しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊」  モリー・グプティル・マニング 

2017年04月11日 | 読書
「戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊」  モリー・グプティル・マニング   東京創元社  
 When Books Went to War:
 The Stories That Helped Us Win World War Ⅱ         松尾恭子・訳

第二次世界大戦終結までに、ナチス・ドイツは発禁・焚書によって一億冊を超える書物をこの世から消し去った。
対するアメリカは、戦地の兵隊たちに本を送り続けた―
その数、およそ一億四千万冊。
アメリカの図書館員たちは、全国から寄付された書籍を兵士に送る図書運動を展開し、軍と出版業界は、兵士用に作られた新しいペーパーバック“兵隊文庫”を発行して、あらゆるジャンルの本を世界中の戦地に送り届けた。  
   <単行本カバー見返しより>






自分が本を読むのは現実逃避もある。
本を読んでいる時は別の世界に行って、嫌な事を忘れている。
そんな本の力は、戦争というもっとも過酷な状況でも同じなのだ。
その力は『アウシュヴィッツの図書係』でも十分に分かった。
そしてその力を恐れる者が、思想を取り締まる時、本を禁止して取り締まる。
これはどこでも行われて来た。
アメリカでも、兵隊文庫にどれを取り上げるかで揉める。
政治的な意味合いが入り込むのだ。
ナチスの発禁・焚書に反発した筈なのに、間違えば似たようなことが起こると言う事。

今まで、アメリカ側から戦争について書かれた物をあまり読んでいない。
アメリカの戦争。
戦争をしているという事は、どこも過酷で大変なのだと実感。
確かに、兵隊を送り出している国や家族がのほほんと暮らしていける訳はない。
それにしても、欧州で戦争が終わっても帰国出来ず、太平洋戦線に向かった兵士たちが大勢いた事。
残された家族にとっても、何と辛い事だろう。
しかし、アメリカはその後も戦争をしているのだ。
本気で世界を平和にしたいと望む人たちも大勢いるだろうに。
正義をかざし、戦争はなくならない。

戦争は多くの物を失うが、それによって生まれる物もある、とあった。
兵隊文庫は、兵士に読書と学ぶ事の楽しみと意義を、そしてその他の人たちにも気軽に本が手に出来るようになったこと。
だから、戦争から得る物もあるのだと。
しかし、戦争から得る物は無いと思いたい。
なにひとつ肯定はしたくないからそう思う。
ここで得たと思った事は、戦争がなくてもいつかは得たかも知れない。
それより失ってしまった命を含めた事も方が莫大に多いだろう。
安心して好きな事に取り組めることの大事さ。
失った人の中には偉大は発見をする人もいたかも知れない。
その人の特技や性格を一切無視して、数としての兵士として戦わせることに得るものなどない。
文庫本も、時代は少し遅れたとしても、違った形で普及していったに間違いない。
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