黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

お台場2006・ららぽーと豊洲2

2006-10-24 00:30:16 | テクノスケープ
昨日アップしたアーバンドッグららぽーと豊洲
その昭和四十九年 (1974) の航空写真をみると、
石川島播磨重工の造船ドッグがしっかりと写っています(A)


「国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省」より引用

その空中写真をみると、
すぐ近くに当時の晴海橋も写っていますが、
まだ塗装がはげず綺麗な薄水色をしているのが判ります(B)
さらに少し左をみると、
以前の記事でアップした機関庫も写っています(C)

ららぽーとのドッグからみる晴海橋の光景は、
今までは造船所の人しか見る事ができなかった光景です。



晴海橋を渡って晴海埠頭に入ったところにあるセメント工場も、
この角度ではいままで見る事が出来ませんでした。
水辺に浮かぶ黒々としたセメント工場の光景は、
川崎や横浜の工場地帯程の迫力はありませんが、
また一ついい感じの光景がみられるようになったな、
と思って喜んでいると、
隣にいた赤ん坊を抱えたカップルが、
「あの手前の黒い工場みたいのは何?せっかくの綺麗な夜景が台無し!」
とつぶやいていました。



◆お台場2006◆
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お台場2006・ららぽーと豊洲1

2006-10-23 12:43:35 | テクノスケープ
今年延長したゆりかもめの終点、豊洲駅の駅前には、
「アーバンドッグららぽーと豊洲」が完成していました。



以前は石川島播磨重工の広大な造船所があった場所ですが、
中央のドッグ跡を囲むように立ち並ぶ4棟のショッピング棟は、
船形を模したもので、
嘗ての造船所のイメージを残した作りになっています。

横浜のランドマークタワーの下には、
造船所ドッグ跡がそのまま残っていますが、
この豊洲はドッグそのままではないものの、
全体的に造船所のイメージをショッピングセンターに取り込んだのは、
面白いと思います。



なかでもひときわ目を惹くのが、
IHI(石川島播磨重工)のロゴ入りのクレーンです。



90年代の頭頃、この辺りを訪れた時のものです。
このクレーンが保存されているものかどうかはわかりませんが、
当時は塀越しに見る石川島の敷地内に、
沢山の巨大クレーンが建っていたのを思い出します。
 
◆お台場2006◆
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川崎・千鳥の光景 #10

2006-03-03 07:53:58 | テクノスケープ


時々アップしている川崎の千鳥町です。
おだやかな黄昏時の千鳥運河の左側が、
ケミカルな工場が林立する千鳥町、
右側が以前の記事で取りあげた夜光町、
そして正面が東亜石油のある水江町です。

様々な想像を掻き立てられる<夜光町>という響き。
その名前の由来に関しては、上記の以前の記事で、
海中で光る弘法大師の仏像の話を取りあげましたが、
先日コメントを頂いたのんじさんから、
夜光にまつわる新たな情報を教えて頂きました。

むかしむかし大師河原の浜辺に漁師の父と娘がいて、
いつも娘は浜で松明を焚き、父に浜辺の位置を知らせていましたが、
ある猛吹雪の夜、
娘の必至の灯明と父の漕ぎも虚しく、
娘は松明を抱いたまま浜で冷たくなり、
その横に無惨な姿の父が打ち上げられていたそうです。
不憫に思った村人が二人を松の下に丁寧に葬ると、
夜な夜なその松の上に灯りが灯ったことから、
夜光町と名付けられたという、
不知火の松』という話が、川崎の民話・伝説にあるそうです。

話の冒頭に「大師河原の浜辺に~」とあるので、
少なくとも川崎大師ができた後の伝説だと思いますが、
こちらは海中で光り輝く弘法大師の彫像の話とは違い、
かなり悲しい話が<夜光>の由来になっています。

今、千鳥町や夜光町は、
そんな伝説も民話も全部塗りつぶして、
昼も夜もモクモクと煙を吐き続けていますが、、
それはまた、かつての大公害の街としての、
悲しい<伝説>を背負う光景なのかもしれませんね。

