しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「狂骨の夢」  京極夏彦 

2011年09月30日 | 読書
「狂骨の夢」  京極夏彦        講談社

戦争中、榎木津礼二郎の部下だった『釣り堀いさま屋』の主人、伊佐間一成は三十路の成り立て。
逗子に釣りに行き、海岸で供養をしている女性、朱美と知り合う。
ひょんなことから、朱美の身の上話を聞く。
朱美の生家は、髑髏が家宝だったと言う。
降旗弘は、精神神経科の医師だったが、今は小さな聖堂がある、基督教会に身を寄せていた。
降旗は子どもの頃から、35を過ぎた今でも同じ夢を見る。
それは、頭蓋骨が積み上げられる前で、男女が交わっているものだった。
子どもの頃、その夢の話をきちんと聞いてくれた友人は、シュウとレイジロウだけだった。
その教会に、骨になる夢を見るという女が話をしに来る。
宇田川朱美と名乗った女は、死人が戻ってくる話もする。
その頃、逗子の海で、髑髏が浮かんでいるのが目撃される。
その髑髏は、始めは金色で、次は、肉が付いて来たと言う。

百鬼夜行シリーズ第3弾。






今回は、髑髏がモチーフ。
あちこちで髑髏にまつわる話が。
髑髏を崇めていた家、髑髏を探している神人、殺されて首を切り落とされた事件。
自分が骨になる夢をみる人、髑髏が山となっている夢をみる人。
そして、海に浮かぶ髑髏。
髑髏だらけ。
シリーズの関係者と繋がりがある人物がまず登場して、ばらばらになっていた話がひとつになっていく。
全然関係ないように見えた事件までもが、見事にひとつになる。
出来過ぎな感じもするが、あまりに見事にまとまるので、壮観。
解決するのは、京極堂。
前作は、事件をひとつに見えた事件は別々だった。
今回は、ばらばらに見えたのが一つだったと、一緒に行動している関口が混乱するのも分かる。
まだ、みんな前回の事件を引き摺っているのだから。

第3弾にして、京極堂こと中禅寺、関口、榎木津、木場のほぼ同級生カルテットの性格がはっきりした。
前作から、ちょっとイメージが1作目と違うと感じた、榎木津。
今回で、よくわかった。まさに自由人、しかもおしゃべりで賑やか。
どうしようもない、と言いたくなるほど。もっとニヒルかと思った。
木場修は、1作目の時は、同級生の感じがしたが、どうも年上に感じてしまうのは、体格がいいからだろうか。
以外と人に優しいのが、中禅寺。
関口は、事件に巻き込まれているせいか、段々不安定になっている。
まだまだ続くこのシリーズ。
これから読むのは楽しみだ。


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