黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

軍艦島の建築的装飾 #06

2021-08-12 22:55:36 | 軍艦島(端島)
ほとんど建築的な装飾がみあたらない軍艦島の建物の中で、
かろうじて散見する時代を伝える建築装飾を、
シリーズでお送りしています。



シリーズでお送りしてきた軍艦島の建築的装飾。
最終回の今回は、島内で最も建築的な装飾が施されていた「昭和館」です。

昭和館は通し番号で50号棟とも呼ばれ、
1927(昭和2)年に建設された映画館でした。
島内で最も規模の大きな娯楽施設だっただけあって、
これまで見てきた集合住宅や鉱業所の施設とは桁違いに、
建築的な装飾が施されていました。



画像は炭鉱操業時の昭和館。
両端に施行された四角い柱に球体の装飾、
エントランスの軒上部にあしらわれたデンティル・コーニス(歯型の連続レリーフ)、
そして入口中央の上部に作り込まれた幾何学的なカッティングなど、
細部にわたって昭和初期の建築的装飾が鏤められているのがわかります。







残念ながら、その躯体のほとんどが煉瓦造だったため、
閉山後の1991(平成3)年に島を直撃した大型台風によって大破し、
現在はRC造だったエントランスの下部だけが残存し、
かろうじてデンティル・コーニスの跡が見て取れます。

また、黄色い豆タイルの貼られた柱の上部を見ると、
特に右に写る柱のものがわかりやすいですが、
以前にアップした総合事務所の持ち送りと同じ形をしているのがわかります。

軍艦島の建築物は、
基本的に三菱の建造物設計チームと清水建設によって建てられたものが多く、
時代的にも近いこの二つの物件は、
おそらく同じチームによって設計されたものだと思います。







画像は、隣接する寺院の跡地に吹き飛ばされた、
操業時の写真の左右の柱のてっぺんに載る球体の装飾。
球体の下が三段の蛇腹積みになっていて、
細部にまで細やかな装飾を施していたのがわかります。







画像は、エントランスと反対側に位置する、
ちょうどスクリーン舞台があった側の外壁の跡。
これはかなり前ですが、このブログで以前にも取り上げました。
下部に写る平らな面が外壁で、
中央付近の山型の部分が、外壁頂部の切妻にあたります。
こちらも四段の軒蛇腹が施行され、
昭和館がかなり凝った建築的装飾のある建物だったことがわかります。

台風で瓦解してしまったのが残念です。

軍艦島の建築的装飾 #05

2021-08-09 22:37:54 | 軍艦島(端島)
ほとんど建築的な装飾がみあたらない軍艦島の建物の中で、
かろうじて散見する時代を伝える建築装飾を、
シリーズでお送りしています。



前回は、軍艦島の炭鉱施設に残る建築的な装飾をお伝えしましたが、
炭鉱施設にはもう一つ、顕著な建築的装飾がありました。
それが、新旧の積込桟橋です。

積込桟橋は、接岸した石炭運搬船に、
出来上がった石炭を積み込むためのベルトコンベアの支柱で、
画像の○で囲んだ上のものが、閉山まで使用していた新積込桟橋。
下の○で囲んだものが旧積込桟橋の橋脚です。



旧積込桟橋は1931(昭和6)年に改築されたもので、
新積込桟橋は、戦中に新たに建造されています。
短い期間での造り直しは、
戦時増産による運搬船の大型化や、
規模の拡大によるものだったのではないでしょうか。

いずれにせよ、
両方とも昭和初期から戦中にかけて建造されているので、
似たような装飾が施されています。



画像は、下の○で囲った位置にある旧積込桟橋。
アーチ状に施行された部分の中央に、
太い畝と細い畝の2種類の幅で調子をつけた、
幾何学的なレリーフが見て取れます。



そしてこちらは上の○で囲った位置にある新積込桟橋。
旧桟橋とほぼ同じレリーフで、その数だけが違います。
柱の太さを比べてもおわかりのように、
新桟橋のほうがやや大きなサイズで建造されているようで、
アーチ幅も少し広いので、レリーフの数も多めです。

新旧ともに一見小さそうに見えますが、
右端に写る埋め込み梯子のサイズからおわかりのように、
上部1/3で人の身長くらいの高さがあり、
レリーフも目の前で見るとかなり迫力があります。



現在は、桟橋の基礎がよく見えますが、
操業時は桟橋の上にベルトコンベアがあり、
さらに石炭を運搬船へ積み込む巨大なディストリビューターが載っていて、
桟橋の基礎はほとんど見えませんでした。
そんな目立たない位置にも装飾的なアプローチをしているのを見ると、
やはりこの時代、ちょっとした飾りを施すことが、
いかに習慣のようになっていたかがわかります。

