しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「沈黙者」 折原一  

2005年10月28日 | 読書
埼玉県久喜市。冷たい霙が降っていた1月、悲惨な事件が起こる。
この地区の名士、田沼家で4人が刺殺される。死亡したのは田沼竜之介とその妻,
長男夫婦。長男夫婦の20歳の長女はその場にいたが無事で、
17歳の長男が行方不明になっている。
同日同夜、少し離れた吉岡家でも、ふたり暮らしの老夫婦が刺殺されていた。
2つの事件で同じ足跡が見つかり、繋がりがある事はわかるが、動機が全く見つからない。
そして、鍵を握ると見られていた17歳の長男も刺殺体で発見される。
この事件とは別に、万引きをして捕まり、逃げようとして店員に軽い怪我を負わせた
20歳前後の男の話がある。その男は名前を言う事を最後まで拒んだ為に、6年の実刑を受ける。
そして、その男を、じっと観察している者がいる。
この名前の名乗らない男を「沈黙者」と観察者は表現している。
6年後に出所する所まで見届け、尚且つその男の本名も突き止めているのは何者なのか?

2つの話が何の係わりがない筈がなく、どう結びつくのか。
名前を名乗らない男「沈黙者」は6年経って、出所しているのだから、
こちらが過去の事と言うのは分かるのだが・・・・。
あー、そう言う事だったのか、と。また惑わされてしまった。
今回は怨みの深さを表す為に、事件が悲惨過ぎて、読み終わった後は結構気が重い。
折原さんの書く犯人はサイコパスだからね。
しかし、一家惨殺は実際に事件でもある。と言うか多い。小説だけにして欲しい。
そして名前を名乗らないだけで、本来なら執行猶予が付く程度の事が、懲役6年になって
しまうのだろうか。名前とは、そんなに大事な物なのか。
名前は本質ではなく、人間を認識し易い為の記号の様な物ではないのか。
でも、姓名判断などがあるから、付いた途端に人格を表す物になってしまうとか。
名前ひとつで人生が変わるとしたら、なんか怖い。
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1 コメント

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後日談 (しまっぽ)
2006-02-03 11:46:04
文庫本で解説を読んで知った。

名前を名乗らないだけで、実刑6年(求刑は8年だった)の刑を受けた事件は事実だと。罪の重さもこの小説にあるくらいの軽い物だった。

折原さんはこの新聞に載った記事から、この話を思いついたそうだ。
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