(2) 父から聞いたこと
戦後満州から鍋と釜を背負って故郷に帰った父からは軍隊の厳しさの話は少なかった。 父は戦後元の公職には復帰できず、苦労して開墾した土地は農地改革で人手にわたることになった。
その父が戦地で特に印象に残ったことは、日の入りの風景でまさに「金州城外斜陽に立つ」という漢詩のとおりだと感激したらしい。
また、軍隊には様々な職業・いろいろな経験した人が集まっているので、「家なんか簡単に建つ」とも言っていた。今風にいうと軍隊は総合商社だったという意味らしい。
(3) 大叔父から聞いたこと
当時父の叔父(大叔父)も満州に赴任していた。奉天の近くまでこの大叔父が馬に乗って父に会いにきたらしい。お互いによっぽど嬉しかったらしく、何回もこの話を聞いたことがある。
大叔父からの話は、戦争について「戦争で鉄砲の弾は前からだけくるんじゃないぞ!後からもくるんだ!」ということだった。
この言葉は、サラリーマン生活を振り返ることができる今でも、特に含蓄のある言葉に思えてならない。
* 8月に入っても集団で鳴きつづけているセミ。写真は大型のクマゼミとアブラゼミ(4匹)。