歌庭 -utaniwa-

“ハナウタのように:ささやかで、もっと身近な・気楽な庭を。” ~『野口造園』の、徒然日記。

春の旅<まとめ>

2010年04月27日 | 旅録 -travelogue-
断片的にちらばっているので、まとめてみました。

3/19(金)深夜カラ
3/23(火)早朝マデ





第0話:「2200km」
    >>


  ・・・予告編。「旅に行って来ました」という第一声です。

第1話:「はじまり」
    >>

  ・・・出発から、直島乗り込みまで。
     わずかここまでで、すでにこの長さ。先を思って、気が遠くなりました。

第2話:「地中美術館」
    >>

  ・・・第一の目的地:直島の地中美術館。
     写真が撮れないのは、残念でしょうがない。行って!ぜひ行って!

第3話:アイラブユーとお好み焼き
    >>

  ・・・直島の「I♡湯」というアート銭湯に入った話と、
     広島でわざわざ高速を降りてお好み焼きを食べた話です。
     普通に2話に分けるべき長さだったと、今しがた気づきました。

第3.5話:臭い正体
     >>

  ・・・直島で出逢った臭いにおいの正体についての話です。
     その正体は、
     海の干物じゃありません。インスタントラーメンの粉のにおいでもありません。

第4話:カルスト炎上
    >>

  ・・・秋吉台のカルスト台地。長者の森も。
     カルスト昼バージョンと、夕方バージョン、そして
     夜の野焼きバージョン。この旅のハイライト。

第5話:トランスエメラルド
    >>

  ・・・ほんとに青い、神秘の泉、弁天池。
     中国にもこんな湖、あるんだよね。世界遺産で見た記憶が。
     青森と秋田の境あたりにも確か、あったはず。青湖なるものが。
     それも行きたい。

第6話:暗黒探検隊
    >>

  ・・・暗黒の洞窟を探検しました。この旅のハイライト2です。
     世界遺産の秋芳洞をスルーしてこっちを選んだけど。
     秋芳洞も、できれば行ってみたい。またいつか。

第6.5話:シシをぶちこむ
     >>

  ・・・シシを引き裂いてぶち込みました。
     結局、私、食べ損ねました!

第7話:森へ・帰る
    >>

  ・・・最後に、森に入った話。とても私的な自己満足の話。
     そして、帰る話。
 



以上です。
うすうす分かっちゃ居たけれど、
いっぺんに読むと、相当長いですね;


そうこうしているうちに、桜が咲いて、散って、
ツツジが咲き出して、
また新しい旅が始まって、終わって。

日常の現在進行日記と 織り重なりつつ
入り組みながらの、連載旅日記。如何でしたでしょうか。

長々とお付き合い下さって、本当にありがとうございました。



一緒に旅したかのような気持ちになったり、

心に残る風景の一枚でもあったりしたら、是幸いです。







とりあえず、

、、ふーーーー~~~!
終えられて、ほっとした!













