しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「赤く微笑む春」  ヨハン・テオリン

2018年09月14日 | 読書
「赤く微笑む春」  ヨハン・テオリン  ハヤカワ・ポケット・ミステリ   
BLODLAGE    三角和代・訳

エーランド島の石切場のそばのコテージに暮らしはじめたペール・メルネル。
ある日彼のもとに、疎遠にしていた派手で傲慢な父ジェリーから、迎えに来るよう求める電話が入る。
渋々父の別荘に赴くと、そこに待っていたのは謎の刺し傷を負った父だった。
そして直後に別荘は全焼する。
なぜこんな事件が起きたのか?
娘の病気などの悩みを抱えながらも、ペールは父の暗い過去を探りはじめる―。
エルフとトロールの伝説が息づく島で、人々の切ない記憶と過去が交錯する。
北欧の注目作家が贈る深い余韻が残るミステリ。 
                   <裏表紙より>









エーランド島4部作の3作目。
“春”のタイトルだが、まだ温かさにはちょっと遠く、春の温かさもう直ぐだと期待しながら待つ感じ。
夏の別荘地に、それぞれ訳があって、早目に暮らすことにした2つの家庭。
そして老人介護ホームから自分の家へと帰って来た、イェルロフ・ダーヴィッドソンの物語。
過去の事件が尾を引いて、現代にも影響を及ぼす。
それを探って行く、と言うのは前の2作と同じ。
今回もイェルロフは探偵の仕事をこなす。
イェルロフの生活も、丁寧に書かれている。
事件がなくても、それだけでも物語にはなる。
今回はトロルやエルフの物語もあり、面白い。
ヴェンデラの子どもの頃の、奇跡のような体験もやはり偶然だったのか。
ただ、誰でも、ではなくても、見える場所に宝物があったら、誰かが持っていくだろう、とは思う。
イェルロフが信じていないからか、この話にもちゃんとオチは付いていた。
こんなオチではなくてもいいのにと、思ったけど。
悲しい物語が多い。

多重殺人と言う大きな事件だが。
犯人が分かってしまうと、そんな事でと思わずにはいられないような。
何故、そこまで残酷に育ってしまったのだろう。

石灰岩平原や石切り場の様子を想像しながら読んでいる。
自分の周りとは違う景色、雰囲気を楽しんでいる。
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