ひょうごの在来種保存会

会員さんも800名を越えました。活動報告を発信します。

北村ワサビ(続編) 【保存会通信8号より】

2010年02月21日 | 保存会通信
次に、種のことをお聞きしました。
北村わさびでは50年くらい前に静岡から導入したダルマを元に、ずっと種をとり続けていらっしゃるとのことです。「伊豆山系ではほとんど谷筋でわさびをつくっていますが、谷筋が違うとその地の水にあったものはできないのです。行き詰ると他から買うことになりますが、それはその地に合っていないので大変な苦労を伴う。わさびはその地でとり続けていくことが大切なんです。」五代目北村宣弘さんはHPに記載している。「当家では祖父の代から50年近くに渡り自家採種を続けています。植物は本来、その地で生き抜いて、より優れた子孫を残そうと環境にゆっくり適応していく能力を備えています。採種をしていくうちに、その地固有の作物に生まれ変わります。この地の湧き水、気候風土、栽培方法にうまく馴れ親しんだわさびは病気や病害虫に強く、たくましい生命力を発揮してくれます。これからも種を採り続け、この地ならではの姿かたちと風味をもったわさびを伝えていきたいと思います。」

全国的に有名な産地の大半は大規模農園で企業的に経営されています。そのような農園では種苗業者等から培養苗を購入するため、わさび農家が採種したりはしません。
お聞きすると実生苗を使う農家も残っているそうですが、ほとんど野菜農家等に種を採ってもらっているようです。
実生は良い苗を作ることができる期間が短く、煩雑になり大変難しいので全国的には仕方が無いことなのでしょうが、それだけに北村わさびさんの高い技術と信念には感服させられます。

「わさびは飲める水だけで生きてきた。とはいえ、やせ地では出来ないのです。」
「これだけ水が豊でも今も水に悩みます。」
「種を採るには恵まれすぎた環境ではよくありません。」
北村さんの言葉には、今までの長い栽培経験の蓄積と技術の自信が感じられる一方、現在も栽培に悩み、さらなる技術向上へ取り組んでいらっしゃる姿が見えます。

また、北村さん親子は「恩恵」という言葉を良く使われます。自然への感謝、自然からの恵み、長い時の流れ・・・栽培に対する思いが伝わってくると同時に、自分も自然に言葉が使えるようになれたら、と思いました。

 自家採種を続け、その地で世代を越えて作り続けられている在来種「北村わさび」。すばらしい方々とお会いできました。なお、北村わさびは大阪黒門市場で購入できますが、五代目が作成されているホームページでも購入できます。
 このホームページはすばらしい出来栄えです。一度ご覧ください。
http://kitamura-wasabi.com/

最新の画像もっと見る