しましましっぽ

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「冷たい川が呼ぶ」  マイクル・コリータ 

2013年01月20日 | 読書
「冷たい川が呼ぶ」  マイクル・コリータ  上・下巻 創元推理文庫
 So Cold the River          青木悦子・訳

“見えないはずのものが見える”能力を持つビデオ製作者のエリックは、93歳の大富豪、キャンベル・ブラッドフォードの生涯を探るビデオ製作を依頼される。
手がかりはキャンベルが唯一手放さなかったプルート水という水と、「あの川は本当に冷たかった」というひと言だけ。
彼の故郷に到着したエリックは、蒸気機関車に乗った山高帽の男を幻視し…。
   <文庫本上巻裏カバーより>
エリックは好奇心から口にしたプルート水の壜が、なぜかどんどん冷えていくことに気づく。
さらに水は、ヴァイオリンを弾く少年の幻覚を見せる。
様々な幻覚に襲われ始めたエリックは、キャンベルが生きていれば116歳になるはずで、殺しも辞さない悪党だったことを知る。
では93歳のキャンベルは何者なのか。ここでいったい何があったのか。
   <文庫本下巻裏カバーより>






人間の魂のパワーと、自然のパワーが一緒に襲いかかられるような物語。
そのパワーも、静かなものと激しいものがある。
意志の力が、色々なものを動かして行くようだ。
アン・マキーニーもそのひとつ。
しかし、悪のパワーが強いのは困るが、悪霊までは行かなかったような。
最終目的がはっきりしないというか、望んでいる事と行動が何となくあっていないような気がする。
故郷に連れて来てもらった人と、自分が成り代わりたい人は別というもの少々不思議。
キャンベルに対するエリックの役割は、結局なんだったのだろう。
エリックが障害になるとは、思わなかったのだろうか。
何も知らせず、連れて来てもらっただけで終わりにすればよかったのに。
エリックの力も、プルート水を飲んだことによってどう変わったのだろうか。
よく分からないこともあるし、もっと知りたいこともあるけれど。
勢いで、進んでしまった感じもする。

フレンチ・リックとウェスト・ベイデンという場所から着想が浮かび上がったという物語。
実在する〈ウェスト・ベイデン・スプリングス・ホテル〉がさらに加速させた、と。
早速、見てみる。
お城のような、サーカスのような、赤い屋根と塔が印象的なホテル。
ホテル内の大きなアトリウムが凄い。
その土地のことも丁寧に書かれ、場所が主役になっているのは分かる。

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