春の旅7:森へ・帰る

2010年04月27日 | 旅録 -travelogue-
思いのほか 断続連載化してしまった「春分の旅」。
山口・秋吉台への強行突破ツアー。

わずか数日間の、旅日記。
ひと月以上経って、
いよいよ旅は終わりへ。


旅の最後に。

私が個人的に、ひとつ、どうしても果たしたかったこと。

それは、「森へ帰る」ということ。




カルスト台地と、青い泉と、洞窟探検と、山焼きの火と。
旅のクライマックスを 一日で一気に果たして、

明けた朝。



それはつまり、
旅の終わりの日の、始まり。


東京への 長~~い帰途に就くべき、

短い旅の、
最後の日なのでした。





滞在した「秋吉台国際芸術村」。

澄んだ水色の空の下。



森を背にした、白亜の現代建築。

せっかくなので
中も、ざっくり見学させてもらいました。


まずは



食堂です。




「修道院」をイメージしたという。

確かに、しんと厳かで、静謐な空間。






ホール。コンサート会場です。

二階席、三階席と、小さな空間(ブース)が連なっています。

1人で住むのにちょうどいい広さの、小さな空間。それが、
ちょっとした高低差で入り組んで、繋がっていました。


こういう家があったら、

、、というか、

ここが家だったら、

気の合う友達同士で 各ブースごとに部屋をかまえて、
「ホームシェア」して住んでみると、面白いかも。
と、思いました。

「おーい、ちょっとしょう油貸してー」とかさ、
「ごはん作ったけど、食べるー?」とかさ、
あっちのブースからこっちのブースへ、声を飛ばしたりして。
しかも、ものすごいよく響くの。


コンサートホール型ホームシェア。


まあそんな、妄想を。




ホールの外の 中庭エリアには



屋外舞台。

ごろごろした石ころのちらばる、浅い池の中。

何か、舞踏とかにうまく使えそうな空間。





練習室。



もしくは、
後ろの窓を開け放って、芝生を客席にして
コンサートの舞台にもなる部屋。

森に向かって、開かれて。
演奏する方も、気持ち良さそう。

森にこだまして、還ってくる音。

樹々の奥に吸い込まれて、消え逝く音。



、、、どうも、
ホールの中よりもこっちのほうが、かなり気持ち良さそうです。
芝生の上で、
草のにおいにまどろんで、寝転んだりしてね。



ちょうど、室内楽の学生が練習に使いに来ていました。


以上。建築関係のプロモーションでした。







そして、



私の、個人的な、ひそかな宿願:

『森に帰る』。

この朝に、決行しました。


森に入る。森を歩き回る。森の空気を吸い込む。

自分にとって一番「癒し」になること。
都市の中で生きて行く上で、心身のバランスを保つために「必要」なこと。





この「芸術村」の建物が 森に抱かれている様を見た時から
「絶対、入りたい。」と狙っていた、森。


森のふもとには



ここを訪れたアーティストたちの残した「作品」が、
あちこちに転がっていました。




でも

基本的には




竹が伸び放題。

バッキバキに、折れ倒れ放題。




あんまり入る人が居ないようで
なんとなく荒れた感じの、里山の森。


でも、
きれいな水の流れもあり、
光の入り方がきれいな、明るいポイントが多い。

コケも豊か!


