澄が、それは高価で珍しいので、見つけられないと言う。
それでも探せと言われ、追い出される。
その後僕は京極堂を訪ねる。
そこで砧青磁の話をすると、赤坂の壺屋敷にはあるかもと、中禅寺の奥方が言う。
そこは山田家で、壺収集家の主人が、兎に角集めて、家の中も庭もいっぱいだが、先月亡くなり孫が中禅寺にお祓いを頼みに来たと言う。
僕は気になり、その屋敷を見に行き孫の山田スエと出会う。

「山嵐 薔薇十字探偵の憤慨」
常信和尚から、頼みがある。
18年ぶりに武蔵野の南町にある禅寺、根念寺の跡取り古井亮沢に会おうと連絡したら、そんな人は知らないと言われたと。
根念寺は今、薬石茶寮を境内に構え、美食家の間でも評判になっていた。
榎木津、中禅寺、関口は客として乗り込む。







タイトルから分かるように、榎木津礼二郎が主役の物語。
主役と言っても、いつもの通り自由に動き回ったり寝てしまったり。
なので、物語を作り上げるのは榎木津が下僕と呼ぶ周りの人たち。
最後に登場して、いいところを持って行くのが榎木津。
1人称の物語。
「鳴釜」で依頼人だった、最後に本当の名前が分かる人物。
その人が加わり仲間が増えるが、その彼から見た榎木津の世界。
榎木津が主人公だから、深刻な事件もあるのだが、物語はギャグっぽい。
引きずり出される京極堂も、それにつられるようにいつもより表情が豊か。
榎木津が過去を見ると言うのが、どういう事なのかがよく分かる。
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