しましましっぽ

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「兇人邸の殺人」 今村昌弘 

2023年02月02日 | 読書
「兇人邸の殺人」 今村昌弘  東京創元社  

班目機関は戦後岡山で班目栄龍という人物が設立した研究機関で、カルト的な研究もあった。
存在が極秘扱いされ一般市民が知る事はなかった。
1985年に解体され、研究資料は公安が差し押さえた。
成島グループの子会社の社長、成島陶次は、班目機関のある人物が重要なものを秘匿していると知る。
成島グループはかつて、班目機関に資金援助していた企業の1つで資料が残っていた。
成島はその秘匿している研究成果を回収しようと考える。
行先は、地方のテーマパーク生ける廃墟と呼ばれる馬越ドリームシティの中に建つ「兇人邸」。
昭島興産が運営するテーマパークだが、その主は斉藤玄助。40年前は不木玄助と名乗り班目機関の研究者だった。
しかし、不確かな要素もあり、それが確実になるようにと言う理由だけで、「事件を引き寄せる体質」の比留子を連れて行こうとする。
比留子自身が同意していたことから、葉村譲も同行することになる。
回収グループは成島、秘書の裏井、成島が雇った傭兵が6名だった。
従業員の手引きもあり、無事「兇人邸」に忍び込む事が出来たが、中では思わぬ事が起きる。
中庭のような所には頭蓋骨は並び、巨人が現れ、惨劇が始まる。

『屍人荘の殺人』『魔眼の匣の殺人』に続くシリーズ第3弾。






葉村譲と剣崎比留子が巻き込まれる、班目機関が関係する事件、その3。
今回はいきなりその世界に入れられ、あっと言う間に閉鎖された空間での大事件。
ドタバタと派手な展開なのだが、「兇人邸」の造りが分かり辛く何度も見取り図を見ながら考えてしまい、気持ち的にはスピードダウン。
巨人の殺戮の他に殺人も起こり、比留子の推理が冴える展開。
いくつかの謎解きもあるがそれは無理だろうと思うものも。
かなり複雑にして事件を提示しているから、謎が解明されても何だか他人事みたいだ。
葉村気持ちをうだうだ書いている所も少々まどろっこしい。
すべての気持ちを説明しなければならないのか。
今度の班目機関の研究は、子どもを使ったもので、持っている力を増幅させるというもの。
その子どもたちの話も間に挿入されるので、誰があの巨人になってしまったのだろうと考える。
そして新たに分かる事実。 “生き残り”
“生き残り”が本当したかったこととは違ってしまった。
しかし、もっと違う事も考えられたのではとも思う。
残念な結末。

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