しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「イニシエーション・ラブ」 乾くるみ  

2016年03月03日 | 読書
「イニシエーション・ラブ」 乾くるみ   原書房   

大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。
やがてふたりはつき合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代最後の年をともに過ごした。
マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。
ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。
週末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって…。
    <単行本カバー見返りより>

A面とB面にかわれている。
A面が静岡、B面は東京が舞台。
各章のタイトル曲が懐かしい。








ミステリだと思って読んでいた。
人物に違和感はあった。
ミステリだと思っていたから最初から穿った見方をしていたのもあると思うが、
A面のマユは、わざとらしい感じで、“たっくん”を操っているように思えた。
きっと何か企んでいるんだろうな、と。
その謎が、徐々に分かって来てと言う展開かと。
早く、謎めいた事がもっと出て来て面白くならないかなと期待して読んで行くが。
そんな様子は見せずに物語は進んで行く。
そして、B面のたっくんは、東京に出たからと言って、まるで性格まで変わって別人みたいだと。
そう思ってはいたが、最後の最後まで、本当の事は分からなかった。
真相が分かって、驚いたと言うより、違和感の意味が分かって納得。
振り返ってみれば、ああ成程と色々上手に書いてあると分かる。
性格もちゃんと感じ取れていたんだ。
物語の面白さで言うと、恋愛小説が好きではない自分は、いまひとつ。
最後の最後で、それだけではなかったと言う事だが、やはりそれまでは恋愛小説。
長距離恋愛の難しさか。
でも、マユもしたたかと言うよりは、新しい恋人を見つけて、その恋人に似合う人物を演じている。
結局遠距離恋愛は上手く行かなくなるのだから、それはそれで良かったのかも、とも。
一応みんな、丸く収まったと言う事だ。
でも東京のたっくんは、2、3年したら静岡に帰るのではなかったか。
そうなると、たっくんはまた遠距離恋愛になるのか。
映画になっていて、まだ観ていないが結末は原作本と違うと知る。
調べたら、うーん、映画はキツイ終わり方だ。
A面のたっくんが心配かな。

今書いていて、本にある粗筋も惑わすのに一役かっていると分かった。
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