ツルピカ田中定幸先生

教育・作文教育・綴り方教育について。
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綴方理論研究会
国分一太郎「教育」と「文学」研究会

第534回 豊島作文の会 3月例会案内

2019-03-04 13:38:44 | Weblog

            第534回 豊島作文の会 3月例会案内

◆日 時 2019年3月10日(日) 午後2時~午後5時

◆場 所 豊島区立駒込地域文化創造館 第3会議室 03-3576-2637  

    《提 案》『作文名人への道』 読み方・授業での活かし方

        ―【小学校34年生】版の活用法

*第二回目。再度、みんなで読み合いをすることになった。

 ・田中さんの提案文書を読んで感想を述べることができるようにしてくる。

 ・《6》あなたの「物語」を書こう(榎本豊さん)

 ・《7》感動を短い言葉で表そう(片桐弘子さん)

  *『作文名人への道【小学校3・4年生】』、お忘れなく!

 

◎2月例会報告

話し合われたこと

◆近況報告(ひとり一発言)のあと、前半として、田中さんから、『作文名人への道』の3・4年生版の活用の仕方について話があった。子ども自身が読み進めていくことができることがまず一番。ただ読んでいく子どもたちのためにアドバイスをする人がいるとなおいい。

 『作文名人への道【小学校3・4年生】』のP188~190に「大人の方へ・先生方へ」という箇所がある。この個所はこの本を手にした教師たちへの誘いかけになっているのだが、同時に、保護者を含むさまざまな大人の人たちへの語りかけにもなっている。

 この本を手にした大人(指導者) は、この本をどのように活用していったらいいのか。今回は、11ページある提案資料のうち、もしこの本を学校の先生たちが活用するとしたら、どんなやり方があるのかということを中心に、概略部分の紹介をしてもらった。私立の学校だったら、この本をテキストとして全員に持ってもらい指導していくということも可能だろうが、公立の小学校などでは、それもかなわない。しかし、ここでの実践抜きには、しっかりとした文章表現指導は進んでいかない。だからこそ、学校の先生たちにはがんばっていってもらわなければならない。

 あと、この本を自由に活用して子どもたちに教えることができる人たちといったら、保護者。保護者ががんばっていったら強い味方になるだろうと思う。それと公立の教師たちのようなさまざまな縛りがないだろうという点では、民間の塾の先生たちも大きな力になるなあなど考えてしまった。

 

◆神山さんが、昨年8月におこなった作文教室での子どもたちの作品を持参。今後の指導の進め方に関してアドバイスが欲しいという話があり、みんなで話し合いの時間を持った。

◆作文教室での指導の進め方について次のような説明があった。

①昨年8月20日、21日、22日と新潟で2泊3日の作文教室を実施。

東京から小学生12名が参加。

②子どもたちは、枝豆の収穫、山登り、みんなでバーベキュー、ホームスティ等、さまざまな体験をしていく。

③子どもたちは、メモ帳を所持。いろいろな体験をしていく中、五感を使って感じたこと、気づいたことなどはどんどんメモ(取材)していく。

④メモは後でポストイットに書き出し、「三つの箱」に分類していく作業をする。

「一つ目の箱」 (A)には、もっとも印象に残ったこと、楽しかったことを入れる。

「二つ目の箱」(B)には、今回の作文教室がいつ、どこで、誰と、どのように行われたのかなどの5W1Hに類するもの。参加していない人たちにもよく伝わるように解説したものを入れる。

「三つ目の箱」(C)には、それ以外のできごと(二つ目、三つ目として印象に残ったもの、書き足したいことなど)を自由に取り上げて入れていく。

*三つの箱に分けて入れていくことで(A)→(B)→(C)と書いていく構想の指導になっている。

◆この新潟での作文教室に一緒に参加されていたという御手洗さんの話が印象的だった。子どもたちのサポートのために参加していて、作文教室が進行していくにつれて、自分自身も書かなければならないという強い思いが出てきて、真夜中一人でメモをいっぱい書き出していったとのこと。そして、次の日には子どもたちと一緒になって作文を書いていたのだという。五感を使って心に強く残ったものを見つけ出していくというやり方の中に、強いインパクトとなるものがあったのではないかなと思って聞いていた。こういう強いインパクトのようなものは「はじめに」という次の分章からも、読み取ることができる。