軍艦島の建築的装飾 #04

2021-08-07 17:39:38 | 軍艦島(端島)
ほとんど建築的な装飾がみあたらない軍艦島の建物の中で、
かろうじて散見する時代を伝える建築装飾を、
シリーズでお送りしています。



前回までお送りしたのは、
炭鉱アパートに残る建築的な装飾でしたが、
今回は炭鉱施設に残る装飾です。



画像は観光上陸の際に、第二見学所の目の前に見える、
1943(昭和18)年築の総合事務所。
手前の煉瓦塀がじゃまになって少し見えづらいですが、
煉瓦塀のおもに左奥に見える、白っぽい壁面の建物が総合事務所です。
その柱の上部をよく見てみると、



前回アップしたのと同様、
柱に長方形の切れ込みを施したフルーティングが見て取れます。
日給社宅の大廊下階段ほどはっきりしていませんが、
それでも明らかに彫り込みの装飾を施した跡が、
昭和初期のモダンデザインを今に伝えています。

またこの総合事務所には、
もう1箇所、昭和モダンなデザインが残っています。



赤い煉瓦塀の左横に見える総合事務所の階段をみると、
半球の形をした三つのレリーフが見て取れますが、
これもまた昭和モダンを象徴する建築的な装飾の一つ。

きわめてシンプルな装飾ですが、
シンプルで簡略化されているからこそ、
この時代、ちょっとした装飾を施すのが、
習慣のようになっていたことの現れだと思います。



なお鉱業所には、総合事務所以外にも戦前の建物がいくつかあり、
最も古いのが、この記事の当初から触れている赤い煉瓦塀の建物です。



明治29年に第三竪坑の巻き上げ機室として建造された建物の内壁で、
オール煉瓦によるアーチ窓が、
明治時代の建築装飾を今に伝えています。
なお、この建物は島内に残る数少ない明治時代の建造物なので、
目に見える世界遺産の対象物件でもあります。





また見学コースからは見えにくいですが、
小中学校の近くにある第四竪坑の巻き上げ機室も大正14年の築で、
こちらは一部を煉瓦貼りにした鉄筋コンクリート造。
ほんの少し、装飾的なアプローチが見られます。



しかし、昭和11年築の仕上工場や昭和13年築の補助扇風機室、
そして昭和15年築の資材倉庫など、
ほかにいくつか残る戦前の建物には、
ほとんど建築的な装飾は見当たりません。

また、それ以外の建物は戦後のもので、
住宅棟と同様、装飾的な要素をみつけることはできませんでした。

そういう意味で、総合事務所に残る昭和モダンな建築的装飾は、
とても貴重な遺産といえるでしょう。

軍艦島の建築的装飾 #03

2021-08-02 16:18:27 | 軍艦島(端島)
ほとんど建築的な装飾がみあたらない軍艦島の建物の中で、
かろうじて散見する時代を伝える建築装飾を、
シリーズでお送りしようと思います。



シリーズの1と2でお送りしたスクラッチ・タイルほどではありませんが、
他の建物にも建築的な装飾を見つけることができます。



画像は日給社宅とよばれる、
1918(大正7)年に最初の工事が完成した集合住宅。
国内初の鉄筋集合住宅「30号棟」の成功を受けて、
その2年後に建設された、より規模の大きな集合住宅で、
最終的には細長い5棟の建物を、
海側の廊下でつないだ、櫛形をした建物です。

9階建は当時国内最高層の鉄筋コンクリート造ビルで、
島民からは「9階建」の愛称で呼ばれていました。

大正時代に完成した居住棟は、
30号棟と同様、特に建築的な装飾はありません。
日給社宅の装飾は5棟をつなぐ大廊下棟の階段に見ることができます。



これが日給社宅大廊下棟の外階段。
当初大廊下棟は抜けがいい開放的な造りでしたが、
各棟の岩礁寄りに施行されていた共同便所が不衛生だったため、
1937(昭和12)年に、大廊下棟に移動します。
この時に、外階段も造り直されたと思われます。







日給社宅外階段の真横からの光景。
親柱にあたる四角いコンクリートの柱に、
細長いくぼみが施されているのがみてとれます。
これはフルーティングという建築技表で、
柱感をより強調するために、古代より行われてきた基本的な装飾ですが、
20世紀の初頭に、そのエッセンスだけが残ったものといえるでしょう。







同時代のフルーティングを2例、アップしておきます。
左は、大正末から昭和初期に竣工した東京の跨線橋「駒込橋」の親柱。
右は、昭和7年に竣工した茨城県の「水戸低区配水塔」の玄関柱。
いずれも、柱に長方形のフルーティングが施され、
この時代特有のデザインを今に伝えています。







大廊下棟への出入用階段は2箇所あり、
これは南寄りの階段です。
造りや装飾は北寄りの階段とほとんど同じで、
その向きが違うだけです。

費用対効果が最も重要視される炭鉱、ひいては資源産業。
およそ無駄な出費は極力避けて運営されていたはずですが、
そんな中、戦前の建物に建築的な装飾が見られるのは、
この階段のような手間のそれほどかからない装飾を施すことが、
根深く浸透していたことの現れでもあると思います。