この森は、“潜在能力”高いぞ。
手入れをしたら、ここはとても居心地の良い森になるのになあ。

ああ!この杉の丸太、どかしたい!
倒木、、、。片付けたい、、。きれいにしたい、、、。

、と、
元・森番の魂が うずきます。


ちょっと手を入れただけで、じゅうぶんに
“人が”過ごしやすい森になるなあ。


、、と思ったら、
そもそも



ここは昔、人が住んでいた“村”だったのでした。

戦後。人が減って、やがて うち棄てられたようです。


そして今や
廃墟の感じすらも おおかた蔭に埋もれてしまっている、

「失われた村」なのでした。




コケに覆われた水場。


ここに人が生きていた 証。




神社の鳥居も。



切ないような、
寂しいような、熱いようなものが、

小さく 胸をチクリと、刺すような。


かつて人の生きていた土地。
ある時点から「生活」が途絶え、永遠に失われた場所。

その“痕”に漂う 独特の時間の流れと、
「普通の森」とは 何かがちがう、

なついてくる空気の感じ。


哀しいでもなく
嬉しいでもなく

胸を小さく、刺すような、

人になついてくるような、空気。







その森。

到着したすぐに ちらっと巡った際は、ふもとだけで、
奥まで行けませんでした。


この朝、

満を持して、
私、駆け込んだわけです。


極寒にも関わらず断固たる決意で野宿を成し遂げたテンションの:O君と、共だって。




けもの道 というか、
道無き道を。


あんまり想像できないかもしれませんが、
私、森となると、テンション だだ上がります。

何かが目覚めるんですね、どうやら。
ピョンピョン跳ねてます。ぐんぐん突き進みます。
「うひょ~!」っと、ハイテンションで駆けのぼっちゃいます。


道無き道とか、燃えます。



倒れた木の根の“面”です。





コケです。萌えます。
だいたい、さわります。

ふんわり。




山にぽつんと咲く花。これもまた、萌えます。

光を吸い込む、
ヤマツツジの紅い顔。





あ、



山頂です。




秋吉台のカルスト台地が見えます。


近いような、遠くから見晴るかすカルスト。

また別の見え方。





山は

頂まで 登ってみれば




まだまだ その先へ
連なる山が見える。


次の山。
また次の山。

下って上がって、上がれば下る。


見えないようでも 在る、

終わり無く連なる、
山の道。








森には、いつまでも居たいと想う。

森には、
底知れぬ怖ろしさがある反面、
空知れぬ優しさもある。

色んな草木が寄り添って生きていて、


どんな者でも 付かず離れずの距離で
見えない手で抱いてくれる、静かな深さがある。

気を抜きすぎると、命に関わる危うさもあるけれど。


だから、

「ここに居たいな。」と想う。じー、っと。



でも
「帰らなきゃ。」



ということで

駆け下りる。



山の麓には


麓の花が咲いている。


人が人のために植えた、花。


それはそれで、

人知れず咲く 山のツツジと
まったく同じに、美しいと、想う。









山を下りたら

旅の「イベント」は、終了です。


あとは、
半日以上かかる道のりを、高速でぶっ飛ばすだけ。

ひたすら盲目的に、ぶっ飛ばすだけ。


運転手以外は
やることは特に無いので




大体寝るだけ。

あとは



空を撮ってみたりする。


流れ去るばかりの空を、開けられない窓越しに。


そうこうしているうちに、日も落ちてゆく。





旅には
「単純移動」という、特に何も起こらないような こういう時間も付きもの。


旅の真っ最中は
何でもかんでもイベントのようで、とにかくいちいち濃密な時間。
抱えきれないほどの「思い出」で、手いっぱいになる。

その一方で、

何もしていないような こういう時間も。

からだに ちゃんと刻まれて、
心にも ずっしり詰め込まれて、

ぐったり疲れて

しっかり、思い出の一片になっている。


そして




その日も 終わってゆく。









エピローグ。


この 強行突破:2200キロの旅を奮闘してくれた、レンタカー。

某・激安レンタカー屋さんでレンタしました。この旅の、影の主役です。
(えっ、2200キロって、ほんとですか!?って、びっくりされました。)


この車。

ボディに、キラリと。
謎の、(ぶっちゃけダサい、)カラフルステッカーが貼ってあってね。


「なにこの柄!?」「ありえない。」「大丈夫?このレンタカー屋!」と、
非難囂々の物議を醸していたのですが

なんと



その柄ステッカー、「仕様」だったと、判明したのでした。
レンタカー屋のせいじゃなかったの。メーカーのせいだったの。

すまない、レンタカー屋さん。

カーを返す寸前、まったく同じタイプの車(もちろんそのステッカー付き)と遭遇して、
レンタカー屋の無実が発覚したのでした。



ちなみに

この前の山梨行きの時も、お世話になりまして*
(さすがに同じ車じゃなかったけど。)

安くて、とても“ニコニコ”している、良いレンタカー屋さんでした*









最後に、もう一つの、影の主役。


なにげなく
今回の旅を ずっと見護り続けてくれていた:



てるてるぼうず。

b隊員のお作です。
見事に、“晴れ”を恵んでくれました。


この、てるてる。

レンタカーを返す時、
ご覧の通りにバックミラーに付けっ放しで、
うっかり忘れてきちゃったんだけど;



その、
例の、ニコニコしたレンタカー屋さん。


車内清掃しながら、
このてるてるぼうずに「あらっ」って気づいたとき。どう想ったかしらん。

って、ちょっと想像してみる。



たぶん、

「ニコッ*」ってなったと、想うんだ。

きっと。









(了。)



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