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「十二国記 丕緒の鳥」  小野不由美 

2019年10月22日 | 読書
「十二国記 丕緒の鳥」  小野不由美  講談社文庫  

4編からなる短編集。
「丕緒の鳥」
慶国に新王が登極した。
即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。
陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。
希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか―
  <文庫本裏カバーより>

「落照の獄」
柳国では、殺刑(死刑)は法律としてあるが、劉王が認めず行われてこなかった。
狩だつ(しゅだつ)と言う罪人が捕えられる。
子どもを含み23人を殺した男だった。
民は殺刑を望むが、それを決めるのは司法の下に置かれた司刑、典刑、司刺。
司刺の瑛しんは王に伺いを立てるが、王は司法に任せると言う。
そして、王の太子(息子)で大司寇の淵雅が口をはさみ「殺刑はならぬ」と言う。
瑛しんは王が政に無関心になっているのが気にかかっていた。
そんな時に、殺刑を復活させれば、国が荒れると心配する。

「青条の蘭」
新しく王が登極して僅かの頃。
継州出身の標仲は30半ばで国官になる。職分は地官迹人で、最下層の役人だった。
故郷の西隕で、山毛欅の異変に気が付く。
友人の包荒は山野の保全を掌る山師となっていた。
包荒も山毛欅の異変を知り、やがてそれが山毛欅の病である事に気が付く。
このまま放置すれば、災害が起こると病の薬草を捜し探し始める。
包荒は薬草を探すのに協力してくれる猟木師(りょうぼくし)の興慶を標仲に紹介する。
猟木師とは野木から役に立つ実りを探し、それを殖やして売ることで生計を立てる浮民。
3人はひたすら探し続けるが、なかなか見つからず、病は進んでいた。

「風信」
「女は国から出なければならない」と王から布令が出される。
家から出る事なく隠れ住んでいた屋敷が空行師に襲われ、家族の中で一人逃がされ助かった蓮花。
同じ様に助かり逃げる集団は、他国へ渡る前に、王の崩御を知る。
戻る気力のない蓮花は、そこにある園林の「槐園」で働いて暮らす事になる。
そこは祭祀を掌る春官のひとつで、暦を作のが仕事の所だった。







これだけ再読ではない。
十二国シリーズが出た後、しばらくしてから刊行された短編集。
新しく十二国シリーズが出ると聞いた時は、泰麒の続きが読めると喜ぶ。
しかし、そうではないと知り落胆。
それでついそのまま置いてあったのを今回読んだ。
今までの物語の続きというものはなく、スピンオフの物語。
登場人物も「丕緒の鳥」で陽子が出て来るだけ。
「青条の蘭」はどこの国の話なのか、しばらく分からなかった。
なんとなく繋がりが感じられないと寂しい。

自分の役割を考え、真摯に生きる人たちの物語。
それが報われる国であって欲しい。
特に「青条の蘭」は新しい王が頼みの物語。
結末まではっきりとは書かれなかったが。
王は民の顔が見えないかも知れないが、民は王によってかなり影響されるものなのだ。

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