しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「灰色の虹」   貫井徳郎 

2014年03月24日 | 読書
「灰色の虹」   貫井徳郎   新潮文庫    

身に覚えのない上司殺しの罪で刑に服した江木雅史。
事件は彼から家族や恋人、日常生活に全てを奪った。
出所後、江木は7年前に自分を冤罪に陥れた者たちへの復讐を決意する。
次々と殺される刑事、検事、弁護士。
次の標的は誰か。
江木が殺人という罪を犯してまで求めたものは何か。
復讐は決して許されざる罪なのか。
愛を奪われた者の孤独と絶望を描き、人間の深淵を抉る長編ミステリー。
   <文庫本裏カバーより>







冤罪がテーマの物語。
一般人は暴力には弱い。それが言葉でも。
自分はしていないのだから、何時かは、誰かが、きっと分かってくれる。
こんな不当な扱いが許されて良いはずはない。
そう信じる気持ちが、痛いほど理解出来る。
テレビなどで報道されると、それを疑うことはまずない。
反対の立場の人物や考え方も丁寧に書かれている。
その考え方も分からないでもない。
この物語の場合、弁護士がもう少し違った人物だったらとは思うが。
しかし、これが一般的な考えなのだろう。
江木雅史のような扱いを受けた後に、希望など持てるだろうか。
復讐を考えることも分かる。
それを実行すると言う壁を乗り越えるのは、また違った何かがあるのだろうと思うが。
それを対比させる為に、刑事の山名が登場しているのだろう。
答えなど出せない。
世の中、不条理なことはいっぱいある。
心が重くなる物語。

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