ツルピカ田中定幸先生

教育・作文教育・綴り方教育について。
神奈川県作文の会
綴方理論研究会
国分一太郎「教育」と「文学」研究会

「子どもの願いを育てる」-始業式にかけたぼくの願い

2017-05-10 12:10:39 | Weblog

▣子どもの「願い」を育てるには、まずは、教師が自分の 願いを語らなくてはならない。子どもたちにも、保護者の方々にも、そしてまわりの仲間にも!       


   始業式にかけたぼくの願い

            田中 定幸                                               

 始業式の日

 まだつぼみの多い桜の木の下で

 一人一人の名前を呼んで30名の新しい仲間たちとあく手した。

 自然を愛するやさしい心をもってほしかったから。

 どうかこの一年「よろしくお願いします」という心を伝えたかったから。

 

 桜は一年に一度しか咲かない。

 きょうじっくりと見なければ、あした見られるとはかぎらない。

 月日はあっという間に過ぎてしまう。

 だからこそ、「いま、何をなすべきか」

 こう考えて、毎日を過ごしてほしいと思ったから。

 

 桜を見たあと運動場でひとりひとりとすもうをとった。

 そのあとみんなを相手にしてすもうをとった。

 何でも全力を出して、からだごとぶつかっていくことのできる人になってほしいから。

 遊びやスポーツのできる子どもに育ってほしいから。

 ひとりでいったらかなわないものでも、みんなで力を合わせてやればできる。

 力を合わせることのすばらしさをわかってもらいたかったから。

 

 手をつないで、まわるくなってのたおしっこ。

 みんなが力を出し合ったとき、ひとりでも力を出さなかったり、手を離してしまったら

 わっかがくずれてしまうこと、

 それを知ってほしかった。

 

 教室の中へ入って、大きな声で歌をうたった。

 きんちょうしている子がいたら、早くらくにしてあげたかったから。

 みんなが歌の識名人に育ってほしいから。

 歌のとび出してくるような明るいクラスをつくりたかったから。

 心の底から大きな声を出せる人になってほしいから。

 

 みんなに毎日の生活を綴る「生活の記録」のノートをわたした。

 「綴る」ことをとおして、ものの見方、考え方を深めてほしいから。

 ものごとの真理・真実を発見してほしいから。

 ひとりひとりの心を知って、ひとりひとりに合った、ひとりひとりのための教育をやりたいから。

 

 ぼくは、この多くの願いをこめてガリ(文集)をつくる。

 ぼくの心を知ってもらいたいから。

 みんなとの話し合いの場、考える場としたいから。

 みんなとともに勉強し、大きく育っていきたいから。

                              (1975.4.15


                          昭和20年生まれのボク。若かったなあ!

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする