しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「シルマリルの物語 シルマリルリオン」  J.R.R.トールキン 

2020年06月05日 | 読書
「シルマリルの物語 シルマリルリオン」 (再読)  J.R.R.トールキン  評論社  上・下巻
 The Silmarillio    田中明子・訳   

J.R.R.トールキンが長い間考え作り上げていた神話の世界。
構想の骨格は『指輪物語』よりずっと昔に出来上がっていたと言う。
同じ伝記が違う形式や文体で書かれているものもある。
物語として出版されることがなかったものを、没後4年にして、息子のクリストファ・トールキンがまとめ上げた物語。
『指輪物語』の舞台となった国の誕生から、主に第1紀の物語。
『指輪物語』の物語は第3紀末にあたる。

唯一なる神エル(イルーヴァタル)が聖なる者たちアイヌアを創る。
アイヌアはエルの望む大いなる音楽を奏でそれが美しいものを創り出していく。
アイヌアの中のメルコオルは、エルの望む主題を外れ独自の音楽を織り込む。
それは、不協和音となり乱す。
アルダと呼ばれる場所が出来た時、そこに行きたいと望み下りて行ったアイヌアはヴァラアルと呼ばれる。
その中にメルコオルもいた。
メルコオルはこの地を自分の王国にしたいと思う。
ヴァラアルが作り上げる美しい物を破壊して行くメルコオル。
そんな中、アルダに最初に出現したイルーヴァタルの子がエルフ。
ドウォーフはイルーヴァタルの子の出現を待ちきれず、ヴァラアルの一人アウレが創り出す。
オークを創り出したのはメルコオル(モルゴス)。
サウロンはモルゴスの弟子のアイヌア。
人間はエルフの次に現れたイルーヴァタルの子。




『指輪物語』の世界の創世記の物語。
中つ国には色々な種族が住んでいる。
なぜその種族が生まれたのかも分かる神話。 
多少分かり辛い部分もある。
登場人物と言うか、紹介される人物も多く、名前がどの種族から呼ばれるかで変わる。
名前が似ているので混乱する。
人の繋がりや地名が細かく書かれているのだが、掲載されている地図の方は簡単。
より正確に知ろうと思うと苦労する。
それでも読むのは2度目なので、忘れている事も多いが前回よりはすんなり頭に入った気がする。
ただ、正確な人間関係や地形が頭に入っていなくても、それぞれの物語はドラマチックで面白い。
多少分からなくても気にせず読み進めて行っても物語の筋には問題なかったりする。

永遠の命を持つエルフ。
馴染の名前が出て来ると懐かしく感じる。

神が誕生させたエルフと人間。
人間の限りある命は、神からの賜り物だった。
それを禍々しい物に変えたのは、メルコオル。
限りある命を持つ“幸せ”ということを考えた事はなかった。
しかし、永遠の命の悲しさはドラキュラから思った事はある。
限りある命が幸せということも考えてみたい。
しかし、聖書もそうだが、神様は絶対服従を望む存在なのか。
メルコオルは違う事をしてみたいと考えたのが始まり。
イヴだって、ヘビに唆されたと言え好奇心があったと言う事。
そのような事を許さないのが神なのか。
そして、神はいつも自らが作った者を試している。
約束させた事を破らないように見張っている。
本当に自らが作った者を愛しているなら、約束を破らぬように、破り辛くするものではないだろうか。
イヴだって、直ぐ手に届く所に林檎がなければ食べなかっただろう。
神は、作った者で遊んでいるのだろうか。

聖書も殺しの歴史が続くが、トールキンのエルダも初めから戦いの歴史。
それが生き物の性ならば、平和は来ないのかも知れない。

最後は中つ国の3世紀まで繋がる。
魔法使いの存在が謎だったが、ちゃんと書かれていた。
これを読むと、また『指輪物語』が読みた(観たく)くなる。

「シルマリルの物語」自分が持っているのは上下巻。1冊でもいいのにと思ったらその後1冊になったようだ。
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