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さて講演は今回も、「生産」「流通」「消費」分野からの3人でお願いしています。
まずは京野菜の生産者、石割さんです。
1 「京都の伝統野菜、その新しい展開」元京都伝統野菜研究会会長 石割照久
我が家では、チョンマゲの頃から九条水菜や壬生菜とか、米と野菜を作り続けてきた。
日本では、弘法大師の頃から、中央アジアとかいろんな方面から入ってきた野菜を昔の人が各地で品種改良をしてきた。当時、京都は国の中心であったことから、献上品のような形で全国からいいものが集まってきていた。これらのものから優れたものが残ってきて、これが京野菜である。中には京に来てから姿かたちが変わってきたものもある。例えば、愛知の尾張大根は砲弾型であるが、京都に入ってきて丸くなり、聖護院大根になったものと思われる。
九条ネギは昔は家毎に姿形が違った。それぞれ家や利用者のニーズであったと思われるが地域により様々な系統があった。今では浅黄と黒の2系統がメインとなって作られているが、自分のものと友人の似ているものを一緒に植えて弱くなるのを防いでいる。
京都の伝統野菜は37品目あるが、残っているのは34品目。
「郡(こおり)ダイコン」「東寺かぶ」「聖護院キュウリ」の3つが絶滅した。
自分のところで採った種は、自分の性格に合っているものとなって作りやすい。
今、我が家は妻と二人で京野菜を生産し、プロ(料理屋)向けに出荷している。有機栽培であるがJASはとってない。手間を惜しまず作っている。生産量が足りない。
市内の農家の有志で「新京野菜の会」をつくった。行政や大学と共同で「昔の良いものを残し新しいものをつくろう」と新しい野菜を生産・提案している。
味の濃いしっかりとした肉質の「京あかね」、ビタミン等の栄養価の高い「京てまり」、茎や葉を食べる葉物野菜の「京唐菜」、その他にも「花かぼちゃ」「京よめな」「京新菜」などいろいろ提案している。
持続的な農業が必要である。食べる人が納得して食べるものは売れる。食べる人との信頼関係が大切である。また、「あとつぎ」をつくること、次代へ続く種である。
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