軍艦島の建築的装飾 #02

2021-07-27 19:10:02 | 軍艦島(端島)
ほとんど建築的な装飾がみあたらない軍艦島の建物の中で、
かろうじて散見する時代を伝える建築装飾を、
シリーズでお送りしようと思います。



前回アップした島内最大の建物、報国寮(65号棟)。
その対面に建つのが今回とりあげる66号棟です。



報国寮(65号棟)と同じコの字型をした66号棟は、
報国寮着工の前年、1940(昭和15)年に竣工。
別名「啓明寮」といいます。
啓明とは明けの明星のことで、
戦局を占う重要な星とされてきました。
日中戦争から大東亜戦争へ突入していく時期に建設された啓明寮もまた、
報国寮と同様に、戦争色の強い建物といえるでしょう。

全体的には他の建物と同じく、
コンクリート打ち放しの外壁ですが、
玄関周りだけ報国寮と同じようなタイルがあしらわれています。



啓明寮の玄関周りを飾るタイルは、
報国寮と同じ釉薬タイルで、色もほとんど同じです。
それから考えると、竣工年はこちらが先なので、
啓明寮の玄関を飾ったタイル会社が、
報国寮のタイルも製造したのだと思います。

ただし報国寮との大きな違いは、
正統的なスクラッチ・タイルであること。



間隔はいささか粗めでですが、
ちゃんと引っ掻き器を用意して引っ掻いた
正統派スクラッチ・タイル。
さらに、引っ掻いた時出るカスを“ゼンマイ”と呼び、
ゼンマイを綺麗に削り落としてしまう場合と、あえて残す場合があり、
この啓明寮のスクラッチ・タイルはご覧のように、
ゼンマイを残した仕上げになっています。
啓明寮、そして報国寮の装飾タイルは特に釉薬の発色が美しく、
戦中に建てられた2棟に、美しいタイルが残っているのは驚かされます。



なお2番目の画像に写る、
玄関の三和土にあたる部分にもタイルが貼られていますが、
こちらは単色の角タイルで、装飾的な印象はありません。

また、タイルということであれば、
啓明寮や報国寮以外にも病院や共同浴場などに使用されていますが、
いずれも水回り処理のためのタイルで、
装飾的な使われ方をしているものは見たことがありません。





もう1点、啓明寮の特徴は、
外観にも建築的装飾を配慮したと思われる部分があることです。
画像は海上から見た啓明寮の外観で、
右寄りに6本の縦長の構造が見えると思います。
これは海側に施行された共同便所のための排便管ですが、
ここまで1本1本を独立させる必要はなく、
全体をまとめて一つの壁状にしても良かったはず。
それをあえて独立し形で仕上げることで、
戦前の建築的装飾感が生まれています。

また少しわかりにくいですが、左上に写る屋上の腰壁には、
等間隔で穴が施され、その上部が欠円アーチ状に処理されています。
これもまた、わざわざ穴を開ける必要もなく、
さらにアーチ状の処理をする必要もない部分なので、
施工者や設計者のささやかな遊び心の現れだと思います。

以上のように、美しいスクラッチ・タイルや、
建築的装飾がいくつか見られる啓明寮は、
軍艦島の炭鉱アパートの中で、
もっとも装飾的な建物といえるでしょう。

軍艦島の建築的装飾 #01

2021-07-24 03:22:21 | 軍艦島(端島)
ほとんど建築的な装飾がみあたらない軍艦島の建物の中で、
かろうじて散見する時代を伝える建築装飾を、
シリーズでお送りしようと思います。



軍艦島に林立する炭鉱アパート群は、
大正時代から昭和45年頃までの、
50年以上にもわたる長い年月の間に建設されました。

国内初の鉄筋コンクリートによる集合住宅をはじめ、
鉄筋と木造を融合した構造や階段室型、そして雁行型など、
その多くが当時最先端の技術で建造されていますが、
かたやデザインや装飾に関してみると、
ほとんど無いといってもいいのが軍艦島の建築の特徴でもあります。



画像は現存する国内初の鉄筋コンクリート造の集合住宅、
1916(大正5)年築の「30号棟」。
内部も含めて、装飾的な要素はいっさい施されてなく、
これは、そのすぐ後に建設された日給社宅も同様です。
初めての試みであると同時に、
第一次大戦の戦時増産に併せた急ピッチでの建設だったからではないでしょうか。





また、画像は島最頂部に建つ3号棟ですが、
やはり内部も含めて装飾的な要素はみあたりません。
3号棟をはじめ、島内に現存する多くの建物は戦後に建設されたもので、
これもまた装飾的な要素がない一因と考えられます。