 

《 「はじめに」

年齢に関わらず、文章を書くことは「深く考える」「自分の考えや気持ちをまとめる」「自分を客観視する」「他者とつながる」ために、とても大切なことです。

 この作文教室では、自然体験・地域体験をメイン題材として、目で見たものだけでなく他の四感も使って作文を書くことを指導します。参加者同士、地元の方、スタッフと共に体験を共有し、自分の考えをまとめ文章化する行為を通して、コミュニケーション・自己肯定・他者肯定を学ぶことを目的としています。

 先生 『おいしかった』は、ほかにどんな表現がある?

子ども『ずっと食べたい』『全部食べた』『パクパク食べた』『おかわりして食べた』

 こんなやりとりが繰り広げられる、これまでにない作文教室です。

 今年は、昨年に引き続き新潟市西蒲区、今年初めての北海道広尾郡大樹町の2地域で開催しました。「作文を書く」についての指導以外は、プログラム内容はもちろん、運営方法やかかわるスタッフなど全く違います。その地域ならではの「特徴」を生かした3日間を構成しました。

 さまざまな体験とともに、限られた時間の中で作文を書きあげることは、子どもたちにとって達成感として、忘れられない思い出になるはずです。

 新潟と北海道、それぞれ子どもたちが過ごした3日間の様子を思い浮かべながら、作文を読んでください。

 

(塾長 手塚貴子、(『五感を使って書く 小学生作文教室 作品集 新潟 北海道 2018』より)。 》

 

 学校の作文指導が停滞してきている今、民間の団体がこんなすごい取り組みをおこなっている。

 

◆研究会では、私たちの側からも、いろいろとアドバイスが出されたが、お互いどうも話がうまくかみ合っていかない印象があった。

(1)一の箱に入れる部分、もっとも心に強く残ったことを書く部分に関して、ここをど うしていけばいいだろうかというのが神山さんたちの問いかけだったように思う。もっとも心に残った出来事となると、私たちはどうしても、「はじめ」「中」「終わり」の一まとまりの文章になるように、この部分だけを独立させて詳しく書かせていくのがいいのではないかと考えてしまうのだが、これは、あまりにも私たちの流儀すぎて、いいアドバイスにならないないんじゃないのかなと心配になった。

 で、どうすればいいかということで、この部分に関しあれこれいくつもの意見が出されたのだが、結論らしきものは出ていない。無理やりまとめると……、

三つの箱のトップの部分、一番大事なところという位置づけなのだから、この部分は特にできるだけ詳しく書くようにしよう、したこと、見たこと、聞いたこと、五感を働かせてとらえたことをできるだけよく思い出して書いていくようにしようと呼びかけるのがいいのではないか。簡単に言えば、(A)の部分は何よりも詳しく思い出して書こうと呼びかけるということ。

(2)題のつけ方は、書き終わってからゆっくり考えさせてもいいのかもしれない。

(3)3日間のことを書くようなやり方はあるだろうかという問いかけも出ていたが、この時間はそこまで話が進まなかった。ただ、榎本豊さんが「聞き書き」の時などに使っていた「小見出し」を入れるというやり方、あの方法が役立つのではないか。小見出しを入れると、全体の題のつけ方もゆるやかになる。

(4)作文教室の時間の中では無理かもしれないが、機会があったら良く書けている作品をみんなで鑑賞しあうのも効果的という声が出ていたが、これはやれるといいだろうなと思う。

 

◆作文名人への道【小学校3・4年生】』の後半の学習。『ツマグロヒョウモン』の作品が貝田久さん指導の作品ということ。『机のわきに、ものをかけないでほしい』の作品、那須備述さんが41年前に指導してできた作品であるなど、榎本さんが話してくださった。

 

    (文責:工藤)      

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