しましましっぽ

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「火刑法廷」(新訳版)  ジョン・ディクスン・カー 

2015年05月30日 | 読書
「火刑法廷」(新訳版()  ジョン・ディクスン・カー   ハヤカワ・ミステリ文庫    
THE BURNING COURT           加賀山卓朗・訳  

1929年の春。
ニューヨークの出版社に勤める32歳の編集者エドワード・スチィーヴンズは、フラデルフィア郊外のクリスペンに別荘を持っていた。
隣家は由緒あるデスパード家だったが、2週間前に、当主のマイルズ・デスパードが亡くなっていた。
ある金曜日、エドワードはクリスペンに向かう列車の中で、マイルズの甥で当主となったマーク・デスパードとの会話を思い出す。
マイルズが亡くなった夜に、古めかしい妙な服を着た女性が部屋にいて話しかけていたのを使用人が見たというのだ。
そして、実在しないドアから外に出て行ったと。
どう考えていいか分からないまま、エドワードは鞄に入れて来た原稿を取り出す。
それは、殺人事件の裁判を題材にするゴーダン・クロスの最新作だった。
70年前に毒殺魔としてギロチンに掛けられた女性マリー・ドブレーの話だったが、1ページ目に付けられた写真を見てエドワードはしばらく動けなかった。
それは妻マリーそのものの写真だった。
別荘に着くと、直ぐにマークが訪ねて来る。
マイルズの死が毒殺の疑いがあると言う。
そして、棺を開けて確かめたいので、その手伝いをして欲しいというものだった。








出だしから、謎めいたことが2つ。
その関連は、吸血鬼を思わせる物だった。
そして“不死者”という言葉も飛び出して、益々それらしくなる。
しかし、物語は違う方向へ進む。
事件を調べるブレナン警部もしっかりと捜査を進めて行く。
色々と推理するエドワードとブレナン警部の力で事件が解決したに思えた。
しかし、その後にもうひとつ。
真相は結局は闇の中と言っても良いかも知れないが。
ああだこうだと考えさせられて、やっぱりこっちだったかと思わせる。
不気味な雰囲気も最後まで維持していた。
疑わしい者は、違うと分かると明るく見えるが、それが本当だとは限らないと。
人の思い込みと、どう思いたいかで現実は変化するのだ。


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