20世紀の初頭に世界を席巻したモダニズム。
しかし、戦前の日本では一部の先進的な建築家が取り入れただけにとどまり、
当時の多くの建物には、まだなんらかの装飾が施されていました。

戦後になって、ようやくモダニズムの感覚が浸透したのに加えて、
戦後の物資不足が後押しする形で、
日本でもやっとモダニズムが普及していきます。
しかしそれはヨーロッパで誕生した本来のモダニズムではなく、
無装飾の平たい壁に四角い窓と出入口だけという、
モダニズムのエッセンスを“縮小”解釈したものでした。

軍艦島もご多分に洩れず、
戦後に建てられた建物には一切装飾的な要素はなく、
必要最低限の要素だけで構成された、
極めてシンプルなものばかりです。



そんな“味気ない”軍艦島の建築群ですが、
昭和の初期から第二次大戦の頃までの建物には、
かろうじて時代を反映する装飾が施されていました。



まず島内最大の建物である65号棟。
1941(昭和16)年に着工し、第1期工事が敗戦の年に終わった、
別名「報国寮」ともよばれる建物です。
あらゆる物資に乏しかった戦中に、
大量の鉄筋を使用して建造されていることは、
いかに軍艦島の石炭が必要とされていたかを物語るものでしょう。

画像中央に写るのが、昭和20年に完成した、
65号棟のもっとも古い部分で、
軍艦島では珍しい時代を伝える装飾は、
その壁面が出っ張った部分の1階にあります。

当初この出っ張った部分は、
エレベーターを設置する予定だったようですが、
完成間近の戦局悪化により頓挫し、
その後、2階より上は居室に転用されました。
そして1階部分には消防器具室があり、
その腰壁に貼られているのが、なんと!釉薬タイルです。



一見スクラッチタイルに見えますが、
畝幅を微妙に変化させた型を押し付けて作った筋面タイル。
そして綺麗な青緑の釉薬が施され、
さらに焼きムラがとてもいい感じに現れています。
壁面は横並びに、円柱部分は縦並びするなど、
遊び心もある施工です。



こちらは、消防器具室のトイ面にある共同便所入口付近の腰壁。
消防器具室の壁面と同様、釉薬仕上げの筋面タイルが貼られています。

近代建築三代巨匠の一人、フランク・ロイド・ライトが、
旧帝国ホテルの壁面に使用してから普及したスクラッチ系のタイルは、
その多くが戦前に生産され、戦後は下火になります。
敗戦間近の建設なので、スクラッチ系タイルの使用としては遅い方ですが、
それでも丁寧に仕上げられた筋面タイルが、
戦中の建物に使用されていたのには驚かされます。

次回は、もう1棟のスクラッチ・タイルが使われている建物です。

崩壊の進む軍艦島

2021-07-22 01:38:51 | 軍艦島(端島)
最近はSNSにかまけていたので、3年ぶりの投稿。
軍艦島の近況をお伝えします。

現存する国内初の鉄筋コンクリート造のアパートとそて知られる、
1916(大正5)年築の30号棟の崩壊が進行しています。



ここ数年の度々の台風接近によって、
目に見える状態で崩壊していく30号棟。
特に台風の影響を受けやすい南西面が進行しています。







こちらが見学コースからも見ることのできる南面。
建物中央部分の2スパンの床スラブが全て崩落し、
大梁も特に上階を中心に折れまくり。
屋根スラブも、もはや屋根の役割を果たせなくなっています。







こちらは西側面。
大梁は下部が残っているものの、
屋上スラブの崩壊は南面よりも酷く、
小梁に囲まれた部分が全部抜け落ちてしまいました。







しかしこれらの崩壊によって、
余分な負荷ががかからなくなったので、
残存部分は以前より安定した状態になっているとも言えます。
最上階の7階も、特に崩落していない床スラブは、
それほど危険性を感じません。

まもなく築105年を迎える建物。
今日まで残っているのが奇跡ともいえますが、
ひとえに現代とは比べものにならない、
鉄筋の量と数のおかげなのだと思います。







崩壊の進むもう1棟が端島小中学校です。
昨年の基礎部分の修復で安定したものの、
1961(昭和36)年に鉄骨造で増設された最上階はほぼ崩落してしまいました。







3年生の教室に理科室と家庭科室があった7階。
閉山した時に産廃業者の工場になっていたら、
とっくに壊されていたかももしれません。
しかしせっかく残ったのだから、
そろそろ崩壊を止める方法を考える時期になっているのかもしれませんね。

「ドームシアターで軍艦島を体験しよう」開催

2018-01-15 05:01:52 | 軍艦島(端島)
来る1月20日(土)の14:00から、科学技術館@竹橋のシンラドームで毎週行われる、
科学ライブショー「ユニバース」にゲスト出演します。


