酔いどれ反省会

反省出来ない人の反省文

お絵かき

2011年09月10日 00時13分40秒 | 日記
先日、職員室で授業の準備なぞをちょこちょこやっていたら、俺の隣の、誰も使っていない机で、一人の介護職員さんが机いっぱいの大きさの模造紙を広げて難しい顔をしていた。「何してるんですか?」と聞くと、その方は「実は…」と重々しく口を開いた。

「11月の文化祭で、小学部の〇〇グループが四季の歌を歌うんですよ。それで、歌っている時の背景として、それぞれ四季の風景の絵を描かなくちゃいけなくて…」

「これを参考にしてと言われたんですが…」という、参考にすべき絵もあるんだから、まぁ、描けばいいじゃん、って話である。だけどその職員さんは、参考の絵と模造紙とを交互に見比べては、それはもう絶望の淵に立たされたような表情をしていらっしゃる。え、一体どんな絵を描かなきゃいけないんだ?そんな世界の終りみたいな顔をして。。まさかそんな大きな紙に、ビッチリと「ウォーリーを探せ」みたいな絵を描かなきゃいかんわけでもあるまいし。「それぞれの季節でのウォーリーを探せでお願いします」なんて言われたら、それはもう世界の終りだけどさ、実際「どんな絵なんですか?」と見せてもらったら、まあ可愛らしい、お楽しみ会的な、とてもシンプルな絵ですよ。だけどその方は「本当に、絵はちょっと苦手で…」とおっしゃる。苦手と言ってもまぁ、そんな別に…と思って、その参考の絵をよくよく見てみたら、4つほど並んだ家の、それぞれ下に「2.5cm、2.7cm、3.1cm、3cm」などと長さがメモしてある。そして「それで模造紙の横の長さが、えっと…」とか言ってるのを聞いて、あ、これは、筋金入りだなと。それで思わず「そ、そんな、何となくな感じで配置とかは決めていけばいいんじゃないですか?」と言ったら、その方は真っ直ぐに俺を見て

「それが出来たら…、苦労しません」

と言うではありませんか。それはもう、息子を戦争に送りだして、必死に涙をこらえながら「お国のためです…」という母親のような、そんな重みがありましたよ。。それでね、まぁ、俺は全然関係ないんだけど、「僕、描きましょうか?」と言ってしまったわけですわ。絵をかくの好きだしね、授業の準備ばっかりじゃ疲れちゃうしさ、気分転換にもなっていいかなと。それで、春夏秋冬のいずれか1枚を描くつもりが、なんだか全部描く事になってしまった。と言っても、全然嫌なわけじゃなく、むしろ楽しいから全然問題は無い。
それで黙々と絵を描いていると、そりゃ他の介護職員さんらは「ん?」と思うんでしょうね。普段俺は職員室では教科書開いて黙々と授業の準備しかしてないわけですから、いきなり机いっぱいの大きさの模造紙広げて絵を描いてりゃ、当然「何してんだ?」と思うのかもしれません。「何してるんですか?」と聞かれ、「なんか、小学部が…」という説明をすれば、「上手ですね~」「お手伝いですか~」とか、ちょいちょい言われるわけですわ。まぁ、悪い気はしませんよね。てか、良い気しかしませんよね。
でもね、何人かにそんな事を言われるうちに、ふと「あ、俺、これ言わせてる!!」と思ってしまったわけです。気分転換とか、絵を描くのが好きだからとかあるにしても、特に自分の仕事じゃないような事をやっている。しかもこれ見よがしに。「これ見よがし」という意識は無かったが、これはどうしたって「これ見よがし」だ。無意識的に絶対に俺の中に「これ見よがし」な気持ちはあったはずだ。そんなの、介護職員側からしたら、横を通ったら、なんか、「上手ですね」とか「お手伝いですか」とか言わなきゃいけない気になるじゃないか。その小学部のグループに関わっている職員さんなんか特に。そう思うと、急激に恥ずかしさと申し訳なさがこみ上げて来て、職員さんがみんな帰ってからやろうかな…とか考えちゃうわけですわ。
何やってんだろ、俺。これ、世に言うお人好しってやつっすかね。でもまぁ、絵を描くのは楽しいですよ。
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