黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

『THE OBROADERS オブローダー~廃道冒険家~』リリース!

2015-01-03 23:06:22 | 廃道
明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。



年明け早々ですが、昨年の年末に続きリリース情報です。

『THE OBROADERS オブローダー~廃道冒険家~』日活

昨年11月末、テアトル新宿のレイトショーで公開された、
劇場版廃道ドキュメンタリー『THE OBROADERS オブローダー~廃道冒険家~』が、
ブルーレイで発売です。

既に劇場でご覧になった方は、内容はご存知のことと思いますが、
廃道三部作の2作目『廃道ビヨンド』に収録の、
新島&神津島の廃道に未公開映像を大幅にプラスし、
3作目『廃道レガシイ』収録の戸倉の未成隧道の探索出来なかった、
最奥の閉塞地点までを新撮で収録しました。

廃道3部作で収録して来た、
廃道の「美しさ」「冒険性」「歴史性」「不思議さ」の
総ての要素が詰まった、いわば集大成です。

また廃道3部作では、
『廃道をゆく4.5』や『山さ行がねが ブックバージョン』など
平沼さん執筆のブックレットを封入してきましたが、
今回は全編石井あつこさん執筆の『トリのオブガイド』を収録。

クレヨンで手書きされた探索地図など、
トリ(石井あつこ)さんの新たな面が楽しめるブック付です。

ぜひご覧んになって下さい!

◆ THE OBROADERS オブローダー~廃道冒険家~ ◆
企画・制作:オープロジェクト
出演:平沼義之・石井あつこ
出版社:日活
発売日:2015年1月6日
90分/オールカラー/特製ブックレット(8P)付
定 価:4,800円(税抜)
ASIN: B00NLW6MCE
EAN: 4907953055193

『THE OBROADERS オブローダー~廃道冒険家~


『OBROAD 未知なる道』展開催

2014-12-07 13:10:04 | 廃道
コニカミノルタプラザ企画展『OBROAD 未知なる道』展

ついうっかり、アップするのを忘れてました。
昨日12/06から12/15まで、新宿のコニカミノルタプラザにて、
廃道の写真展『OBROAD 未知なる道展』を開催してます。

廃道DVD三部作、そして映画『オブローダー』の劇場公開など、
ここ2年にわたって関わって来た廃道の、
いわば最後をしめくくる発表。

万世大路や越床峠など、過去の映像作品で訪れた廃道は勿論、
映像作品には収録しなかった廃道も含めて25点。
冒険寄りだった映像作品とは真逆の、
時の止まった廃道の世界をお楽しみ下さい。



コニカミノルタプラザ企画展
オープロジェクト・プレゼンツ
『OBROAD 未知なる道』


会  期:2014年12月6日(土)~12月15日(月)
開館時間:10:30~19:00(最終日は15:00まで)
入場無料
住  所:東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル4F
アクセス:JR新宿東口、地下鉄丸の内線新宿駅A7出口から徒歩1分
(フルーツの新宿高野4F)

詳しくはこちら↓
http://goo.gl/0GS0De

戸倉峠の未成隧道4

2014-10-15 02:54:35 | 廃道
前回アップした戸倉の未成隧道の再撮リポートの続きです。
今回は、前回の後半にアップした崩落導坑の先へ進みます。

戸倉峠の未成隧道

過酷な崩落導坑の最後には、
崩落した瓦礫の分だけ高くなった地面から、
本来の導坑へ下る瓦礫のスロープが待ち構えていましたが、
ゆっくりと下りて本来の導坑へ辿り着くと、
以外にも<快適>なトンネルが続いていました。
高さと幅、ともに2mくらいの極めて荒い素堀の導坑は、
本来快適なはずはありませんが、
それまでの崩落箇所があまりにも非道かったんで、
そう感じたのかもしれません。





戸倉峠の未成隧道

快適な導坑を歩き出すと、
ほどくなくして人の痕跡がちらほらと散見します。
朽ち果てた木箱。
果たしていつからここにあるのかは分かりませんが、
もし工事中に放棄されたものだとしたら、
70年近く経過していることになります。





戸倉峠の未成隧道

更に暫く進むと、壁面に落書きの跡があります。
これは『廃道レガシイ』のブックレットで、
平沼さんもリポートしていますが、改めて読んでみると、

 トンネル戦士
 諸君よ
 當導坑の
 開通は
 何日ぞよ

と書いてあります。
平沼さんはこの落書きを建設当時の労働者のものと、
ほぼ決め打で伝えていますが、
もしかしたら、かなり時間が経ってから、
(と言っても戦後そんなに経っていない時期だとは思いますが)
この隧道を訪れた人の落書きかもしれませんね。

というのも、もしこの導坑を作っている人だったら、
隧道建設の中断を知っているので、
おそらく「夢半ばにして」などの表現になるのではないかと。

更に、ここで働いていた労働者が半島からの人たちだったと聞くと、
導坑がなかなか開通しない無念さを訴える内容、
そして流暢な日本語で書かれていることなど、
当時書かれたにしては、そぐわないことが多いとも思います。





戸倉峠の未成隧道

落書きのすぐそばには錆びまくったカンテラが、
ポツンと転がっています。
これはおそらく建設当時のものではないでしょうか。
70年の時を超えて、かつて漆黒の闇を照らし、
ただ無心に穴を掘る労働者の眼となった灯り。
そう思うと鳥肌が立ちます。





戸倉峠の未成隧道

<快適>な導坑には殆ど支保杭がありませんが、
ところどころこういった感じに崩れた支保杭の塊があります。
<快適>な導坑が始まったころは、
まだ隧道の周囲を奇麗に整えようとする意志を感じる壁面でしたが、
この付近になると、もう一心に掘り進むだけといった感じで、
壁面を整える意志は感じられません。





戸倉峠の未成隧道

更に進むと、徐々に壁面の湿潤が多くなり出し、
坑床にも水が流れているようになります。





戸倉峠の未成隧道

やがてその水は水量を増し、
水たまり状の坑床が出現します。
20m程の水たまりは、沸き出す地下水の水で、
水流があるのか、とても透き通っています。
またこの水たまりはそれほど深くないので、
用意したゴム長靴でなんとか渡ることができました。

正面に見える青光りする箇所は、
遠目には完全に閉塞している様にみえますが、
近づいて見ると、なんと極めて薄い隙間があり、
再び崩落部分の登場です。





戸倉峠の未成隧道

この崩落箇所も、天井から落ちた瓦礫が坑床に堆積し、
かなりの高さまで積み上がっているものの、
その分天井も空間が出来ているので、
かろうじて前へ進むことができます。
画像はその崩落の瓦礫を登った所から、
1つ前の水たまりの方向を見たものです。

この崩落の先には先行した撮影クルーがいる筈ですが、
どんなに耳を澄ましてもまったく物音1つ聴こえません。
試しに大声で呼びかけても、返事もありません。
崩落によって直線的でなくなってしまった隧道内では、
そんなに遠くなくても、音が伝わらないのだと思いました。