科学ライブショー「ユニバース」@科学技術館シンラドーム

軍艦島で撮影した全天360度画像を、
プラネタリウムのドームいっぱいに投影。
同時に現地で録音した実際の環境音を再生。
サイズ感とともに、まさにリアルな軍艦島体験ができるイベントです。
迫力のドーム映像を体感しながら、
私が、それぞれのシーンに併せて徹底解説。







実際に投影した迫力の軍艦島







30号棟も実際にその場にいるみたい

入場料は科学技術館の入館料のみ。
お時間のある方は、是非お越しくださいませ。



詳しくはこのページの少し下、「今月以降のスケジュール」
科学技術館の告知ページ

科学ライブショー「ユニバース」に関してはこちら
ユニバースのページ






『軍艦島 古写真でトークショー』開催!

2017-11-21 04:47:09 | 軍艦島(端島)

「軍艦島 古写真でトークショー」

昨年行った、
秘境探検家、酒井透さんとのコラボイベント『軍艦島トークショー」の第二弾!
『軍艦島 古写真でトークショー』を、
11/30(木)の19:00〜@渋谷寿パークビルで開催決定!

軍艦島の様々な古写真から、操業時の軍艦島に思いを馳せる3時間。
酒井さんは、得意の遊廓話も披露。

スペシャルゲストには、
閉山の頃、組(下請け)の仕事をした写真家、高橋昌嗣さんを迎え、
ヴェールに包まれた軍艦島の下請けの実態に迫ります。

ウェブ告知できないサプライズ・コンテンツもご用意。
ぜひお越し下さい。お待ちしております。

お申し込みはこちらから↓
http://pundit.jp/events/3253/

軍艦島:防空壕トンネル3

2017-09-16 02:39:06 | 軍艦島(端島)
昨年発売した『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』の内容紹介。

これまでたくさんの軍艦島関連の書籍を出してきましたが、
この書籍では、それまで発表してこなかったテーマを数多く盛り込んでいます。
軍艦島の防空壕トンネルの全貌もその一つ。

防空壕トンネルとは、
軍艦島の中央に聳える元々の岩礁の中を、
ほぼ縦断するように造られたトンネルで、
一直線のトンネルを中心に、
左右に様々なトンネルが造られています。
前回&前々回からの続きです。

軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

防空壕トンネルの簡略図を参考に、
以下をご覧下さい。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Lの位置。
前回はG地点の交差点から上へ伸びるトンネルを見ましたが、
今回は下のトンネルを見てみます。

交差点からG地点へ向って進むと、すぐに大きな崩落があり、
天井が大きく削れて、その土砂が下に積み上がっています。
防空壕トンネルの中では、唯一大きな崩落点です。
もともと軍艦島の岩礁は砂岩なので、
それほど頑丈ではないと思いますが、
その割には崩落が少ないほうだと思います。

図ではGからLを一直線に表記していますが、
実際には少し弧を描いて、
画像左奥の閉塞点へと到達します。

謎なのは右のトンネルです。
画像で見ると、左と別の方向へ続くトンネルのように見えますが、
すぎに左へ曲がって、左奥の閉塞点の横へと続いています。
何のために造ったのか、まったくわからない、
ともすればただの掘り間違いとしか思えないトンネルです。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Mの位置。
上画像左奥の閉塞点の外側です。
軍艦島中央の岩礁の内海側、そのほぼ中央中腹にある、
防空壕トンネルへ通じる出入口。
下部には軌道の跡が残っています。

左端に写る小さな孔の数々は、
削岩機のテスト跡。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Nの位置。
メインのトンネルへ戻ってさらに奥へと進むと、
メインのトンネルに平行して、
測道的に下りのトンネルがある場所へたどり着きます。
右の軌道跡が残るのがメインのトンネル。
左下の大きな岩の転がっている奥が、
下りのトンネルです。





軍艦島:疎水卸
軍艦島:疎水卸

上図Oの位置。
左のトンネルを20m程下ると、
やがて水没地点へと到達します。
灯を照らし目を凝らすと、
まだまだ下りのトンネルは続いているようですが、
この日の探索は一応ここまで。

この水没したトンネルは、その位置から推測すると、
かつて軍艦島が操業していた時に、
おもに坑内水の揚水で使われていた、
「疎水卸」と呼ばれる斜坑の跡ではないかと思います。

なお図のP地点の左隣から下へ続くトンネルですが、
その存在は聞いた事があるものの、
防空壕トンネルに通ずる形では見当たりませんでした。
これはおそらく、
防空壕トンネルよりかなり低いレベルにあるからだと思います。