■シリーズ:川崎千鳥町■
・#01 夜の工業地帯
・#02 廃墟としての工業地帯
・#03 浅野総一郎の野望
・#04 テクノスケープのデザイン
・#05 光の生き物
・#06 千鳥線
・#07 飛行機からの臨海工業地帯
・#08 ブレードランナーと京浜工業地帯
・#09 夜光町 その由来1
 

川崎・千鳥の光景 #09

2006-01-07 08:49:10 | テクノスケープ


時々アップしている京葉工業地帯、
川崎の千鳥町の光景です。

以前アップした記事川崎・千鳥の光景 #08で、
千鳥の隣の夜光町の名前の由来を、
「文字通り一晩中消える事のない工場の照明や
 煙突から吹き出る炎からつけられた名前だと思いますが、」
と書きましたが、
思えば、一晩中灯りが消えることのない街になったのは土地ができた後で、
最初から<夜光の街>にしようとして名付けたというのも不自然だと思い、
すこし調べてみまたところ、
やはり夜光の意味は全く別の所にありました。

実はこの地名、
初詣の名所、川崎大師と深い繋がりがある地名でした。

一般に川崎大師と言われていますが、
正式には「真言宗智山派大本山金剛山金乗院平間寺」といい、
最後の平間寺の平間とは、
鎌倉時代の武士、平間兼乗のことで、
無実の罪に追われた平間兼乗は諸国流浪の末川崎の地で帰依したそうです。
ある夜神託を聞いた平間は、
川崎沖の海中に眠る弘法大師の仏像を引き上げ、
それを祀ったのが川崎大師のはじまりだそうです。
※詳しくは川崎大師のサイトをご覧下さい。

そしてこの弘法大師の仏像が、
以前から海中で光っていたことから、
この一帯を夜光島と呼んでいたのがもとになり、
夜光町の名がついたそうです。

以前は島だったんですね。
その昔夜な々々光っていた夜光島は、
今もかわらず不夜の場所です。
 
■シリーズ:川崎千鳥町■
・#01 夜の工業地帯
・#02 廃墟としての工業地帯
・#03 浅野総一郎の野望
・#04 テクノスケープのデザイン
・#05 光の生き物
・#06 千鳥線
・#07 飛行機からの臨海工業地帯
・#08 ブレードランナーと京浜工業地帯
・#10 夜光町 その由来2


川崎・千鳥の光景 #08

2005-11-27 09:01:40 | テクノスケープ


時々アップしている、川崎千鳥町の夜の光景です。
千鳥町の隣には「夜光」という地名がありますが、
この地名ほど様々なイマジネーションをかき立てられた地名も
ほかにありません。
文字通り一晩中消える事のない工場の照明や
煙突から吹き出る炎からつけられた名前だと思いますが、
夜光という言葉は「夜光虫」を連想させます。
構内に点々と点灯する水銀灯が、
煙突やタンクにへばりついてじっとしながら静かに光ってる、
工場に棲んでいる虫のように思えてきます。

ちなみに夜光町は
映画『ブレードランナー』の元イメージといわれる場所ですが、
リドリースコット監督には、
アジアの屋台が醸し出す混沌としたパワーや、
京浜工業地帯の夜光虫が、
別の星の出来事に思えたんではないかと思います。

追記 2006.01.07
夜光町の由来は、上記の記述とはまったく別の所にあるのが判りました。
詳しくは川崎・千鳥の光景 #09をご覧下さい。
 
■シリーズ:川崎千鳥町■
・#01 夜の工業地帯
・#02 廃墟としての工業地帯
・#03 浅野総一郎の野望
・#04 テクノスケープのデザイン
・#05 光の生き物
・#06 千鳥線
・#07 飛行機からの臨海工業地帯
・#09 夜光町 その由来1
・#10 夜光町 その由来2


川崎・千鳥の光景 #07

2005-11-15 02:40:34 | テクノスケープ


以前アップした川崎の千鳥町の光景の続きです。
画像は日本触媒の工場。
右下に写るのは貨物専用の千鳥線のヤードで、
日中は沢山のタンク車が停車してることもあります。

先日飛行機に乗ったときの帰りの航路が、
ちょうどこの千鳥町の横を通り、
窓から間近に工場地帯がみえました。
羽田へ入る航路は、飛行機会社によって違うのか、
それとも羽田の混み具合によてかわるのかは知りませんが、
ちょうど夕暮れ時、東京湾をぐるっと一周して羽田に着いたこともあります。
機体がずっと左に傾いていたので、
夕日に輝く京葉工業地帯をはじからはじまで一望できました。
とても奇麗でした。
 
