ひょうごの在来種保存会

会員さんも800名を越えました。活動報告を発信します。

北村ワサビ 【保存会通信8号より】

2010年02月20日 | 保存会通信
前に北村ワサビを調査し、通信に掲載した私の記事です


「日高でわさび・・・!?」会員の辻本さんからの情報でした(2007年8月神戸新聞の記事)。豊岡で生まれ育ったが、こんなに近くにわさび農家があるなんて知りませんでした。それも相当りっぱな園らしいです。保存会5人で調査を行いました。

豊岡市日高町。JR江原駅から西に、スキー場で有名な神鍋山に向かって車で走ると、にじます、但馬牛、アマゴ・・・美味しそうな看板が目に入ります。そこが「十戸(じゅうご)」という地区で、その街道から少し山側に入ったところに北村わさびはあります。

急な訪問にもかかわらず、北村さんは調査を快く引き受けてくれました。お話を伺います。
現在、北村わさびは北村さん親子で栽培されており、お父さんが4代目、息子さんが5代目とのことですが、なんと北村わさびとして当地で始めた本家から数えると約300年の歴史があるとのことでした。
早速、園を見せて頂きます。北村さん宅のすぐ近く、住宅の合間の路地を通るとつきあたりにあるのは道を遮るトタンの壁。不自然に高いトタンの扉をそっと開けると、そこにはバーンと新緑の世界が広がりました。わさび園です。広い!きれい!

「面積は3反ほど。」とのことですが中央のポンプ小屋や張り巡らされた水路、周辺のハウスや小屋など含め、かなりの広く見えます。鹿が飛び出てきそうな深い緑の森林を背後に、若い黄緑のわさびが広がっているので広く見えるのでしょうか?それにしても綺麗な光景です。
足下のわさびも透明な水に弱々しくゆられて、敷き詰められた石にしがみついているようです。水はとても豊かに静かに流れ、まるで流れが止まっているようなその造形はゼリーのように見えます。

「水源はね、蘇武岳の雨水が地下水になって流れてきています。春は雪解け、夏は梅雨の水。秋は台風、冬は雪。年中絶えることがありません。この辺り15集落で5カ所の水源があり、毎秒700リットル、年中だいたい12.7度と、一定しているんですわ。」 
北村さんの話は自然の話が中心だ。
「ここらへんの地下水は火山灰で漉して湧き出てきます。」
五代目が作成するホームページにも記載がありますが、北村ワサビ園は神鍋山から約5km南にあり、このあたり一帯は、神鍋山(現在休火山)の火山灰がつもった黒ボク土地帯で、神鍋山やその周辺に降った雨や雪が地下に浸透し、堆積した腐葉土や岩石のミネラルを含み、北村さん曰く「天然フィルター」となる黒ボク土をゆっくり通って湧き水となっているとのことです。

園を見渡すと、苗を植えたばかりのところ、収穫が近そうなところ、なにも植えてなく、石がむき出しのところといろいろあります。また寒冷紗も装備されており、これは、このわさび園が本来のわさびに適した標高より低いため、夏場は寒冷紗で覆い気温を調節されているとのことでした。きめ細かい作業が想像されます。



次に、種のことをお聞きしました。・・・・(続く)・・・

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