戸倉峠の未成隧道

そしていよいよ最終地点へ到着。
支保杭が水中に散乱する、
1つ前の水たまりより遥かに深い水たまり。
そしてその奥にみえるのが、完全閉塞地点。
先行した石井さん初めオープロ班は、
結局閉塞箇所を確認すべく、
50cm以上ある水中を、長靴の中に水を入れながら、
突き進んだそうです。

私は遅れて到着したので、
ズルをして対岸からの撮影だけで引き返しました。

引き返す直前、ライトを消ししばしその場に佇んでみましたが、
ライトを消した瞬間、
得体の知れない重圧が全身を蝕んで行くのを感じます。
それは、今この場で地震が来て、
崩落の下敷きになってしまうことを想像する恐怖かもしれません。
あるいは、想像する死後の世界かもしれません。



ジュール・ベルヌが好きです。
特にセンター・オブ・ジ・アースはとても好きです。
あの話はフィクションで、地底は目映いばかりの銀世界ですが、
それに憧れて、子供の頃、よく出来かけの鍾乳洞をもぐったものです。
全く美しくなく、ただ濡れてる岩にしか見えない鍾乳石に挟まれて、
泥だらけになりながら前へ進む感覚。
きっとその先には、不思議な世界があるかもしれないと思いながら、
結局不思議な世界はどこにもありませんが、
暗い洞窟をくぐり抜けた達成感が残ったのを今でも覚えています。

廃道シリーズを通して、
この戸倉の未成隧道や『廃道レガシイ』に収録した旧大滑隧道、
そして『廃道クエスト』に収録した越床峠の明治隧道は、
いずれも閉塞した隧道でしたが、
これらの隧道には、廃道としての楽しみのみならず、
ケービングの楽しさが加味されていたので、
そういう意味では、とても印象深く記憶に残っています。





戸倉峠の未成隧道

再び2つの崩落箇所を乗り越えながら、
コンクリート巻きの最終地点まで辿り着いて外の光が見えた時は、
さすがにホッとしました。

以前のリポートでもお伝えしましたが、
ケービング・アドベンチャー感満載の構造、
隧道の制作行程がつぶさに分かる貴重さ、
カビやコウモリも含めたその廃れっぷり、
そして、その裏に秘めた黒歴史。
三本の廃道DVD制作を通して、
もっとも印象深く残った物件でした。



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戸倉峠の未成隧道3

2014-10-14 02:59:31 | 廃道
前回アップした劇場版廃道ドキュメンタリー
『the OBROADERS オブローダー 廃道冒険家』の記事で、
戸倉の未成隧道を再撮したとお伝えしたので、
そのリポートをちょっとアップしようと思います。



兵庫県宍粟市と鳥取県の県境に位置する戸倉峠。
そこに、第二次世界大戦の時代、
途中まで建設されながらも完成することのなかった未成隧道があり、
廃道三部作完結編の『廃道レガシイ』に収録したしたことは、
その時の撮影リポートでもお伝えしました。
そして、前回の撮影では、帰りの新幹線の時間の都合上、
隧道を奥まで探索出来なかったこともお伝えしましたが、
その後、どうしても奥まで行ってみたい欲求に支配され、
更に劇場公開版のディレクターズ・カットの話もあったので、
再度、撮影に挑むことにしました。
今回は前回到達した地点から最奥の閉塞地点を目指します。

戸倉峠の未成隧道

最奥の閉塞地点到達への決意を新たにする石井さん。
内奥は水が溜まっていることやかなり汚れることを想定して、
石井さんを始め撮影クルーは全員、
長靴とビニール合羽の上下を着用して挑みます。





戸倉峠の未成隧道

もう二度度来ることはないと思っていた戸倉の未成隧道。
再び訪れた9月の下旬は、早くも紅葉が始まっていました。





戸倉峠の未成隧道

相変わらずなんの変哲もない山肌に、
突如として漆黒の闇をたたえた口を開ける未成隧道。
画像ではとても小さな抗門の様に見えますが、





戸倉峠の未成隧道

撮影クルーの大きさと比べても分かる通り、
実はかなり大きな抗門です。
古い隧道は、現代の車が通行するには、
いささか小さすぎる口径のものも多いですが、
この隧道は、現代の大型車の通行にも充分耐えうる大きさをしています。
おそらく戦車をはじめとした大型の軍用車の通行を考慮してのことだと思います。





戸倉峠の未成隧道

再び訪れた未成隧道は、前回にも増して湿度が高く、
隧道内に入った瞬間に、強烈なカビとすえた獣臭が鼻を突きます。
カビは大量の腐った支保杭に繁殖するもの、
またすえた獣臭は、コウモリの糞です。





戸倉峠の未成隧道

前回到達した、コンクリート巻きの終了地点。
長時間で明るめに撮影してみると、一面のカビの世界。(ゲボッ)
照明が暗いのが幸いして前へ進めますが、
もし人間の目が暗部でもとてもよく見える構造だったら、
おそらくここら先は進みたいとは思わない筈です。






戸倉峠の未成隧道

勿論天井部分には大量のコウモリ。
再び訪れた不審な来訪者に息をひそめている様子です。





戸倉峠の未成隧道

前回撮影を終了した地点を越えて、更に奥へと進みます。
コンクリート巻きが終わった地点から、
いきなり地面が陥没したり盛り上がったりと、
起伏が激しくなってますが、これは総て崩落の結果です。
特に隧道底が斜めにせり上がっていて、
隧道の正面から見ると完全に塞がっている様に見えるところも、
近づいてみると狭い隙間が上へと続いていて、
かろうじて通行することができます。
これは崩落によって地面が盛り上がった分、
天井が同じだけ削れているからだと思います。





戸倉峠の未成隧道

更に進むと、もはや何でこんな形になったのか、
その崩落の過程が想像出来ないほど変形した部分もあります。
コンクリート巻きが終わってからは、
導坑という幅と高さが2m前後の、
ようするに隧道の当たりを付けるための水平の穴が続いているはずですが、
この部分を見る限り、幅は以上に狭くなり、
逆に陥没もひどく、また天井もかなり高い部分から崩落しています。
唯一、隧道は一本で迷うことはない、
ということだけをこゝろの支えに前へと進みます。

次回、未成隧道の最奥地へと進みます。



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『オブローダー~廃道冒険家~』劇場公開決定!!

2014-10-11 01:11:33 | 廃道
二年間に渡って撮影し、三部作が完結した廃道シリーズ。
以前にアップした最後のまとめの記事>の一番下に「まだ終わるわけにはいかなかった」
とだけお伝えしましたが、それがこれです。

廃道シリーズ、ディレクターズ・カットで劇場公開決定!!

オブローダー廃道冒険家
※画像はクリックすると拡大します。

11/22(土)より一週間、テアトル新宿レートショーで上映決定。
タイトル『the OBROADERS オブローダー~廃道冒険家~』です!





オブローダー廃道冒険家
※画像はクリックすると拡大します。

物件的には既に『廃道ビヨンド』で収録した東京の離島の廃道、
「神津島砂糠山の廃道』「若郷新島港線」の2物件と、
『廃道レガシイ』で収録した「戸倉峠の未成隧道」を予定していますが、
離島の廃道に関しては、ビヨンドに収録出来なかったシーンを大幅に投入、
また戸倉峠の未成隧道に関しては、
レガシイで行くことのできなかった奥部分を再撮。
これら未発表映像と新撮映像を加えたディレクターズ・カット版です。

また、11/22の初日には、
出演の平沼さん&石井さん、そしてオープロジェクトの大西監督が、
舞台挨拶で登壇します。

是非、劇場でご覧になって下さい!

