しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「湿地」 アーナルデュル・インドリダソン 

2013年01月18日 | 読書
「湿地」 アーナルデュル・インドリダソン   東京創元社 
 Myrin                    柳沢由実子・訳

2001年10月、アイスランド、レイキャヴィク。
ノルデュルミリ(湿地)にあるアパートで、老人の死体が発見される。
死体の上には3つの単語が書かれた紙が置かれていた。
凶器が重いガラスの灰皿らしく、強盗などの突発的な殺人に思われた。
レイキャヴィク警察犯罪捜査官のエーレンデェルは、残されたメッセージに注目する。
強盗はメッセージなど残さない。
ホルベルクの机の引き出しから、4歳で死んだウイドルという女の子の墓石の写真が見つかる。
ウイドルを調べるうちに、ホルベルクが起こした事件が分かる。
それは、1963年にレイプで訴えられたが、起訴されなかったこと。
訴えた女性は、ウイルドの母親のコルブルンで、ウイルドの死後3年で自殺していた。
エーレンデェルはコルブルンが住んでいたケブラヴィクを訪れ、姉のエーリンに話を聞く。
そこから浮かび上がるホルベルクの姿から、計画的殺人を確信する。







アイスランドが舞台だからこその物語。
今の殺人事件と過去にあった事件が徐々に繋がって行くパターン。
静かに丁寧に進行する物語だが、登場人物のそれぞれの生き方が心に響いてくる。
悲劇ではあるが、生きることに強さを見せる女性へのエールでもある。

同じ北欧だからか、雰囲気はヘニング・マンケルのバーランダーシリーズに似ている。
刑事の家庭環境も似ているのは、偶然かも知れないが。
離婚して、年頃の娘が悩みの種ということ。
刑事も、ベテランと若手のギャップがある。
若手はアメリカ捜査を学び、アメリカの生活様式を持っている。
昔ながらのアイスランドを大事に思うから、それが少々合わなかったり。

アイスランドならではの要素。
それが1番重要だったのだ。
物語から、国それぞれ、色々な特徴があることを知ることが出来る。
それも、読書の面白さのひとつ。


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