■シリーズ:川崎千鳥町■
・#01 夜の工業地帯
・#02 廃墟としての工業地帯
・#03 浅野総一郎の野望
・#04 テクノスケープのデザイン
・#05 光の生き物
・#06 千鳥線
・#08 ブレードランナーと京浜工業地帯
・#09 夜光町 その由来1
・#10 夜光町 その由来2


コンテナ埠頭の光景

2005-06-10 09:32:07 | テクノスケープ
ちょっと廃墟から離れ、以前にアップした川崎工業地帯の光景の流れで、
今回はコンテナ埠頭をアップしようと思います。



東京お台場のコンテナ埠頭に並ぶ船積みコンテナの光景です。
工業地帯の風景ほど廃墟感はありませんが、この光景もけっこう好きな光景で、
今でこそお台場は一大アミューズメント埋立地になってしまいましたが、
まだできたての頃は殆どだだっぴろい殺風景な空地が広がっていて、
その最奥にコンテナ埠頭があったので、よく通ったのを覚えています。

コンテナといえば去年の10月にお台場で、
<コンテナグランド展>というイベントをやっていました。



NPO法人デザイナーズ・ウイークが主宰する、
コンテナを使った新しい空間の提案といった主旨のイベントですが、
企業や



個人作家、専門学校のグループ



などがコンテナ一つのスペースを使って、
思い思いのプレゼンをするイベントでした。

コンテナを使ったドリンク・バーなどもありました。



また今年もやってくれるといいと思います。


川崎・千鳥の光景 #06

2005-04-01 19:05:33 | テクノスケープ
ここ一週間ずっと続けてきた川崎千鳥町の話はひとまず今日で終わりにしようと思います。
千鳥町の工場群の中には、神奈川臨海鉄道という貨物専用線が敷かれています。
日本で2番目の第三セクター貨物線ということですが、
工場の横のスペースでは幾本にも広がり、その先でまた一本にまとまって、
埠頭の先の方まで延びています。



画像は工場群から埠頭方面へ延びてゆく分岐点付近ですが、
右端の奥(画像では切れている)に「千鳥町駅」とかかれた表示板がぽつんと立っています。
勿論ホームもなければ改札もありません。
この辺り一帯が総て千鳥町駅ということなのですね。







さらに埠頭の倉庫街では、再び何本もの軌道になって、
ずっと奥の方まで延びています。

■シリーズ:川崎千鳥町■
・#01 夜の工業地帯
・#02 廃墟としての工業地帯
・#03 浅野総一郎の野望
・#04 テクノスケープのデザイン
・#05 光の生き物
・#07 飛行機からの臨海工業地帯
・#08 ブレードランナーと京浜工業地帯
・#09 夜光町 その由来1
・#10 夜光町 その由来2
 

川崎・千鳥の光景 #05

2005-03-31 12:19:42 | テクノスケープ

 
画像は川崎千鳥町の市営埠頭からの眺望です。
夜の工場に点々と点灯する灯りの粒を見ると決まって思い出す写真集があります。
佐藤時啓の『光-呼吸』です。
夜の松尾鉱山やお台場といった場所でカメラを構え、
レンズを解放にしたままそのその光景の中を本人自ら懐中電灯を持って歩き回り、
写真の中にぽつぽつと光の粒を描いていった写真ですが、
なぜかその無数の粒が、人気のない場所で静かに呼吸する光の生き物のような印象を受けます。
工場内のタンクや煙突や鉄塔にも決まって無数の光の粒がちりばめられていて、
それは決して語りかけてはきませんが、そこで静かに生きてる光の生き物だと、
いつも思います。

■シリーズ:川崎千鳥町■
・#01 夜の工業地帯
・#02 廃墟としての工業地帯
・#03 浅野総一郎の野望
・#04 テクノスケープのデザイン
・#06 千鳥線
・#07 飛行機からの臨海工業地帯
・#08 ブレードランナーと京浜工業地帯
・#09 夜光町 その由来1
・#10 夜光町 その由来2