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廃墟賛歌『廃道レガシイ』ダイジェスト版

2014-09-20 00:31:37 | 廃道
廃道DVD最新作にして完結編
『廃墟賛歌 廃道レガシイ -Obroad Legacy-』のダイジェスト映像をYou Tubeにアップしました。



シリーズでアップして来た廃道撮影リポートでは殆ど触れなかった、
平沼さんと石井さんの今回の活躍の一端がご覧になれます。



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廃道レガシイ



「銀座に廃道?」秋の廃道スクール開校!

2014-09-19 02:29:07 | 廃道

「銀座に廃道?」秋の廃道スクール開校!

廃道DVDシリーズ完結篇、『廃道レガシイ』の発売を記念して、
東急ハンズ銀座店にて特別イベント開催決定です。

「銀座に廃道?」秋の廃道スクール開校!と題して、
DVDシリーズを通して出演頂いた、
廃道界のカリスマ平沼さんと、廃道界のアイドル石井さんのおふたりによる、
一夜限りの廃道レクチャートークイベントです。

なお、このイベントは今作『廃道レガシイ』を、
東急ハンズ銀座店でご購入頂いた方のみへのスペシャルイベント。
(いつのまにかそのような形になっているみたいです。。。)
おふたりの廃道レクチャー参加ご希望の方は、
東急ハンズ銀座店で『廃道レガシイ』をご購入頂けたら幸いです。



「銀座に廃道?」秋の廃道スクール開校!

日時:2014年9月27日(土) 17:30開場 18:00開始 19:30頃終了予定
会場:東急ハンズ銀座店近く某所(購入者のみにお知らせします)
講師:平沼義之、石井あつこ
参加対象者:東急ハンズ銀座店にて「廃道レガシイ」を購入いただいた方 先着50名様 
その他特典:イベント当日、出演者のサイン(DVDジャケットなど)、ポストカードプレゼント
参加券配付期間:2014年9月2日(火)~27日(土) ※なくなり次第終了
お問合せ先:東急ハンズ銀座店 03-3538-0109(代表)

詳しくはこちら→銀座に廃道?」秋の廃道スクール開校!


廃道DVDシリーズ、完結!

2014-09-18 03:12:35 | 廃道
これまで各作品が出来上がるたびに、
ロケリポ形式でその撮影状況等をお伝えしてきた廃道DVDシリーズでしたが、
前回の記事でそれもおしまいです。
撮影開始から約2年、長いようで短かった廃道探索を、
最後にさらっと振り返ってみたいと思います。

◆越床峠◆

越床峠

総ての始まりは二年前の秋のこの<越床峠>からでした。
それまで廃墟がらみで無意識に廃道を歩いてはいたものの、
廃道を道として意識して歩いたのはこれが初めてでした。

廃墟は建物や街なので、周囲の殆どが廃で包まれますが、
廃道は逆に周囲の殆どが大自然で、その中にポツンと廃があります。
また廃墟の様に派手な演出もない廃道は、
<廃の俳句>だと感じたのを思い出します。

同時にひび割れたセンターラインが残るアスファルトが、
自然へ回帰していく姿はあまりにも美しく、
廃墟にはない人工と自然のコラボレーションも新鮮でした。





◆高長切川隧道◆

高長切川隧道

それまで一般の道、そしてトンネルしか通ったことのない自分にとって、
ありえない構造をした<高長切川隧道>も衝撃でした。
入口は一般のトンネルの様子でありながら、
途中から素掘るままの状態になり、
しかも素堀区間の間を洞門が繋いでいるので、
一見一本のトンネルに見えながら、
実は高長と切川という2つのトンネルが繋がっている、
という奇妙奇天烈なトンネルでした。

勿論現在は更に内陸側に長いトンネルが造られており、
逆にトンネルの外側には、かつての道の跡もありました。
こうして山肌に造られていた道が、徐々に内陸へと浸食し、
道が短縮されて行くのだということを目で見たのも初めてでした。





◆国道299号旧道◆

国道299号旧道

ただの崖の斜面にしか見えないこの<国道299号旧道>の廃道は、
廃道DVDシリーズを制作する切っ掛けとなった物件です。
廃道のDVDを造りたいという平沼さんからのオファーがあったとき、
ちょうど平沼さんに見せてもらったのがこの299号の旧道でした。

ただの崖崩れをおこした山の斜面としか思えない場所を、
ここにはかつて道があったと話しながら進む平沼さんの姿が、
あまりにもバカ素晴らしく思えたので、
DVDの計画当初から撮影対象に入れていました。

実際に現場へ行って見ると、
崖崩れで斜面とか化した廃道はあまりにも過酷で、
いくつかある崖崩れの最期の難関を越えることが出来ませんでした。
廃道が思ったより遥かに過酷で危険な場所だと思い知ったのがこの廃道です。





◆万世大路◆

万世大路

廃道としてだけでなく、日本の道路史的にも有名な<万世大路>。
明治天皇がご巡幸までされた東北地方有数の廃道は、
その歴史を現すかの様に、威風堂々としたものでした。
特に、
分水嶺を越えるべく造られた栗子隧道の山形県側の抗門は、
明治時代の素堀の隧道を残しながら昭和の隧道が造られるという、
極めて特殊な形をしていました。
明治隧道の突き当たりまで行くと、昭和隧道の外壁が見えます。
トンネルの外壁なんてのもここでしか味わえない光景ですが、
それよりなにより、この道は土木大国ニッポンを象徴するかのような道。
こういった道が今日の日本の発展を根底で支えて来たのかと思うと、
感慨もひとしおです。





◆南部新道◆

南部新道

「薮漕ぎ」という廃道の1つの試練を知った<南部新道>
元来あった路盤の、かなり長距離の区間にわたって竹が群生し、
行く手を阻みます。
行けども行けども道は竹薮に塞がれ、
さらに60年と言われる寿命が終わった竹も多く、
そういった場所では、しらっぱけた竹が幾十にも折り重なっています。

かつて人が往来し、やがて使われなくなって自然に回帰したものの、
その自然すらひとサイクルを終えて現在を迎える廃道の姿は、
もはや人知の領域を越えた地球時間の片鱗すら感じます。





◆入川森林鉄道◆

入川森林鉄道

二作目の『廃道ビヨンド』は林鉄から始まりました。
林鉄が、鉄道ではなく道路に区分されるということは、
この<入川森林鉄道>の撮影の時に初めて知りました。

もともと廃線には興味があり、オープロジェクトでも廃線のDVDである
『鉄道廃線浪漫~時の声・風の音~』をリリースしていますが、
それはあくまでも、行程の途中に駅舎の跡があったり、
また棄てられた車輛が残っていたりといった変化があってのこと。
ここまで何の変化もなく、更にシリーズで最も長距離の歩行だったため、
絵になる片洞門やS字にくねる軌道跡以外、
興味をそそられるものが殆どありませんでした。