そして、何らかの形で、
この水没したトンネルと繋がっているのだと思います。

事実、Pの左隣から下へ伸びるトンネルの終着点は、
Mよりもかなり低い位置にあります。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Pの位置
再びメインのトンネルへ戻って先へ進むと、
前回アップしたi地点と同様、
扉を設置した跡があり、
その先はトンネルが狭くなっています。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Qの位置
そして暫く進むと、やがて最終の閉塞地点へと辿り着きます。
画像中央の少し左寄りが閉塞地点。
多少丹念に調べましたが、人工的に塞いだ跡はみあたらず、
とりあえず掘り進んだ岩盤の最終地点のようです。

ここでトンネル最大の謎にでくわした。
右に写る簡易な竃跡です。
こんな閉塞したトンネルの最奥地で火をたけば、
酸欠になるのは必至。
しかし、周囲を見ると真っ黒に煤けているので、
明らかに使用していたのだと思います。

一体何のために造られた竃なのか。
そして誰がどのように使っていたのか。

閉山後、近隣から多くの人が訪れ、
よく焚き火をしてはバーバキューをやったと聞きますが、
わざわざこんな最奥までブロックを運んで、
空気の状態の悪い場所でバーベキューをしたとも考えられず。。。
謎の竃です。

シリーズ:あまり知られていない軍艦島 INDEX

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

◆誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK◆

価格:3,700円(税抜)
DVD収録時間: 65分
書籍:B5版/96ページ/オールカラー
発売元: 宝島社
発売日: 2016/01/12
ISBN-10: 4800250013
ISBN-13: 978-4800250018

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

軍艦島:防空壕トンネル2

2017-09-15 03:28:13 | 軍艦島(端島)
昨年発売した『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』の内容紹介。

これまでたくさんの軍艦島関連の書籍を出してきましたが、
この書籍では、それまで発表してこなかったテーマを数多く盛り込んでいます。
軍艦島の防空壕トンネルの全貌もその一つ。

軍艦島の中央に聳える元々の岩礁の中を、
ほぼ縦断するように造られたトンネルで、
一直線のトンネルを中心に、
左右に様々なトンネルが造られています。
前回からの続きです。

軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

防空壕トンネルの簡略図を参考に、
以下をご覧下さい。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Fの位置。
前回アップしたボタ棄てトンネルから、
一直線に北東へ向って(図では右方向)伸びるのが、
防空壕トンネルのメイン坑道です。
前回アップした複雑な迷路状の場所(A地点付近)より、
多少スペースは広いものの、
荒削りな素堀の状態は同様です。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Gの位置。
一直線の防空壕跡を暫く進むと、
様々な什器の墓場へ到着。
トランスを初めとした大量の機器は何れも錆び付き、
放置された年月を物語ります。

なお、防空壕としての役割を終えた後も埋められることなく、
閉山まで殆どの部分を残していたのには理由がありました。
トンネル内にいくつかの基準点があり、
それを基に、島の沈下具合を定期的に調査していたようです。

そして、この付近でトンネルが十字路になっているので、
まずは北西(図では上)のトンネルからみてみましょう。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Hの位置。
十字路から北西へ進むトンネルへ入ると、
A地点付近のトンネルと同じ位の狭さになります。
左手に何らかの大きな機器を設置したと思われる跡があり、
ほどなく右へ曲がります。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図iの位置。
右に曲がるとすぐに、ぞんざいな造りの扉を設置した跡があり、
その奥は再び左へと迂回します。
このクランクは、おそらく爆風回避の措置ではないでしょうか。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Jの位置
再び左へクランクしたトンネルを進むと、
少し下り坂になって、やがてコンクリートの閉塞点へ辿り着きますが、
この閉塞点の先が20号棟と21号棟の間の岩礁の麓にあたります。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Kの位置
これが20号棟と21号棟の間の岩礁下部に残る、
防空壕の出入口を外から見た様子。
操業時は木製の扉が設置されていて、
入ろうと思えば誰でも入れる状態だったと聞きます。

かくれんぼとかで、トンネルに隠れた子供も、
きっといたのではないでしょうか。

シリーズ:あまり知られていない軍艦島 INDEX

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

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ISBN-10: 4800250013
ISBN-13: 978-4800250018

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

軍艦島:防空壕トンネル1

2017-09-14 04:01:14 | 軍艦島(端島)
昨年発売した『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』の内容紹介。

これまでたくさんの軍艦島関連の書籍を出してきましたが、
この書籍では、それまで発表してこなかったテーマを数多く盛り込んでいます。
軍艦島の防空壕トンネルの全貌もその一つ。

防空壕トンネルとは、
軍艦島の中央に聳える元々の岩礁の中を、
ほぼ縦断するように造られたトンネルで、
一直線のトンネルを中心に、
左右に様々なトンネルが造られています。

軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

中央の白いラインが防空壕トンネルの概略。
マスクした部分の拡大を下に。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

