しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎 

2008年06月17日 | 読書
「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎    新潮社

野党から初めて首相に選ばれた金田貞義が、出身地の仙台市街を凱旋パレード中に暗殺される。
次の日の朝には、犯人は『青柳雅春』と名前が写真付きで発表される。
青柳は2年前、宅配便のドライバーで、強盗に襲われていたアイドルを助けたことで有名になっていた男だった。
しかし、青柳は暗殺には全くの無関係。
自分を追う警察官が発砲するのを見て、殺されることを知り、逃亡を選択する。
しかし仙台には、連続通り魔殺人事件が起きたことをきっかけに、街中に人の動きを監視することが出来るセキュリティポッドが設置されていた。



読み終わった後、色々な思いが心に残る。
単なる逃亡劇ではなく、人とのつながりを強く感じる物語。
警察がテレビで犯人はこの人を発表する。その人を知らなければ100%信じてしまうだろう。
知っている人ならどうだろう。
それでも信じてしまう人が多いと思う。テレビで言っているのだからと。
しかしこの物語の登場人物たちは、そんなことはありえないと周りの状況を合わせて考えながら、青柳雅春を信じて助けていく。
それは大学時代の友人だったり、仕事仲間だったり、両親だったりする。
そして、赤の他人も、与えられた情報ではなく、自分が見たもので判断して助けていく。
信頼することの素晴らしさが感じられる。

有り得なくない物語で、怖さも感じるし、やり切れなさや虚しさなど色々な感情が沸き上がる物語。
でも、ひとつだけあり得ないだろうと思えるのが、警察官が一般人の前で銃を使うこと。
日本はまだそれはないと思うし、犯人が銃を持っていないのだから銃で対応しなくても方法はあるように思う。
いくら証拠は後で消せばいいと思っていても、そこまで大仰にしなくても、と思ってしまった。
もっと適切な武器もありそうな気がする。怖いけど。

伊坂さんの軽快なテンポと内容の会話も健在で楽しめる。
素敵な洒落たシーンもいくつかあり、心が温かくなる。

ラストまで文句なく面白い。
そして、もう一度読み返したくなる。

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