DVDでは平沼さんの案内とともに林鉄の魅力がたくさん語られていますが、
個人的にはあまり感じるものもなく、ただ疲労だけが残った廃道でした。





◆若郷新島港線◆

若郷新島港線

初めて飛行機で移動した撮影は、東京の新島と神津島でした。
新島の<若郷新島港線>は、
アスファルト道、洞門、廃トンネル、崖崩れ、薮漕ぎなど、
廃道体験のあらゆる要素がつまった玉手箱のような廃道でした。

歴史的に語られるべきものはそれほどない道でしたが、
途中の約50メートルくらいの区間が、
かつてそこに道があったとは全く想像出来ない程激しく崩壊し、
その崖崩れによって出来た垂直にそそり立つ断崖登りが最も印象深く残っています。
国道299号旧道の崖崩れを経験しているので、なんとか登ることができましたが、
崖は200メートル以上も下の太平洋まで一直線です。
ひとたび転がったら真っ逆さま。
もっとも危険な体験をできた廃道でもありました。
緑に浸食されて行く廃道が自然とのランデブーだとすれば、
崖崩れによって崩壊した道は、自然にレイプされた印象です。





◆元名の石切道◆

元名の石切道

二作目『廃道ビヨンド』の最後撮影は、
房総半島の採石山である鋸山に残る<元名の石切道>
この道路の特徴は作業道であること。
これまで撮影して来た道はそのどれもが一般の通行のための道でしたが、
この道は純粋に石切の作業に従事した人たちのためだけのもの。
それゆえに道の作りは<親切>でなく、歩行には困難を伴います。
更に山の上から切り出した大きな石を運ぶための道なので、
平坦な場所はほとんどなく、道歩きというよりは山歩きです。

この道で最も驚かされたのは、
切り出された巨大な石の運搬に従事していたのが女性だったこと。
専用の荷車に載せて頂上付近から下界まで運んだそうですが、
よくこんな急傾斜の道を、重さ何百キロもある石を積んで運べたなと、
当時働いていた人たちの生きる執念を強く感じました。





◆うわごう道◆

うわごう道

もともと一作目の『廃道クエスト』に収録予定だった、
廃集落を結ぶ廃道<うわごう道>
この道は殆どの区間において舗装等の人工的な手が加えられていない道で、
シリーズを通して、ここまで人工物がない道路はここだけでした。
平沼さんも人工物がない廃道は自分の範疇ではないと言ってましたが、
確かに道だけ歩いているぶんには、
はたしてこれが廃道なのかそうでないのかがわかりません。
点在する集落が廃集落だということで道も廃道としましたが、
それらの集落が現役の集落だったとしても、
おそらく道の姿は殆ど変わらないと思います。
そういった意味では、
シリーズを通して最も原初の形に近い道だったと思います。





◆ニコイの廃遊歩道◆

ニコイの廃遊歩道

これもシリーズでは初物件となる遊歩道の廃道。
廃道の先にある高原へ行くために計画されながらも、
その途上で断念せざるおえず、結局ほとんど使われることもなかった道。
国内には観光誘致を目的に造られながらも、
結局ほとんど使われずに終わった施設は数知れませんが、
そこには人間の飽くなき欲望とその失敗が残されています。





◆六厩川橋◆

六厩川橋

これまたシリーズ初の物件でした。
1つには初めて水路を使ってアプローチした撮影だったこと。
そしてもう1つは初めての廃橋だったこと。
廃橋に関しては、何度か別の物件でチャレンジしながらも、
なかなか映像的に成立するものがなく、
ずっと取り上げられなかったアイテムです。

陸地からのアプローチだと、どのルートからも10キロ以上ある、
陸の孤島のような場所にある廃橋<六厩川橋>は、
橋の存在よりも、そこへのアプローチの困難さが印象深かった廃道です。
橋自体は現在でも修復すれば使えるくらいしっかりしたものでした。
しかし、今は誰一人としてその橋を利用する人はいません。
橋のおかげで便利になったことが、
その橋を使わなくてもいい状態を造り出すという究極のパラドクス。
道とはそういう運命にあるものなのかもしれないと思いました。





◆戸倉峠の明治道◆

戸倉峠の明治道

シリーズを通して最も遠くへ遠征した<戸倉峠>は、
石井さんの推薦によって敢行した物件でしたが、
遠くまで行った甲斐がおおいにあった物件でした。

明治の馬車道は万世大路の時に多少体験してますが、
ここまでの規模で石垣と路面が奇麗に残っているのは初体験でした。
特に路面の幅が広く、
本当に明治時代にこれほどの幅が必要だったのか?と思うくらいです。





◆戸倉峠の未成隧道◆

戸倉峠の未成隧道

そしてなんと言っても、
シリーズを通して最も印象深く思い出すのが<戸倉峠の未成隧道>です。
完全なる未成であること、
それによって抗門がなく半円形の巻き立てだけの入口であること、
当然名前もないので扁額もなく、地図にも載らなかったこと、
ある程度完成して使わなかったのではなく、完全に造りかけのまま放置されたこと、
それによってトンネルの建造行程がジオラマ状になっていること、
終戦間近の建造なため、その作業に半島の人々が従事したこと、
更に、シリーズで最もコウモリがたくさん生息していたこと、
同時に支保用の木材が腐って、カビが隧道内に充満していたこと、
枚挙にいとまがないこの隧道の特色は、
そのままこの隧道が背負った黒歴史を現しているようでした。



本来、道は他の地域との交流を利便化し、
より豊かな地域からの恵みを地元へ還元するために造られたものだったと思います。
しかし、その利便性ゆえに、
結果としてはより豊かな土地へと人を流出させてしまったのが道だと思います。
今、国内にはたくさんの限界集落がありますが、
それは利便性を求める人間の欲望が支払わなくてはならない代償なのかもしれません。



さて、廃道シリーズはこれで完結とずっとお伝えしてきましたが、
この場で最後に一言、
まだ終わるわけにはいかなかった
とだけ告知させて頂きます。



『廃墟賛歌 廃道レガシイ obroad legacy』
廃道DVD三部作・完結編
2014年9月2日 release !
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廃道レガシイ



廃橋、六厩川橋3

2014-09-16 03:13:44 | 廃道
昨年リリースした国内初の廃道DVD『廃道クエスト』、
そして、今年の春にリリースした第二弾『廃道ビヨンド』、
そして廃道三部作完結編となる『廃道レガシイ』を9/2にリリースしました。
今回も前作や前々作同様、作品に収録した物件の探索リポートをアップしています。



廃道DVDシリーズの最後の撮影、そして作品でも最後を飾る、
岐阜県白川郷にある廃橋「六厩川(むまいがわ)橋」。

御母衣湖の廃道

前回の記事では、
平沼さんは秋町隧道を越え、オープロ班は湖をカヤックで、
別々に六厩川橋へアプローチすることにした所までアップしました。
地図を見てもお分かりの様に、カヤックで橋まで辿り着くには
ほぼ来たルートを引き返し、それから六厩川を遡上しなくてはなりません。





御母衣湖の廃道

湖上は強風が吹き、とても撮影をしてる余裕もありませんが、
川に入ると多少は穏やかになり、当たりを見回す余裕も出てきました。
しかし、至る所に崖崩れの跡があり、
秋町隧道の上を山越えしなくて良かったとつくづく思いました。