左寄りの30号棟付近が複雑な構造になっているのは、
進入を困難にするするのと爆風の回避が目的だと思います。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Aの位置。
防空壕トンネルは、すべて手掘りのまま。
せまくて湿度も高く、居心地はよくありません。
迷路状態の部分には、鉄管や軌道など、
使わなくなった資材をまとめて置いてある場所がいくつかあります。





軍艦島:防空壕トンネル
軍艦島:防空壕トンネル

上図Bの位置。
複雑な迷路を進むと、
やがてコンクリートを四角くくり抜いた、
ボタ棄てトンネルの出入口へ到達します。
この造りから見て、防空壕トンネルが先行、
その後にボタ棄てトンネルが造られたことがわかります。






軍艦島:ボタ棄てトンネル
軍艦島:ボタ棄てトンネル

上図Cの位置
防空壕トンネルに交差するように、
後から造られたボタ棄てトンネルの跡。
軍艦島の石炭は
外部の炭鉱からボタを取り寄せていたほど、
殆どボタがありませんでした。
後年、別の採掘エリアへ移って、
はじめてボタを棄てる必要に迫られます。





軍艦島:ボタ棄てトンネル
軍艦島:ボタ棄てトンネル

上図Dの位置。
正確な用途はわかりませんが、
その位置から、おそらく浮選機とかから出たボタを、
メインのボタ棄て坑道へ合流させるトンネルではないでしょうか。





軍艦島:ボタ棄てトンネル
軍艦島:ボタ棄てトンネル

上図Eの位置
上記2つのボタ棄てトンネルは、
ちょうど第一見学所から見える、
2つの穴を塞いだ跡の内部です。
一つ前が右の、二つ前が左の閉塞の奥。

左のボタ棄てトンネルの入口は、
コンクリートで巻かれてそれなりに造られていますが、
右のトンネルの入口は、なんの巻立てもなく、
擁壁をくり抜いただけの簡素な造り。
原料産業の費用対効果主義の現れだと思います。

シリーズ:あまり知られていない軍艦島 INDEX

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

◆誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK◆

価格:3,700円(税抜)
DVD収録時間: 65分
書籍:B5版/96ページ/オールカラー
発売元: 宝島社
発売日: 2016/01/12
ISBN-10: 4800250013
ISBN-13: 978-4800250018

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

軍艦島:夜の住宅棟

2017-09-05 15:22:57 | 軍艦島(端島)
昨年発売した『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』の内容紹介。

これまでたくさんの軍艦島関連の書籍を出してきましたが、
この書籍では、それまで発表してこなかったテーマを数多く盛り込んでいます。
軍艦島の海底坑道の全貌もその一つ。

画像は「軍艦島の夜」のコーナーに収録させて頂いた、
狐火さん撮影による、廃墟65号棟の全室がライトアップした光景です。

軍艦島:65号棟全室点灯
軍艦島:65号全室棟点灯

操業時に撮影された夜の住宅棟エリアの写真を、
ほとんどど見たことがありません。
いくらカメラが普及していた軍艦島といえど、
さすがに夜は暗かったんだと思います。
事実、元島民の方からは、
夜は仄暗かったとよく聞きます。

画像は廃墟の65号棟の中庭に面した全室を点灯した写真。
夜間の撮影によって建物の廃墟感がうすれ、
いまでも人が住んでいる様な印象ですね。
おそらく操業時はこんな光景だったのではないでしょうか。

これ以外にも南部商店街の夜の光景や、
島民からうかがった夜のお話などを収録しています。



誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

◆誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK◆

価格:3,700円(税抜)
DVD収録時間: 65分
書籍:B5版/96ページ/オールカラー
発売元: 宝島社
発売日: 2016/01/12
ISBN-10: 4800250013
ISBN-13: 978-4800250018

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

軍艦島:海底坑道の全貌

2017-09-02 02:48:03 | 軍艦島(端島)
昨年発売した『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』の内容紹介。

これまでたくさんの軍艦島関連の書籍を出してきましたが、
この書籍では、それまで発表してこなかったテーマを数多く盛り込んでいます。
軍艦島の海底坑道の全貌もその一つ。

地上の建物とかと違って、
海底にアリの巣のように造られた複雑な坑道の全貌を、
写真に収めることは絶対にできません。

そこで全貌までは無理ですが、
基本的な構造を立体図にして紹介できればと思いました。

イラストは崩れゆく都市の光景を得意とする、
東京幻想さんにお願いし、
素晴らしいイラストを制作頂きました。

軍艦島:海底坑道の3Dイラスト
軍艦島:海底坑道の3Dイラスト

これが書籍に掲載した海底坑道図の全体像。
坑道は全て手前半分を削り落とした状態にしました。
実際の構造ではなく、
重要なポイントを抽出して構成した簡略図になっています。





軍艦島:海底坑道の3Dイラスト
軍艦島:海底坑道の3Dイラスト

全体図の左下、石炭を採掘する「切羽(きりは)」と呼ばれる部分のアップ。
軍艦島の直下の炭層は傾斜55度を越える急傾斜だったので、
切羽は擬似的に角度を付けて、傾斜のきつさを軽減していました。