川崎・千鳥の光景 #04

2005-03-30 08:33:50 | テクノスケープ


画像は川崎の湾岸に広がる工業埋立地の一つ、千鳥町の工場の景観です。
高く組み上げられた鉄骨に無数に絡みつく太細のパイプラインや点在するタンク群には、
もう使い古された表現かもしれませんが、生き物のような印象を受けます。
それは恐らく工場の景観が<必要な器官>のみで出来ているからだと思います。
思えば生物の体は、動物も植物もこの必要な器官だけで出来上がっています。
無数の神経がネットワーク状に張り巡らされ、大小の血管が複雑に絡み合い、
時に大きな消化器官や心臓というポンプがありと、
そのどれもが<必要なデザイン>であって、見た目のデザインではありません。
工場地帯はというと一般の人があまり立ち入らないのが前提なので
やはり<見た目のデザイン>をしません。
そこにあるのは必要な距離で設計された必要な本数のパイプラインだったり、
敷地を効率的に使うために設置されたタンクや煙突です。
見た目のデザインで器官の殆どが隠された都会を離れて工場地帯を歩くとき、
巨大な生物の中にいるような錯覚を覚えるのは、そのためかもしれませんね。

■シリーズ:川崎千鳥町■
・#01 夜の工業地帯
・#02 廃墟としての工業地帯
・#03 浅野総一郎の野望
・#05 光の生き物
・#06 千鳥線
・#07 飛行機からの臨海工業地帯
・#08 ブレードランナーと京浜工業地帯
・#09 夜光町 その由来1
・#10 夜光町 その由来2


川崎・千鳥の光景 #03

2005-03-29 08:38:58 | テクノスケープ


川崎市の湾岸沿いに広がる工業埋立地は、
北海道の浅野雨竜炭鉱の創始者、浅野総一郎によって作られました。
最も沖側にある細長い埋め立て地<扇島>は、当時は海水浴場で、
そこには産業とレジャーを一体化する構想があったみたいです。
林立する工場を見ながらの海水浴。とっても不思議です。
画像は新日本石油化学の構内。
夜の工場はいろいろな照明があるので、不思議な発色になります。

■シリーズ:川崎千鳥町■
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・#02 廃墟としての工業地帯
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川崎・千鳥の光景 #02

2005-03-28 02:27:58 | テクノスケープ

 
工業地帯の景観には、昼も夜も惹かれるものがありますが、
ふと考えてみると、工業地帯が進歩と発展の象徴だった時代は遙か大昔だし、
公害問題でネガティブな象徴だった時代も、これまた随分昔の事で、
IT産業が盛んな今からすれば、工業地帯というもの自体が、
たとえ実際には稼働していたとしても、前世紀の産業景観という意味で、
感覚的には廃墟と同じレベルで捉えてもおかしくないような存在なのかもしれませんね。
ただ少し時代が浅いため、鉱山や炭鉱といった産業とは、
その造りがちょっと違うと言うだけで。

■シリーズ:川崎千鳥町■
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・#03 浅野総一郎の野望
・#04 テクノスケープのデザイン
・#05 光の生き物
・#06 千鳥線
・#07 飛行機からの臨海工業地帯
・#08 ブレードランナーと京浜工業地帯
・#09 夜光町 その由来1
・#10 夜光町 その由来2

川崎・千鳥の光景 #01

2005-03-26 09:17:12 | テクノスケープ


Trackbackをいただいた『昨日、今日。』さんのblogから、
以前よく通った川崎の工場地帯の事を思い出しました。
廃墟ではありませんが、一つ前の項目に書いたように、
京葉地帯に棲むうちに、テクノスケープの魅力にもはまってしまい、
東京湾の湾岸に広がるテクノスケープの見学も、色々なところへ行きました。
中でも川崎の千鳥町に広がるテクノスケープは好きな場所の一つで、
特に夜の美しさは、一般の街では決してみることの出来ない景観です。
画像は千鳥町にある日本触媒の工場の光景ですが、
夜の撮影は自ずから長時間露光になるので、
煙が流れ、発色も独特のものになるので面白いです。

■シリーズ:川崎千鳥町■
・#02 廃墟としての工業地帯
・#03 浅野総一郎の野望
・#04 テクノスケープのデザイン
・#05 光の生き物
・#06 千鳥線
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