六厩川橋

そして必死に漕ぐこと1時間半、
遂に六厩川橋がその姿を現しました。





六厩川橋

陽光に照らされて燦然と輝く廃橋<六厩川橋>の勇姿

このあと、カヤックを停泊出来る場所を探しますが、
殆どの湖岸は崖状で、なかなか見つかりません。
やっと湖岸近くに大きな岩が顔を出しているポイントを見つけ、
湖岸と岩の間にカヤックを挟んで、なんとか上陸が出来ました。





六厩川橋

途中落石を引き起こしながら、湖岸から急斜面を登り、
やっと辿り着いた六厩川橋です。
橋自体は、それほど驚くこともない吊り橋ですが、
やはりここまで来る行程を思い起こすと、
到達の感動はひとしおです。





六厩川橋

銘板もきれいな形で残っています。





六厩川橋

ひとしきり撮影し、辺りを見回すと、
先行して到着していた平沼さんからのメッセージが置かれていました。
秋町隧道を越え陸路から行く方が時間は遥かに短く、
かなり前に橋に到着した平沼さんは、
かつての探索の時に回りきれなかった区間の探索に出かけていました。





六厩川橋

橋の物撮りをしながら小一時間が経った頃、
林の向こうから平沼さんの声が聞こえてきました。





六厩川橋

顔を併せるや否や地面に倒れ込む平沼さん。
これで平沼さんは、
六厩川橋を中心とした御母衣湖畔に残る三本の廃道総てを制覇したそうです。





六厩川橋

最後に橋の上で、今回の探索そして廃道DVDシリーズのまとめを収録。





六厩川橋

その後平沼さんは再び陸路で引き返し、
オープロ班はカヤックで来たルートを、それぞれ戻ります。






六厩川橋

六厩川橋を離れて暫くは、湖畔の廃道を湖面からもみることが出来ます。
ちょうど廃道を通って戻る平沼さんを発見。





六厩川橋

画像上部の岩肌の切れ目辺りを拡大すると、
果敢に崖崩れを横断する平沼さん。
もし秋町隧道を全員で越えることができていたら、
あの崖崩れを越えなくてはならなかったのかと思うと、
今思えば、水没隧道を越えることができなくって、
ほんとによかったと思います。

その後オープロ班は最初のカヤックスタート地点に戻り、
私はカヤックを降りて、大西さんが平沼さんを迎えに行きました。





御母衣湖

行きには20分位で到達出来た対岸の入江に迎えに行った筈なのに、
1時間を過ぎても戻ってきません。
どうしたのかとやきもきしていると、やっと湖面にカヤックの姿が見えました。
昼にも増して風が強くなり、湖岸で風止みを待っていたそうです。





御母衣湖

だいぶ陽が陰ってきたので、カヤックをいそいで解体。





御母衣湖

そして撤収です。





御母衣湖

最後に全員でお疲れのショット。
これが廃道シリーズ最後となる集合写真。



シリーズの最後を飾る六厩川橋は、
かつて車が通行出来た時は、
それほど到達するのに困難ことはなかった筈の橋。
しかし、ひとたび道が使えなくなると、
これだけ苦労しないと到達出来なくなってしまうのを知り、
あらためて道の素晴らしさを実感させられました。

次回は約二年にわたって行なって来た、
廃道撮影リポートのまとめです。



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廃道レガシイ



廃橋、六厩川橋2

2014-09-15 02:35:02 | 廃道
昨年リリースした国内初の廃道DVD『廃道クエスト』、
そして、今年の春にリリースした第二弾『廃道ビヨンド』、
そして廃道三部作完結編となる『廃道レガシイ』を9/2にリリースしました。
今回も前作や前々作同様、作品に収録した物件の探索リポートをアップしています。



御母衣湖の廃道

廃道DVDシリーズの最後の撮影、
そして作品でも最後を飾る廃橋「六厩川(むまいがわ)橋」。
前回の記事でもアップした様に、
橋への陸路のアプローチは非常に困難を極めるため、
御母衣湖をカヤックで横断し(下地図赤線)、
時間を大幅にショートカットしようという作戦です。

確かにカヤックでの湖の横断は時間の短縮にはなりますが、
それでもカヤックに乗れるのは2人。
対岸まで一人運んでまた戻り、また一人乗せて対岸へ。
という時間を、その先の行程とあわせて計算すると、
撮影隊全員が対岸へ渡る時間はありませんでした。
やむなく、オープロの山内さんと日活の牟田ディレクターは探索を断念。
平沼さんと私、そしてオープロの大西さんだけが対岸へ渡り、
撮影をすることになりました。





御母衣湖の廃道

カヤックを降りた後、まずは秋町隧道を目指します。
岩瀬秋町線の廃道まで辿り着けば、
路盤跡があると平沼さんからは聞いていますが、
そこに行くまでは元来道でも何でもない山の斜面なので、
ひたすら薮を漕ぎながらの登山です。





御母衣湖の廃道

しばらくすると道らしき平場へと出ました。
これが岩瀬秋町線跡かと思いきや、どうやら違っていて、
秋町線よりもっと古い時代の廃道だそうです。





御母衣湖の廃道

さらに登り傾斜はきつくなりだし、
なるべく体力を消耗しないように心がけながら進みます。





御母衣湖

岩瀬秋町線だった路盤跡へ辿り着いた後は、
ほぼ平坦な廃道を歩いて秋町隧道を目指します。





秋町隧道

ほどなくして秋町隧道が見えてきました。
鬱蒼とした薮の中、土砂に半分埋もれかけの隧道は、
それほど規模の大きなものではなく、
昭和の小型車輛が二車線で通行出来る程度のものでした。
これまで撮影して来た隧道を思い出してみれば、
この隧道はそれほど危険を孕んでいる様にはみえません。





秋町隧道

ではなぜ、かつて平沼さんがこの秋町隧道を断念したのか。それは、
水没してるからです!
隧道の入口から中に向かって土砂が斜めに流れ込み、
それが原因で隧道内の水が外へ出られず溜まってしまっています。
そして画像の奥に写るレジャーボートが、
今回、水没隧道を踏破すべく平沼さんが用意したリーサルウエポンです。





秋町隧道

空気入れも完了し、
初の秋町隧道踏破に向けて気合を入れる平沼さん。





秋町隧道

オールはカヤックで使ったものを1本持参しての代用です。
計画としては、平沼さんともう一人が最初に渡り、
一人で引き返してもう一人を後から運ぶ、というものです。

しかし!ここでアクシデントがぁ!

さすがレジャーボート。
撮影用の機材や行動食等を入れたリュック2つと重装備の大人二人が乗ると、
ボートはみるみる沈み始め、
隧道水が流れ込んで来るではないですかぁ!





