しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「屍鬼」 小野不由美

2014年09月07日 | 読書
「屍鬼」 小野不由美   新潮文庫 全5巻   

第1巻
人口わずか千三百、三方を尾根に囲まれ、未だ古い因習と同衾する外場村。
猛暑に襲われた夏、悲劇は唐突に幕を開けた。
山深い集落で発見された三体の腐乱死体。
周りには無数の肉片が、まるで獣が蹂躪したかのように散乱していた―。
闇夜をついて越して来た謎の家族は、連続する不審死とどう関わっているのか。
殺人か、未知の疫病か、それとも…。超弩級の恐怖が夜の帳を侵食し始めた。

第2巻
「尋常でない何かが起こっている」。死者の数は留まるところを知らず、村は恐怖の連鎖に陥っていた。
山々に響き渡る読経、毎日のように墓場に消えていく真白き棺。
さらにそのざわめきの陰で、忽然と姿を消している村人たちがいた―。
廃墟と化した聖堂に現れる謎の少女。深夜、目撃されるトラックの残響。
そして闇の中から射る、青白い視線…。目が離せない展開、戦慄の第二幕。

第3巻
逃げ場のない恐怖の底に堕ちた村で、深夜、何者かの影が蠢き始めていた。
窓の外に佇む凍えた気配、往来の途絶えた村道で新たに営業し始めた葬儀社、そして、人気のない廃屋から漏れる仄暗い灯…。
その謎に気付いた者たちの背後に伸びる白い手。
明らかになる「屍鬼」の正体。樅の木に囲まれた墓場で月光が照らし出した、顔を背けんばかりの新事実とは―。
もう止まらない、驚愕の第三巻。

第4巻
前代未聞の怪異が村に跋扈する中、閑散とした病院の奥で、連夜密かに地獄絵巻が繰り広げられていた。
暗紅色の液体が入った試験管の向こうに、愛しい骸の変化を克明に記録する青ざめた顔。ゆっくり振り翳された杭…。
はびこる「屍鬼」を壊滅させるための糸口が見え出した。
しかし、その時、村人の絆が崩れ始める。生き残った者たちが選んだ策は―。
思わず目を覆う展開、衝撃の第四弾。

第5巻
村人たちはそれぞれに凶器を握り締めた。
「屍鬼」を屠る方法は分かっていた。鬼どもを追い立てる男たちの殺意が、村を覆っていく―。
白々と明けた暁に切って落とされた「屍鬼狩り」は、焔に彩られていつ果てるともなく続いていった。
高鳴る祭囃子の中、神社に積み上げられる累々たる屍。
その前でどよめく群れは、果たして鬼か人間か…。
血と炎に染められた、壮絶なる完結編。
              
<文庫本裏カバーより>









屍鬼とは、死者が蘇り人間の血を飲んで生きていく生物。
太陽の光を浴びると皮膚が焼けただれ消滅してしまう為、夜しか行動出来ない。
しかし、従い尽くしてくれる人間もいるの。
まさに吸血鬼そのもの。
始めは突然の死が続き、謎めいて書いてあるけれど、吸血鬼とすぐ分かる。
この部分も結構長く、もう分かったから先に進んでと言う感じ。
屍鬼の側から物語が語られ始めて、俄然面白くなる。
外国の吸血鬼だと、人間時代の事は忘れたようにひたすら血を求めるだけの存在もある。
屍鬼は生まれ変わった時には自分がどうなったか分からず、戸惑う。
そして人間だった時に記憶もしっかりある。
それは、何とも言えず悲しい存在。
人間から見たら、悪の存在でしかないのだが、本当にそうだろうか。
屍鬼狩りが始まり、必死で屍鬼になった母親を守ろうとする場面では、人間がとてつもなく悪に見える。
ここまで、人格が変わらすにいられるのなら、人間と屍鬼の共存は可能なのではないかと思う。
血を与えてくれる人が5人いたら、殺さなくても済むと言う事も書かれていた。
それならば、共存は可能だろう。
殺すことが罪なのだから。
家族や、困っているならと血を差し出す人はいるだろう。
献血と同じだ。
5人で支えるって、年金制度みたいだけれど。
個性と考えていれば、問題はない。
夜働く屍鬼がいたら、生産も向上するだろうに。
そして、人間と屍鬼が共存する社会のルールなどを色々考えてしまった。
血は売り買いの対象になるだろう。ブラッド・バーとか血を飲ませるお店も出来るだろう。
屍鬼になりたい人も出て来るだろう。永遠に命が欲しい人が。
その前に、自分は屍鬼になれるか、検査して分かる方法も発見されるのでは、とか。

屍鬼だけの世界で、屍鬼は生きていけるのだろうか。
人間、屍鬼とも極端に走りすぎた。
異質な者は直ぐに嫌悪に結び着く。
これも差別の一種だ。

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