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社説:閣僚の靖国参拝は無神経

2013-04-27 | Weblog

副首相兼財務大臣の麻生太郎氏を含む閣僚が、戦死者共に戦犯も祀られている春季例大祭期間中に靖国神社を参拝した。

安倍首相は榊を供えたが参拝はしなかった。政界が、日本人も外国人も不快感なく戦死者を慰霊できるようにするためになすべき事の結論を出せないままの参拝だった。

これを受けて、日本の植民支配を受けた韓国は今月末の予定だった外務大臣の日本訪問を中止した。

日本と米国と中国と韓国は、弾道ミサイルの発射など挑発的な行動を取る北朝鮮に対して密接な協力体制が必要だ。韓国政府は、日本の閣僚の靖国参拝を外交問題にして先行きを不安定にしている。

それでも、内閣第二の地位の麻生氏が率先して問題の多い参拝をしたことや安倍首相がそれを受け入れたと言う事実は非常に残念だ。これで、日本政府は北朝鮮の挑発行為に対して中国と韓国の協力関係を困難にし、最終的には日本の国益を損なうことになるだろう。

安倍氏は、前任の小泉首相の参拝により関係が悪化した中国との外交修復に努め、2006年と2007年の任期中は首相としての訪問を控えた。当時、安倍首相は「参拝をするかしないかは言わない。」と言った。

麻生氏も、外相と首相時代は参拝をしなかった。安倍氏も麻生氏も自制したのだ。

しかし、首相は、前の首相の任期中に参拝しなかったことを「痛恨の極みだった。」と明白に後悔した。それは、首相が任期中の参拝を望んでいること示唆していると解釈できる。

安倍政権を支持する保守派は、安倍氏が終戦の8月15日より神社の秋季例大祭に首相として参拝することを重視している。

もし安倍氏の榊の奉納や参拝が夏の参院選で保守派の支持を取り付けて在任中の首相訪問への道を整えることが目的なら、受け入れられない。

首相や閣僚の参拝に対する国民の賛否は分れている。主に二つの理由からだ。

首相や閣僚の参拝は、政教分離を規定している憲法20条に矛盾する可能性があり、A級戦犯が合祀されている神社の訪問は中国や戦時の日本による被害国によって日本の侵略行為を正当化するものと解釈される可能性がある。

安倍首相は、日本が東京裁判での戦犯判決を受け入れた歴史的事実を認める意思を示す一方で、裁判で連合国が下した判決に疑問を呈した。「戦犯は戦勝国側の裁判で有罪確定された。」と首相は言う。

安倍氏は、一般戦死者とA級戦犯を別にすることにも戦争犠牲者を追悼する非宗教的な国営記念館の建設の提案にも消極的だと思われる。

首相や閣僚の靖国神社参拝をどう考えているのかこの問題に関する議論をどう解決するかについて首相は自分自身の言葉で国民に説明すべきだ。彼は、国民に明確な説明をすることなく既成事実を作ってはいけない。

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毎日新聞の4月23日の社説記事です。安倍首相は支持率の高さに酔っていて言ってはいけないことにも言及しています。参拝をしなかったことが唯一の救いでしょう。その後、米政府は安倍さんに近隣諸国を刺激するようなことをするなと注意したようで、威勢のいい言葉も少々トーンダウンしているようです。アメリカに注意されなくても考えれば分ることだと思うのですが…

それに、政府はなぜ非宗教的な国営記念館の建設を考えないのでしょうか。A級戦犯を外せば、近隣諸国の怒りも鎮まり、天皇も堂々と参拝できるでしょうし、国民の違和感も解消できるのではないかと思うのですが。政府は指導力を持って靖国神社を説得すべきではないでしょうか。