秋町隧道

結局、水没隧道は平沼さん一人で渡ってもらい、
その先も一人陸路で六厩川橋へ行ってもらうことにしました。
それにしてもこの水没隧道、
画像では明るめに写っていますが、ライトを消せば漆黒の闇。
ともすればアナコンダが水中から顔を出しても、、、
前方に見える出口の明かりだけが頼りです。

かたやオープロ班は、秋町隧道の上を山越えすることも考えましたが、
隧道の上に目をやるとかなりな急斜面のためあっさり断念。

一旦カヤックまで戻り、湖から六厩川橋を目指すことに。
距離的だけでの計算では、
カヤックを泊めてある入江から六厩川橋まで1時間位です。





御母衣湖

しかしカヤックへ戻ると、
来る時にとても穏やかだった湖面にメチャ風が吹きまくり。

さらに、六厩川橋付近にカヤックを停泊出来る場所があるかは、
まったく保証がありません。

けれどもここまで来て撮影しないわけにもいかず、
とりあえず強風に向かって漕ぎ出すことにしました。



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廃道レガシイ



廃橋、六厩川橋1

2014-09-14 18:48:55 | 廃道
昨年リリースした国内初の廃道DVD『廃道クエスト』、
そして、今年の春にリリースした第二弾『廃道ビヨンド』、
そして廃道三部作完結編となる『廃道レガシイ』を9/2にリリースしました。
今回も前作や前々作同様、作品に収録した物件の探索リポートをアップしています。



廃道DVDシリーズの最後の撮影、そして作品でも最後を飾るのは、
飛騨高山の西、御母衣ダム湖畔にある廃橋「六厩川橋」です。
前回の記事でもアップした様に、
六厩川橋へのアプローチは非常に困難を極めるため、
高山市内を暗いうちに出発することにしました。

未明の高山

未明の高山市内。
早朝の出発にもかかわらず、昨日泊まった吉野屋の方々は、
眠い目をこすりながら見送りに来てくれました。
なんか嬉しいです(涙)





松の木峠PA

国内で最も標高の高い松の木峠PAを通過するころ、
ようやくうすら明るくなってきました。
標高が高いのであたりは濃い霧に包まれています。





岩瀬橋

御母衣湖の最初の大きな橋、岩瀬橋を渡るころには、
だいぶ白んできましたが、かなり曇天。
撮影の天候が気になります。





御母衣湖

しかし御母衣湖のカヤック着水ポイントに到着した頃は、
霧も晴れ、徐々に大陽が射す様になってきました。





御母衣湖

カヤック着水地の湖畔まで下りる頃には、
山の向こうから朝日が徐々に姿を現し、
完全無風の鏡面湖水です。






御母衣湖

さっそくカヤックの組み立てに取りかかります。
オープロの大西さんは、この日のためにまえもって準備していたので、
組み立ても手際良くさっさと進みます。





御母衣湖

約30分で完成!湖畔でスタンバるカヤックの勇姿。



もともと廃道DVDシリーズを始めた時に撮影したかったものが二つありました。
ひとつはただの山の斜面としか思えず、時として激しく崖崩れも起こしている廃道。
これは第一作『廃道クエスト』の国道299号旧道で収録しました。
もう1つは、水没した隧道やダム湖に沈んだ隧道を、
ボートを使って踏破することです。
そして今回、奇しくもカヤックによる廃道探検が実現しました。





御母衣湖

カヤックの先端には、アクティブカメラGo-proを装着。
これで準備万端です!





御母衣湖

さて、前回の記事でも多少触れましたが、
なぜ今回カヤックを導入しなくてはならなかったのか。
目指すは上図中央にある廃橋「六厩川(むまいがわ)橋」ですが、
陸路で橋へ辿り着くには、
岩瀬秋町線、六厩川橋線、森茂線と3つのルートがあるものの、
何れも完全なる廃道で、徒歩でしか進めないエリアが10キロ以上あります。

かつて平沼さんは総ての廃道に挑戦し、
六厩川線と森茂線からのアプローチに成功してますが、
いずれも強行軍で、橋に到着したのが日没直前。
橋を堪能する時間もなく、夜中の山中の廃道を引き返す、
といった非道い状況下での探索だったそうです。
また岩瀬秋町線では、秋町隧道で断念を余儀なくされていますが、
それに関しては次回のリポートでお伝えします。

今回は岩瀬秋町線からの攻略ルートですが、
これも湖畔沿いに南から攻めるには距離が遠すぎます。
そこで、御母衣湖の対岸の赤丸の位置からカヤックを漕ぎ出し、
赤線のルートで対岸に上陸することで、
岩瀬秋町線を大幅にショートカットしようという作戦です。

しかし最大の問題点は、
対岸に果たしてカヤックを停泊出来るスペースがあるのか?という事です。
一応グーグルアースで入江らしきものは確認したものの、
水位によって海岸線の状況は激変するので、何の保証もありません。





御母衣湖

そんな不安もどこかえ吹き飛ばし、
初のカヤック撮影に喜々としてはしゃぐ平沼さんは、
オープロの大西さんと2人で湖面へ漕ぎ出しました。



30分ほどすると大西さんだけが戻ってきました。
どうやらカヤックを停泊出来る入江があったようです。





御母衣湖

そして次は私がカヤックに乗って移動。
すばらしすぎる鏡の様な水面を静かに進むカヤックは、
初体験ですが、すばらしい感覚です。





御母衣湖

無風の湖面をカヤックで進むスピードはかなり早く、
ほどなくして入江へ到着です。
その入江は、普段は草が生い茂る湿地の様でですが、
この時は湖水が満水に近づいていたので草が水没していました。
水中で静かに揺れる水草が敷き詰められた入江はあまりにも美しく、
私たちはこの入江を勝手に<幸せの入江>と名付けてしまいました。



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廃道レガシイ



ニコイの廃遊歩道2

2014-09-08 02:24:02 | 廃道
昨年リリースした国内初の廃道DVD『廃道クエスト』、
そして、今年の春にリリースした第二弾『廃道ビヨンド』、
そして廃道三部作完結編となる『廃道レガシイ』を9/2にリリースしました。
今回も前作や前々作同様、作品に収録した物件の探索リポートをアップしています。



前回アップした飛騨高山の廃道、ニコイの廃遊歩道の後編です。

ニコイの廃遊歩道

前回は点線で示した隧道の入口までリポートしました。
今回は、隧道からその先のリポートです。

広いエリアでの地図をご覧になりたい方はGoogle Mapをご覧下さい。





ニコイの廃遊歩道

小さな隧道の入口には、隧道のスペック板が残されていました。
延長は134mとそれほど長いわけではありませんが、
それに対して高低差30mとはかなりの急勾配です。





ニコイの廃遊歩道

幅も高さも2メートルに満たないと思われる隧道へ入ると、
コンクリートで巻き立てられているのは入口からほんの数メートルで、
その先からは素堀の跡が露骨に残る状態です。
そして、明らかに登り坂になっているのが見てとれます。





ニコイの廃遊歩道

暫く登り坂を登って振り返ると、抗門が遥か眼下に見えます。
周囲はご覧の様に、完全に素堀のまま。
そして、以前にアップした戸倉の未成隧道と同様、
この隧道にも大量のコウモリがいるようです。
ただし、戸倉とは違って床面に糞が堆積していないのは幸いです。





ニコイの廃遊歩道

そしてその先に、この隧道のもっともここたる特徴を示す
隧道内階段が姿を現します。
ここからほぼ最後まで、隧道の道は階段です。
途中で何度か蛇行を繰り返す階段は、
さすがに素堀ではなくコンクリートを流しんで造ったものでした。





