黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

三池炭鉱 #17:七浦坑

2014-02-09 02:30:36 | ・三池炭鉱
シリーズでアップしている三池炭鉱。
文化財等には指定されていないものの、
三池炭鉱の足跡を後世に残す意味で重要な残存施設。
今回は七浦坑です。

三池炭鉱

七浦坑は、明治16年(1883)に稼働開始した、
大浦坑に継ぐ官営時代の主力坑で、
その後第二竪坑と第三斜坑が造られ、
昭和6年(1931)まで稼働した坑口でした。

約40年稼働した七浦坑から産出した石炭は、
主に上海に輸出、外貨獲得に貢献したそうです。

写真は大正末期の七浦坑ですが、
少し珍しい形の竪坑が写っています。
また高さのある4本の煙突や、
煉瓦造りの建屋も幾つも見え、
規模の大きな坑口施設だったことが伺えます。





三池炭鉱

写真は現在の七浦坑第一竪坑巻上機室。
(大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ様所有)
現在では、第一竪坑巻上機室の建屋や、
竪坑の煉瓦囲いおよび櫓の一部が残存。
最初の写真に写る竪坑櫓が第一竪坑ならば、
その左隣に移る、屋根が開いている建物が巻上機室なので、
おそらく現存する建物だと想います。

前回アップした大浦坑は、
既に官営時代の施設は残存していませんが、
七浦坑の巻上機室はまさに官営時代のものなので、
是非とも残って欲しいものです。

また、官営の時代には、
これまでアップして来た大浦坑、七浦坑、宮浦坑の他にも、
三池炭鉱で最初に坑底(坑道の一番深い所)に排水用ポンプを設置した、
明治10年(1876)操業開始の三ツ山坑や、
大浦坑などの坑内排水坑として、
明治20年(1886)から操業開始する早鐘坑など、
多くの坑道が造られていました。



【七浦坑】

福岡県大牟田市合成町
今回は時間がなく見学出来ませんでしたが、
いずれ機会があれば見てみたいと想います。
『筑後の近代化遺産』(弦書房刊)によると、
許可を求めれば見学出来る様に書いてありますが、
詳細はわかりません。

三池炭鉱

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