しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「少女外道」   皆川博子  

2012年08月24日 | 読書
「少女外道」   皆川博子       文藝春秋

7編からなる短編集。

「少女外道」
久緒の家に出入りしていた造園職人の末息子の葉次。
葉次が怪我をして血を流した時、久緒は激しい感覚に襲われる。
成長して美術学校に入った久緒は、そこで自分と同じ感覚の阿星と出会う。

「巻鶴トサカの一週間」
トサカ叔母さんの葬儀に参列し、トサカが自分で書いた家系図をもらう。

「隠り沼の」(こもりぬの)
双子の片割れは、お腹の中で死んでいた。
生まれてきた子は母親に疎まれていると感じていた。

「有翼日輪」
圭雄(たまお)が有翼日輪を見たのは、宏明(コメ)のメンコの裏だった。
それは呪いのメンコで、コメの兄義一(ギイ)が書いた。
ギイは左官屋の父親の手伝いをしてコメの憧れで、圭雄もその姿に惹かれる。
ギイは航空兵になろうとしていた。
圭雄は、夢想していた。ギイの戦闘機の整備員として、仕えることを。

「標本箱」
産まれた赤ん坊は1度捨てる風習がある地域。
瀧澤家はそれを実行する。
拾う役が遅れ、見知らに男、梛木に拾われた赤ん坊。
見張り役をしていた、母親利江の妹千江は、その男に付いて行き、赤ん坊を瀧澤に届けるようにたのむ。

「アンティゴネ」
佐倉梓は疎開して来た子の気持ちが分かる。
自分も東京の生まれだったが、家を継ぐ為に帰郷した父親と来ていたから。
母親は兄が大学にいるからと残っていた。
疎開に来た篠井江美子は、両親を失い、一人で来ていた。
2人は気が合った。
江美子の持ち物にチュチュを見つけ、学校を兵舎に使っていた兵隊さん慰労学芸会で、披露する。
終戦、江美子は一人で帰って行く。

「祝祭」
沙子は、自分がどうして伯父の家にいるのか、分からなかった。
戦後、人買いの疑いをもたれた伯父。
母屋の女主人の弟の本。始めに読んだのは“にんじん”で自分と同じと思う。






戦争時代の日本の物語。
その時まだ子どもだった主人公が、大人になりその時にあったことを振り返る。
日常の中の普通の小さな出来事。
主人公は、それを自分なりの感覚でとらえ、魅せられこだわりを持つ。
それが幻想的な雰囲気を作る。
モチーフに骨があったりするからか。
子どもの頃の感覚のとられ、いつまでも持ち続けるのは、純粋なのだろうか。
成長するに従い、感覚も変わって行くことが多い気がするが。

ラストに、種明かし的な以外なことがあったりもする。

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