ニコイの廃遊歩道

隧道を抜けると、インディアナジョーンズ最後の聖戦に登場する、
「見えざる橋」を彷彿とささせる崩れかけの鉄橋が姿を現します。
おそるおそる渡りきって振り返ると、
岩盤がちゃんと盛り上がっているとこに抗門を設置していることが分かります。





ニコイの廃遊歩道

橋を渡ると、その先はすぐに崖状の山肌で、
それを登ってから眼下を見下ろすと、
自然とほぼ同化しつつある抗門や廃橋に感動を覚えます。





ニコイの廃遊歩道

崖状の山肌には火気厳禁の札が残る、
洞窟を倉庫に転用した様な施設の跡がありました。
おそらく隧道を掘る時に使用した、
ダイナマイトとかを貯蔵していたんでしょうか。





ニコイの廃遊歩道

内部は画像の様にほどなくして突き当たりの自然洞窟の様ですが、
奥から大量のコウモリが飛来してくるので、
それほど奥へ進まずに探索を終わらせました。





ニコイの廃遊歩道

山肌沿いに道の跡があったので先へと進んでみると、
川をはさんで反対側に、先程抜けて来た隧道の抗門と同様の造りの抗門が2つありました。
これらも隧道かとおもいきや、
川を渡って中を探索して来た平沼さんと石井さんの話だと、
これらは隧道ではなく鍾乳洞だろう、と言うことでした。

この鍾乳洞らしき穴に関しては、DVD本編に収録しているので、
是非ご覧になって下さい。

鍾乳洞がある場所からさらに先へ進むと、
やがてこの遊歩道を造ろうとした本来の目的のニコイ高原へと通じるようですが、
滝の見える鉄橋、コウモリが棲む階段隧道、そして鍾乳洞などを見学し、
満足ししまった一行は、この時点で撤収することにしました。





ニコイの廃遊歩道

このニコイの廃遊歩道で、
平沼さん&石井さんの両者が出演する廃道撮影は終了だったので、
最後にニコイトンネルの前で記念撮影。
右から日活のディレクター牟田さん、
オープロ大西とオープロ山内、
石井さんと平沼さん、最後が私。



百間滝は、確かに目の前で見れば奇麗ですが、
はるばる他県や他の地方から足代を使ってまで見に来る滝かというと、
やはりそうは思えません。
また鍾乳洞も、整備すればもう少し見栄えもするのかもしれませんが、
これもまたその規模からして、わざわざ訪れるものとは思えません。

国内には、レジャー施設として開発したものの、
結局立ち行かなくなり、放置されてしまった物件が数多くあります。
このニコイの廃遊歩道もまた、夢と消えた場所です。



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ニコイの廃遊歩道1

2014-09-07 17:12:31 | 廃道
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そして、今年の春にリリースした第二弾『廃道ビヨンド』、
そして廃道三部作完結編となる『廃道レガシイ』を9/2にリリースしました。
今回も前作や前々作同様、作品に収録した物件の探索リポートをアップしています。



前回アップした高山に一泊し、翌日遅めから、
岐阜県ロケの第一弾であるニコイ高原の廃遊歩道へ向かいました。

ニコイの廃遊歩道

実践の部分が遊歩道跡、そして点線が隧道で、
実践の左端から鍾乳洞と書いてある地点まで、
片道500m、往復で1キロ程度の短い行程です。

広いエリアでの地図をご覧になりたい方はGoogle Mapをご覧下さい。
リンク先に表示された地図中央の、道が大きくカーブする場所が、
画像地図の赤い実線の左端にあたります。





ニコイの廃遊歩道

遊歩道の入口でスタートの一言の撮影。
この物件は、平沼さんが、ご自身のサイトの読者さんからの投稿によって知り、
いつか行ってみたいと思っていた物件だそうです。
このエリアの北に広がるニコイ高原へ通じる遊歩道を造ったものの、
ほとんど使われることなく終わってしまった遊歩道。
遊歩道の廃道はシリーズでも初めてなので、
平沼さんも石井さんもワクワクです。





ニコイの廃遊歩道

遊歩道と言っても、舗装等されているわけではなく、
そのルックスはただの山道にしか見えません。
その場所にかつて遊歩道があったということを知らなければ、
絶対に通り過ぎてしまうはずです。





ニコイの廃遊歩道

暫く山道が続き、ちょっとした崖には、人工地盤の道が設置されています。
たよりなげな構造ですが、歩くのには問題ありません。





ニコイの廃遊歩道

手摺が所々曲がっているのは、
積雪の重みか落石によるものでしょうか。
ちゃんとした施工ではなく、
ともすると仮設的に造った様なルックスの人工地盤は、
この遊歩道建造の資金が、それほど大きくなかったことを物語っています。





ニコイの廃遊歩道

人工地盤を越えると、すぐに錆び付いた鉄橋が姿を現します。
橋脚から何からかなり錆び付いているので、
このまま放置すると、いずれは崩れ落ちてしまうかもしれませんが、
今のところは人工地盤同様、歩行するのに危険はありません。
橋の名前は「滝見橋」





ニコイの廃遊歩道

滝見橋から見えるのは百間滝、通称ニコイの大滝です。
百間というえば約180メートル。
さすがに高低差180メートあるようには見えませんが、
滝口から滝壺へ向かって徐々に広がり、
さらに岩肌を流れる様な構造なので、
その姿はとても美しいです。





ニコイの廃遊歩道

欄干が崩れている所から橋の下を覗き込んで喜ぶ平沼さん。
滝見橋は途中でくの字に曲がる構造で、かなりの高さがあります。
先の人工地盤は、万が一崩落したとしても、
それほどダメージはなさそうですが、
この橋は、崩落したら奈落の底へまっさかさまです。





ニコイの廃遊歩道

そして、鉄橋の先には、このニコイの遊歩道の中で、
もっともメインの物件と言える隧道が姿をあらわします。
隧道の中を飛び交うコウモリを見て喜ぶ平沼さんと石井さん。





うわごう道

隧道は、高さも幅も2メートルにも及ばない、
こじんまりとした造りですが、
果たしてこの先にどんな姿の隧道が眠っているのか、
次回へ続きます。



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うわごう道再訪3

2014-09-04 20:53:09 | 廃道
昨年リリースした国内初の廃道DVD『廃道クエスト』、
そして、今年の春にリリースした第二弾『廃道ビヨンド』、
そして廃道三部作完結編となる『廃道レガシイ』を9/2にリリースしました。
今回も前作や前々作同様、作品に収録した物件の探索リポートをアップしています。

うわごう道


シリーズでアップしている埼玉県秩父市のうわごう道再訪の完結編です。
話の場所がおおまかにでも分かる様に、地図を冒頭にアップしておきます。
また広いエリアでの地図をご覧になりたい方はGoogle Mapをご覧下さい。

