しましましっぽ

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「三秒間の死角」  アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム 

2019年09月14日 | 読書
「三秒間の死角」  アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム  角川文庫  上・下巻
 TRE SEKUNDER    ヘレンハルメ美穂・訳

スウェーデン、ストックホルム。
ピート・ホフマンは暴行で服役中にストックホルム市警のエリック・ウィルソンにスカウトされ、潜入捜査員となる。
コードネームはパウラ。
パウラは優秀で犯罪組織ヴォイテクの奥深くまで入り込む。
そしてヴォイテクからスウェーデンの刑務所内での麻薬密売の拠点を作る仕事を任される。
拠点が出来た時、それを証拠にヴォイテクを捕えようと警察はパウラを全面的にバックアップする。
しかし、それを知る警察関係者はごくわずかに限られていた。
パウラはその計画の前に、麻薬取引の相手を、その時の仲間が射殺する殺人に関わっていた。
その殺人を自殺に見せかけるのだが。
その事件を担当したのが、エーヴェルト・グレーンス警部だった。
エーヴェルトはそれが他殺だと直ぐ見抜く。
パウラが取り調べられる訳にはいかない、エリック・ウィルソンは、エーヴェルトに誤った情報を与える。
一方パウラは、自分たちが危うくなった時、警察は直ぐに切り捨てるだろうと危惧していた。
パウラは、あらゆる準備をして、アスプソース刑務所へ収容されて行く。







エーヴェルト・グレーンス警部の物語は、エーヴェルトの他にもう一人主役がいる。
今回の主役ピート・ホフマンは、今までの中でも1番鮮烈な印象を与える。
“信じられるのは自分だけ”と、先を読んで綿密な計画をたて実行していく。
しかし、こんなに色々な才能もあって頭が良いのなら、もっと他の事でも成功しただろうに。
ピートに道を誤らせたのは、暴力的な性格があったから。
こんなことで人生を狂わせてしまうなんて、勿体ない。
これは本筋とは離れた感想。

このシリーズの特徴として、普通ならこれで終わりだろうと思える所から、まだ物語は続く。
しかし、緊張の連続の物語で面白かった。
社会はこんなに酷い事になっているのかと重い気持ちにもなるが。
あまり策略を巡らせず、正当に歩んで行けたらいい。
暗い気持ちの中に、最後は明るさもあった。
タイトルも、とても意味のある言葉だった。「三秒間の死角」。



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