左側の黒い部分が掘り進む炭層、
右の灰色の部分は既に掘った穴を埋め戻した部分です。

ピーナッツバターをまんべんなく塗った
四角いパンのサッドウィッチを想像してみてください。
ピーナッツを炭層として、
このサンドウィッチを55度の角度で立てます。
パンの中央に穴を空けてピーナッツまで辿り着いたら、
ピーナッツを両側に向って斜めに削り落とし、
中央の穴から外へ出していくといったような、
ざっくりといえばそんなイメージです。





軍艦島:海底坑道の3Dイラスト
軍艦島:海底坑道の3Dイラスト

これは全体像の中央下部付近のアップ。
中央のものはチップラーと呼ばれる装置で、
石炭を運んで来た炭車を回転させて、
下部にあるスキップカーと呼ばれる大型の炭車に積み替えられ、
主要の水平坑道まで運び上げられます。





軍艦島:海底坑道の3Dイラスト
軍艦島:海底坑道の3Dイラスト

これは全体像のほぼ中央、
仲卸の捲座と仲卸斜坑人車の様子です。

仲卸とは坑道内に施工された斜めの坑道のことで、
先ほどのピーナッツサンドの例でいうと、
55度に立てたサンドウィッチの左上の角から右下の角へ向って、
対角線上に移動するような感じです。
それでも傾斜は25度以上あるので、
人車は後ろ向きに座らなければなりませんでした。

それ以外にも、竪坑を移動するケージの様子や、
竪坑底で炭車を積み込む様子、
スキップカーが運んで来た石炭の排出など、
軍艦島の海底坑道の基本的な構造を、
一目でわかるように作ってみました。



誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

◆誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK◆

価格:3,700円(税抜)
DVD収録時間: 65分
書籍:B5版/96ページ/オールカラー
発売元: 宝島社
発売日: 2016/01/12
ISBN-10: 4800250013
ISBN-13: 978-4800250018

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

軍艦島:未来予測図

2017-08-30 12:21:25 | 軍艦島(端島)
昨年発売した『誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK』の内容紹介。

これまでたくさんの軍艦島関連の書籍を出してきましたが、
この書籍では、それまで発表してこなかったテーマを数多く盛り込んでいます。
その一つが軍艦島の未来予測。
果たして軍艦島はこれからどうなっていくのでしょうか?

20年近い取材の中で、
特に建築系や土木系のアプローチで軍艦島を調べている方々からうかがった話をもとに、
10年後、30年後、50年後、100年後の未来を予測しみました。

イラストは崩れゆく都市の光景を得意とする、
東京幻想さんにお願いし、
素晴らしいイラストを制作頂きました。

軍艦島未来予測図10年後
軍艦島未来予測図10年後

ことあるごとに決壊する南部の堤防が崩壊し、
地盤を造る土砂が流出して、本来の岩礁が姿を現した様子。
30号棟も自然崩壊してしまうかもしれません。





軍艦島未来予測図30年後
軍艦島未来予測図30年後

中央付近や北部の堤防が決壊し、
それにともなって、その付近の建物が倒壊。
南部の地盤は完全に流出。
また頂上部の3号棟は強風によるダメージで、
自然崩壊してしまう可能性が高いそうです。





軍艦島未来予測図50年後
軍艦島未来予測図50年後

堤防の決壊が進行し、
建物も多くが崩壊、あるいは崩壊途上にあります。
65号棟の旧棟部分も、50年後には崩壊してしまうでしょう。





軍艦島未来予測図100年後
軍艦島未来予測図100年後

堤防はほぼなくなり、
建物もその多くが崩壊し、残骸ないしは基礎が残るばかり。
すなわち、軍艦島の隣にある中ノ島と同様、
本来の岩礁だった姿に戻りつつあります。


もちろんこれは人が手を加えないと仮定しての予測で、
実際には、軍艦島にある灯台を守るため、
堤防が決壊すれば海上保安庁がすぐに補修するので、
堤防がこのスピードで崩壊していくことはなく、
したがって建物も予測よりは存続すると思います。

しかし建物の崩壊が年々進行しているのは事実。
一度失われたら二度と元には戻りません。
長崎市では、現在、軍艦島の整備基金を受け付けています。
もし軍艦島の保存に少しでもご協力頂けるのであれば、
こちらへ↓
端島(軍艦島)整備基金



誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK

◆誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK◆

価格:3,700円(税抜)
DVD収録時間: 65分
書籍:B5版/96ページ/オールカラー
発売元: 宝島社
発売日: 2016/01/12
ISBN-10: 4800250013
ISBN-13: 978-4800250018

誰も見たことのない世界遺産「軍艦島」DVD BOOK