前回はうわごう道の中でも最も深い場所である、
有坂集落周辺をリポートしました。
今回は有坂の先から武士平、そして最初の撮影の時に訪れた茶平集落です。





うわごう道

一軒だけ残る民家をあとに有坂集落からさらに西へ進むと、
沢沿いにある三叉路に到達します。
三叉路には、前回アップした道標と比べるとはるかに新しい道標が。
この道標は、有坂から歩いて来た道を背にして撮影しています。
左面は沢を越えて右へ行けば武士平、
右面の左の行が有坂から歩いて来た道、
右面の右の行が有坂からの道を折り返して、
沢沿いに下れば茶平集落、ということを表しています。

上の地図で言うと、
有坂、茶平、武士平の各集落に繋がる道がちょうど交わった位置にあたります。





うわごう道

道標のある三叉路から武士平へ向かう道の先にある沢を渡る橋は、
画像の様にまるたを筏の様に組んだ木橋。
ほどよい朽ちっぷりですが、一応渡れます。(苔によるスリップ注意)

そしてこの先、武士平を目指したのですが、
集落が見える場所まで行ったものの、
武士平はかなり低いレベルにあるらしく、
尾根道の終わりから相当低い位置に見えたので、
これを下りたらもう茶平へは戻れないのと、
武士平は現役の集落であることから、
途中で引き返すことにしました。
ちなみに武士平は「ぶしでいら」と発音します。





うわごう道

武士平から先ほどの橋までもどり、茶平方面を目指します。
途中、木立の中に無造作な形ではありなが、人為的に並べられた石がありました。
この時は、経年変化で劣化した昔の墓石かと思いましたが、
探索終了後に立ち寄った浦山歴史民俗資料館に、
以下の様な歴史解説がありました。





うわごう道

「お墓は、自然のままの石を中央に立て墓標とし、周囲に石垣を造る
墓標にはゴボウジメを掛け、ケツリバナをたてる。
これは仏式埋葬以前の風習であると考えられる」
これは明治28年の頃の調査報告で、
画像のものが、この仏式以前の墓石かも確かめていませんが、
うわごう道の集落には、古い風習が存続していたようです。





うわごう道

沢沿いに茶平を目指して進んでいると、
路盤も広さを増し、石垣も規模が大きくなり出し、
やがてコンクリートの擁壁も現れる様になり、
現代の社会に戻って来たような錯覚に襲われます。





うわごう道

茶平集落に関しては、そのアクセスも含めて以前のリポートでお伝えしているので、
そちらの記事をご覧になって頂ければと思いますが、
最初に訪れた時にはなかった、家屋内立入禁止の注意書きが張られていました。
おそらくこの1年の内に、何らかの荒らしがあったのかと思いますが、
拙ブログの様なリポートや廃道のDVDが、
そういった荒らしを増加させているのだとすれば、
それはとても悲しいことだとも思います。





うわごう道

茶平を越えると、県道72号線までは、
現在も使われているアスファルト道なので、
探索はここで終了です。
茶平からアスファルトの道に出た付近に、
何年も放置されていると思われる廃車が一台、眠っています。



うわごう道は、
廃道のウエイトよりは廃集落のウエイトの方が大きかったと思いますが、
集落に残る家屋の殆どが、前時代のしっかりとした木造家屋だったので、
うわごう道を進むうちに、徐々に感覚がタイムスリップし、
自分が当時の人間としてその時代の道を歩いている錯覚を感じました。
浦山資料館に展示されていた図の様な気分です。

うわごう道

廃道レガシイのリポートの最初にアップした、
戸倉峠の明治道もまた、道自体は古い道だったので、
本来はタイムスリップしてもいい筈ですが、
やはり私は道のオーソリティではないんで、
道だけではどんなに古くてもタイムスリップ出来ません。
やはりこのうわごう道のように、集落や古色蒼然とした家屋等があって、
初めてタイムスリップを感じられます。

同時に、前回の記事でも書きましたが、
利便性と豊かさを求めた土木大国ニッポンの道路建設が、
集落や村の過疎化を促進したというパラドックスも、
忘れてはならないことだと思いました。



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廃道レガシイ



うわごう道再訪2

2014-09-03 01:31:54 | 廃道
昨年リリースした国内初の廃道DVD『廃道クエスト』、
そして、今年の春にリリースした第二弾『廃道ビヨンド』、
そして廃道三部作完結編となる『廃道レガシイ』を9/2にリリースしました。
今回も前作や前々作同様、作品に収録した物件の探索リポートをアップしています。

うわごう道


前回アップした埼玉県秩父市のうわごう道再訪の続きです。
話の場所がおおまかにでも分かる様に、地図を冒頭にアップしておきます。
また広いエリアでの地図をご覧になりたい方はGoogle Mapをご覧下さい。

前回は日向集落からスタートし、嶽集落と十二社神社までリポートしました。
今回は巣郷集落から、うわごう道の最深部といえる有坂集落までです。





うわごう道

十二社神社を後にしてしばらく進むと、
道の一角に湧き水の貯水槽がありました。
そこに置かれていた柄杓の新しさからみて、
やはりこの道は現在でも細々と使われていることが分かります。





うわごう道

湧水地を越えると徐々に道は登り坂になり、
いよいようわごう道の一番高い付近に近づいて来た感じがします。





うわごう道  うわごう道

ここで石造りの道標に出会いました。
左が来た道側から見える面、右がその裏側です。
位置的には地図の巣郷の郷の字の右上付近で、
この場所は道が三叉路になっていました。

左画像の右側の面には
「正面 嶽 日向 大谷 (不明) 影森 秩父ニ至」とあります。
正面とは今来た路のこと。戻れば嶽集落そして日向集落があります。
その次の大谷は「おおがい」と読み、
日向よりさらに北にある、日向同様現役の集落です。
解読不明の文字の下には影森とあります。
影森はこの浦山地区の北に位置し、秩父鉄道の駅名にもなっているエリア。
そしてその先へ進むと筒部へ至る、ということだと思います。

左画像の左側の面には
「有坂 武士平 大神楽 方面行」とあり、
これから進む方向です。

右画像の左面は左画像の右面と同じで、
右画像の右面には「茶平道ニ至ル」とだけ彫られています。
茶平は最初の撮影で訪れているので、
今回は「有坂 武士平 大神楽」方面を目指します。





うわごう道

なお、この三叉路が巣郷の郷の字の付近だとお伝えしましたが、
道標付近の眼下には巣郷集落の跡と思われる石垣がありました。





うわごう道

有坂方面を目指して登り坂を登ると、やがて峠へ辿り着きます。
おそらくここがうわごう道の中の1つの頂点だと思います。





うわごう道

峠の先は、ほんの短い区間ですが道が途切れて、
低い雑草地帯を進みます。
雑草地を越えると、また再び道の痕跡が現れるので、
そのまま先へと進みます。





うわごう道

雑草地を越えほどなくして有坂へ到着です。
木造二階建てのしっかりとした家屋が一軒だけ残っています。





うわごう道

家屋の中にはしっかりと作られた竹細工や蔓細工のざる等が残っています。





うわごう道

そして味のある裸電球。

廃道DVDシリーズを通してずっと道をみてきました。
それは、明治以降、日本が近代化を邁進し、
限りなく利便性を追求した歴史の証人でもありました。
しかしその結果、人々は都市へ流出し集落は過疎化し、
こうして国内の多くの集落や村は消えて行ったのだと思います。



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