子どもの頃に歌っていて、今でも歌詞を覚えている歌に、文部省小学唱歌の『朧月夜』がある。6学年用で、私が生まれた昭和8年(1933)につくられた。
http://www.youtube.com/watch?v=LiDgphPtjb4&feature=related
一、菜の花畠に、入日(いりひ)薄(うす)れ、
見わたす山の端(は)、霞(かすみ)ふかし。
春風(はるかぜ)そよふく、空を見れば、
夕月(ゆうづき)かかりて、にほひ淡し。
二、里わの火影(ほかげ)も、森の色も、
田中の小路(こみち)をたどる人も、
蛙(かわず)のなくねも、かねの音も、
さながら霞(かす)める朧月夜(おぼろづきよ)。
小学生用の唱歌と言っても、文語調でいかにも時代がかっているが、私も小学生の時に習い、とくに理解が困難なこともなかった。当時は小学生でも易しい文語調の文章なら理解できた。この歌は当時でもそうだったが、今も私は大好きで、とくに夕暮れ時の農村の情景を歌っている2番が好きだ。
夕月は旧暦4~6日の月で細い鎌のようだが、とくに前日(3日)の三日月を指すこともあるようだ。4月6日の月は夕月だったが、季節的にはこの歌の「菜の花」や、「蛙のなくね」、「春風そよ吹く」には少し早い。次の夕月の日は5月6~8日(旧暦4月4~6日)で、5月6日の東京での日の入りは18時32分、月の入りは21時23分(インタネット『こよみのページ』)だから、この歌の情景は自然の姿をよく写していることになる。
三日月:Wikipediaより