しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「トーマの心臓」   森博嗣 

2011年11月19日 | 読書
「トーマの心臓」   森博嗣       メディアファクトリー

萩尾望都の同名漫画のノベライズ。

ユーリに思いを寄せていた、下級生のトーマが死ぬ。
駅で凍った陸橋から足を滑らせて転落したと言う。
死んだ後、トーマからユーリに手紙が届く。それは遺書だった。
同室のオスカーは、ユーリを心配するが、ユーリはオスカーに頑なな態度を見せる。
そんな時、トーマにそっくりな転校生エーリクが現れる。





萩尾望都さんの「トーマの心臓」は、大好きな思い入れの強い作品。
だから読まない方がいいかと思いつつ、やはり気になって読んでしまう。
同じように思って観た、Studio Life の演劇は予想を裏切る良さだったから。
ちなみに、それでStudio Life にもハマったのだが。

設定は日本で、名前は渾名。
しかし、それ以外は漫画とほとんど同じなので、かえって違和感が。
どうしても、漫画の場面を思い浮かべて読んでしまう。
ユーリ、オスカー、エーリクは3人とも漫画より穏やかで、優等生。
エーリクのかんしゃく玉のような性格は見られない。
オスカーの視点で書かれている。
オスカーはいないところであったユーリとエーリクの争いは、エーリクの言葉で語られるのみ。
それも冷静に伝えるエーリク。
ユーリの落ち着かない気持ちも理解しているようだ。

漫画を知っているから物語も分かるのだが、これだけを読むとどんな感じなのだろう。
なぜトーマが死んだのか、その思いが曖昧なまま。
ユーリが神父になりたいと言う、その思いは。
これは、トーマのことがある前から考えていたと言うが、それがどう結びついたのか。
説明不足なことが、あるような気がする。

エーリクは母親が死んだと分かった時、なぜ弁護士のところに行ったのだろう。
エーリクの悲しみは、そこで癒えたのだろう。
その前に、あまり悲しんでいるように見えないのだが。
立ち直りが早過ぎ。

漫画の世界を壊すこともなかったが、
新しい発見もなく、物足りなさを感じた。
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